街を変える家具デザイン展 パリ郊外のオフィス街で開催中

パリ西部のオフィス街ラ・デファンスで、『フォルム・ピュブリック』展(フランス語で“公の形”の意味)が開かれています。テーブルや椅子など町の中に設置する施設デザインの展覧会で、2年に1度開催され、今回で3回目を迎えています。

作品を紹介する前に、ラ・デファンスについて簡単に紹介します。

ラ・デファンスは、ルーヴル美術館から西へ、コンコルド広場、シャンゼリゼ大通り、凱旋門と続く線の延長上にあります。経済成長期の60年代に都市開発が始まり、ヨーロッパで最初のオフィス街といわれています。パリ市内には見られない高層ビルが建ち並び、1989年に落成したガラスの新凱旋門も有名です。

ラ・デファンスからパリ方面を見たところ。写真では分かりづらいですが、奥に凱旋門が見えます。49個の金属製の飾りは、ギリシャ出身の彫刻家タキスの作品『タキスの噴水』。

ラ・デファンスからパリ方面を見たところ。写真では分かりづらいですが、奥に凱旋門が見えます。49個の金属製の飾りは、ギリシャ出身の彫刻家タキスの作品『タキスの噴水』。

オフィスビルのほかに、映画館やレストラン、大型スーパーなどが入居するショッピングセンターや多くの集合住宅もあり、職住が同居するエリアといえます。さまざまな現代アート作品が見られる場所としても知られていて、その数は70点以上に上ります。

原色を使ったスペインの芸術家ミロの作品『2人の人物』は、ラ・デファンスの象徴的な作品。右に見えるのが新凱旋門です。

原色を使ったスペインの芸術家ミロの作品『2人の人物』は、ラ・デファンスの象徴的な作品。右に見えるのが新凱旋門です。

つねに革新的な存在であるラ・デファンスで開催される『フォルム・ピュブリック』は、より快適な職住環境を創るための実験と実践の機会となっているようです。

同展の1回目のテーマは「仕事の世界の延長または切断」、2014年の2回目は既存の施設を活用する「プラグイン」、そして今回は「ヴィラージュ・グローバル」(世界的な村)。「待合所」「職場以外の職場」「歩行者向けの動くステーション」の3つを軸に、デザインを募集。60点以上の応募のなかから選ばれた5点が展示されています。

Abris basculés 傾いた小屋

オレンジやブルーに彩られた5㎡の小さな小屋。ベンチとして座ったり、子供たちが棒によじのぼったり、ときには自転車置き場として、さまざまに活用できます。(Aurélie Chapelleオレリー・チャペル、David Machadoダヴィッド・マチャド作)

オレンジやブルーに彩られた5㎡の小さな小屋。ベンチとして座ったり、子供たちが棒によじのぼったり、ときには自転車置き場として、さまざまに活用できます。(Aurélie Chapelleオレリー・シャベル、David Machadoダヴィッド・マチャド作)

Big Board ビッグ・ボード

鮮やかな黄色で、遠くからでもひときわ目立つ直径13mの巨大なミーティング・テーブル。コワーキング(共働ワークスタイル)のためのテーブルであり、誰もが上ることができる舞台であり、出会いの場でもあり、利用者によってその姿を変えていきます。(Alexandre Moronnozアレクサンドル・モロノズ作)

鮮やかな黄色で、遠くからでもひときわ目立つ直径13mの巨大なミーティング・テーブル。コワーキング(共働ワークスタイル)のためのテーブルであり、誰もが上ることができる舞台であり、出会いの場でもあり、利用者によってその姿を変えていきます。(Alexandre Moronnozアレクサンドル・モロノズ作)

La Rue des Utopies ユートピアの道

地下鉄と郊外電車の出口のすぐ横に植えられたシナノキをぐるりと囲んだ、木の散歩道。60mの長さがあり、高さは約2m。途中に2か所、屋根付きのベンチも用意されています。距離は短くても、樹々に囲まれた道を歩くことで、一瞬でも町のざわめきや仕事から離れることができそうです。「時も空間も超えたかのようなこのスペースで、自分自身と再びつながることができる」とデザイナーはコメントしています。(Florian Lopezフロリアン・ロペーズ、Constantinos Hoursoglouコンスタンティノス・ホーソグロウ作)

地下鉄と郊外電車の出口のすぐ横に植えられたシナノキをぐるりと囲んだ、木の散歩道。60mの長さがあり、高さは約2m。途中に2か所、屋根付きのベンチも用意されています。距離は短くても、樹々に囲まれた道を歩くことで、一瞬でも町のざわめきや仕事から離れることができそうです。「時も空間も超えたかのようなこのスペースで、自分自身と再びつながることができる」とデザイナーはコメントしています。(Florian Lopezフロリアン・ロペーズ、Constantinos Hoursoglouコンスタンティノス・ホーソグロウ作)

Les Refuges de La Défense ラ・デファンスの避難所

高層ビルの間に登場した、小さな白い小屋。キャスターがついているため、太陽や風などの方向によって回転することもできるそう。この日は暑かったので、ちょっと休憩するにはぴったりの日陰ができていました。(Maia Tüurマイア・トゥール、Yoann Dupouyヨアン・デュプイ作)

高層ビルの間に登場した、小さな白い小屋。キャスターがついているため、太陽や風などの方向によって回転することもできるそう。この日は暑かったので、ちょっと休憩するにはぴったりの日陰ができていました。(Maia Tüurマイア・トゥール、Yoann Dupouyヨアン・デュプイ作)

Plateformes de travail urbaines アーバンワークのプラットフォーム

一見、階段の一部と思って見過ごしてしまいますが、“木の島”をイメージして創られた作品。いつもの職場を出て、屋外で快適に仕事ができる環境を提案しています。写真のコンクリートの階段のほか、人口池の端にも取り付けられて、都会の冷たいイメージもやわらげています。(Pawel Grobelnyパウエル・グロバルニー作)

一見、階段の一部と思って見過ごしてしまいますが、“木の島”をイメージして創られた作品。いつもの職場を出て、屋外で快適に仕事ができる環境を提案しています。写真のコンクリートの階段のほか、人口池の端にも取り付けられて、都会の冷たいイメージもやわらげています。(Pawel Grobelnyパウエル・グロバルニー作)

ラ・デファンスは1.6㎢ととにかく広く、コンクリートの道が延々と続くので、屋根付きの小屋は嬉しい存在です。直線的なラインやカラフルな色使いの作品も、高層ビルの中では逆にアクセントになって、とけこんでいました。オフィスで働く人にとってはもちろん、周辺の住民にとっても、実用性を兼ねたこうした作品が設置されることで、より快適な環境が得られるでしょう。2018年までには300mを超えるビルが建設される予定で、ラ・デファンスはまだまだ変化を続けそうです。

2016/08/04

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


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