エコ住宅や日曜大工の工房、屋上庭園の設置を目指すパリのコーポラティブハウスプロジェクト

土地の購入から集合住宅の建築、維持管理まで、入居者が共同で行う“コーポラティブハウス” (フランス語では“アビタ・パルティシパティフhabitat participatif)の計画が、パリで進んでいます。

2014年7月のコラムで希望者210人が集まった初会合のニュースをお伝えしましたが、その後の第二次審査で12グループに絞り込み、今年2月に3区画のグループが決定しました。

市民参加型の“コーポラティブハウス”づくり パリでも計画がスタート

3区画は、パリ北東にある19区と20区に位置しています。選ばれたグループのプロジェクトを見ると、省エネと再生可能エネルギーの活用をめざしたエコ住宅であることはもちろん、共同ワークスペースや日曜大工の工房、屋上庭園の設置など、自然を豊富に取り入れ、隣人や地域住民との交流を目的としたスペースの提案が目立ちました。

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パヴィヨン・アルセナル(パリ建築博物館)に、第二次審査で選ばれた12グループのプロジェクトが展示されました。

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3つのプロジェクトの特徴を、簡単に紹介します。

19区:アルマン・キャレル通り(rue Armand Carrel)

選ばれたのは、9組の家族がメンバーのALFAMAAグループ。土地面積228㎡に6階建ての建物で、住宅は12軒(そのうち3軒が貸し物件)。

環境への配慮がキーワード。屋上に植物の温室とコンポストを活用した菜園を設置。水やりは雨水を活用する。壁には麻繊維を詰めて防音効果をアップ。

20区:ガニエ・ギイ通り(rue Gasnier Guy)

低所得から中所得のメンバーが集まったというUTOPは、「少ない収入を合わせて、自分たちの住宅をつくることを選択した」とのこと。音楽スタジオや多目的室、共同で使用する自転車や車、洗濯機、調理器具などの購入も予定されています。

また地域、社会への貢献も配慮されていて、アパルトマンの一部は社会住宅として、住宅問題を抱える人に貸される予定。さらに文化・教育、学生問題に関する協会とも提携して活動していくそうです。

20区:ガニエ・ギイ通り(rue Gasnier Guy)

2と同じ通りにある289㎡の土地。4組の家族がメンバーのDEDANS/DEHORS グループは、住民同士の交流をテーマにした住宅を計画。たとえば、住民のだれもが使えるテラスや一般の人にも開放する菜園が設置される予定。より快適な生活環境を得るために、アパルトマンは上下2階にわたるデュプレックス・タイプにし、生活の場と寝室を分割。暖房は木材のボイラーを選択しています。


この3グループは今後、今年9月までにより具体的な建築プランを制定。環境やエネルギー消費量、実際の建築や運営にかかる費用などを含めて、実現可能かどうか、さらに確認審査が行われます。

今回選ばれた3区画のプロジェクトは、現代が抱える環境や経済、社会的な問題を、自分たちの手でよりよい方向へ変えようとする意思が見えるような気がしました。いよいよ実現に動き出したパリのコーペラティブ・ハウスの動きは、今後も見守っていきます。

2016/05/23

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


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