まるで大きな一軒家 30年以上続く、緑豊かなパリのコーポラティブハウス

先月、パリ市が主導するコーポラティブハウスのプロジェクトについてお伝えしましたが、なんとパリには、1983年から続くコーポラティブハウスが存在していました。5月終わりの一般公開日に、住民の案内で内部を見学してきました。

このコーポラティブハウスは、パリ北東の10区にある「ル・ラヴォワール・ビュイッソン・サン・ルイ」。ラヴォワールとは共同洗濯場という意味で、名前の通り、19世紀に建てられた共同洗濯場を改装した建物です。

緑の大きな門を開けて中に入ると、豊かな緑に囲まれた2階建ての家が現れました。アパルトマンの集合体とはいえ、大きな一軒家のようです。

一軒家のような緑豊かなコーポラティブハウス。地下が駐車場になっていて、写真の左側に駐車場への入り口があります。

一軒家のような緑豊かなコーポラティブハウス。地下が駐車場になっていて、写真の左側に駐車場への入り口があります。

このコーポラティブハウスには、15軒のアパルトマンが入居しています。1979年に土地1300㎡を購入し、建築家や施工会社を自分たちで選び、老朽化した建物を改装。1983年、テラスか中庭がついたアパルトマンのほか、各階に共同のテラス、キッチン付きの集会場、使用料を払って使う洗濯機を設置した洗濯場、パーキング、庭園が完成しました。

レンガの壁と空に伸びる柱が印象的な、個性的な建物。

レンガの壁と空に伸びる柱が印象的な、個性的な建物。

建物の真ん中にある通路。

建物の真ん中には奥へ抜ける通路があります。

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水路は、共同洗濯場だった時代の名残。

水路は、共同洗濯場だった時代の名残。

集会場は、だれもが予約制で利用でき、管理組合や誕生日会などに使われるほか、劇団などを呼んでイベントを開くこともあるそうです。

大きなスクリーンがある集会場。冬は1時間2ユーロの暖房代を支払えば、だれでも利用ができます。奥には小さな中庭もあります。

大きなスクリーンがある集会場。冬は1時間2ユーロの暖房代を支払えば、だれでも利用ができます。奥には小さな中庭もあります。

屋外には、自然と住民が集まることができるテーブルも置かれています。

屋外には、自然と住民が集まることができるテーブルも置かれています。

現在は一般的な集合住宅と同様、共同所有者組合が行っていて、アパルトマンの管理や売却、賃貸もオーナーに任されています。しかし30年以上の歴史の中で、去っていたのは2組のみで、10組はいまも住み続け、子供は成長して独立し、孫が遊びに来てにぎわうそう。毎年春には必ず住民全員で掃除を行うなど、住民同士の絆はいまも固いようです。

ラヴォワールの住民によると、これまで住民同士での問題もあったそうですが、話し合ったり、集会場で食事をしたりしながら、解決してきたそうです。土地の購入から建築デザインまで、すべて自分たちの希望が反映できるコーポラティブハウスの良さは、「自分たちのライフスタイルを反映できること」と話していました。

私が参加した公開日には30人以上の人が見学にきていましたが、コーポラティブハウスを計画しているという家族も多く、熱心に質問をしていました。2014年の法改正によって、住宅の共同購入や共同管理がしやすくなったこともあり、新しい世代が関心を寄せているようです。パリで土地を購入することは難しいかもしれませんが、パリ近郊では住民主導によるコーポラティブハウスが増えていくかもしれません。

2016/06/15

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


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