パリの農業学校で進む屋上菜園の実験「アグロパリテック」

パリで屋上緑化や壁面緑化が進んでいる話題は、これまでも何度か取り上げてきました。その実用性と効果を研究しているのが、フランスの公立高等教育機関のひとつで、農業・ 経済系に特化したアグロパリテックです。今年6月初め、2011年12月にパリの校舎の屋上に設置した菜園を見学してきました。

1 2パリ5区にあるアグロパリテック校の屋上。うかがった日はあいにく曇り空でしたが、天気がいい日は眺めも素晴らしいはず。

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屋上らしく、煙突や天窓もあります。

4階建ての校舎の屋上の広さは600㎡。屋上全体に土を広げて畑にするのではなく、正方形の木のプランターにトマトやレタス、花などが植えられていました。

同校が研究しているのは、都市で発生する有機ごみを使って、屋上にもっとも適した土壌をつくること、都市の外気や環境が野菜や果物におよぼす影響などについてです。

土壌は4種類を準備。①砕いた木材とコンポスト、②砕いた木材とコンポスト+みみず、③砕いた木材とコンポスト、キノコを植え付ける床の残り、④砕いた木材とコンポストを混ぜたものを、それぞれ15cmずつ重ねる“ラザニア方式”で、販売されている一般的な土壌で栽培した場合と、生長の度合いを比較しています。

トマトの栽培を始めて2年後には、コンポストを混ぜた土壌が一般的な土壌の収穫量を超えました。また、すべてを混ぜた土壌より、“ラザニア方式”の方がよい結果が出ているそうです。

プランターの最下層には水がたまる仕組みになっていて、水やりは乾燥した天気が続くときに行うだけで、必要最小限ですむとのこと。

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プランターの下にタンクがあり、水が自動的に送られます。

都市の菜園で心配されるのは、汚染された空気の影響です。同校では、土壌と収穫したレタスに含まれる鉛を継続して測量。レタスについては、②がもっとも少なく、1kgあたり0.05mg以下。もっとも多かった④でも0.05mgと0.1mgの中間で、フランスとヨーロッパが定める基準値0.3mgを大幅に下回りました。

都市の場合は、空気より、汚染された土壌の方が問題という専門家もいます。コンポストや廃材からつくる土壌は、安全でエコといえるでしょう。さらに、廃材やコーヒーのかすなどを混ぜているため土壌が軽く、屋上菜園に最適なのだそうです。

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屋上の奥のスペースは、植物や草を自然に生やしています。

公的機関の研究の成果をうかがって、屋上菜園の可能性がますます広がっていることが実感できました。

またアグロパリテック校と共同で研究・実践を行っているクルチュール・アン・ヴィル社は、こうした木のプランターと土壌と野菜やハーブなどとセットにして販売も始めています。形や大きさも選べるので、アパルトマンのテラスでも楽しめるそう。パリにいながら、プロの知識を得ながら本格的な野菜・果物づくりができそうです。

パリアグロテック
クルチュール・アン・ヴィル

2016/07/27

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


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