パリで隣人関係のアンケートを実施  手助けは「人生の価値」「喜び」

「フェット・デ・ヴォワザン(隣人祭り)」を主催している非営利団体「ヴォワザン・ソリデール」とフランスの年金管理機構AG2Rラ・モンディアルは、共同で隣人関係に関するアンケートを実施。2015年12月にその結果を発表しました。

アンケートは昨年9月25日から10月5日まで電話で実施され、2214人から回答が得られました。主な内容を見てみましょう。

Q.隣人との出会いは?

「自宅の前で会った」が66%、続いて「住宅や地区の行事で」が38%、「管理組合の会議や借主の集まりで」が21%、「家の問題(水漏れなど)」が10%と続きます。

Q.隣人のために割く時間は?

55%が週に最低15分以下を割いており、そのうち週に30分以上と答えたのは26%。65歳以上の場合、92%が「隣人を助けている」、3分の1の方が週に30分以上を割いている回答していて、高齢者ほど隣人に手を貸していることがわかります。

Q.隣人の手助けをする際の動機は?

大多数の81%が「人生の価値観」、45%は「正しい振る舞いの交換」、20%が「喜び」と答えています。隣人との関係を、価値のある生き方のひとつと考えていることがわかります。

Q.どんな人を助けているか?

「特に問題がない人」(46%)「特に問題のない高齢者」(17%)が上位を占め、健康や社会的に困難がある人に対しては4分の1にとどまりました。また25歳~34歳の若年層の60%が「特に問題のない人の手助けをする」と答えていたというのも、意外な結果でした。隣人が大変だから助けるのではなく、上記の回答のように、人生のなかで価値のある行動や喜びとしてとらえているからでしょうか。

Q.助ける内容は?

多い順に①留守中の手伝い(植物の水やり、郵便物の回収など)、②定期的に訪問する、③雑務の手伝い(日曜大工、掃除など)、④行政手続の手伝い、⑤買い物をしてあげる、⑥子供の面倒を見る(学校の送り迎え、留守中に預かる)など。

Q.隣人を助ける際のブレーキとなる理由は?

「邪魔するのが怖い、遠慮」と答えた人が51%、「ライフスタイルの違い」が35%、「時間がない」が18%でした。アンケートを実施した「ヴォワザン・ソリデール」は、年齢の差がブレーキになっていない点をポジティブな点としてとらえていました。

Q.どんな機会やスペースが隣人との関係を増やすきっかけになると思いますか?

もっとも多い回答は「近所での行事(お祭りなど)」(47%)、「隣人が集まるスペース」(13%)、「集合住宅や地域にいる指導者の存在」(10%)と続きます。

Q.隣人を助けることに関する満足度は?

1から10の尺度で尋ねたところ、平均は7.9。週に30分以上手助けしている人の65%が8から10をつけており、より長い時間を費やしている人ほど満足度が高いことも分かりました。

隣人の手助けをする時間が週に最低でも15分あるというのは、予想外に長く感じました。「ヴォワザン・ソリデール」によると、55%の家庭(2700万軒)が週15分、隣人を助けるために割いたとして計算すると、35億円の経済的価値があると試算(1時間20ユーロ)。社会的な結束が高まるだけでなく、各家庭の支出を抑えるためにも、大変な効果があるとしています。「隣人祭り」のように、隣人同士の交流を深める行事も、ますます必要になるでしょう。

同団体は、クリスマス時期には『ノエル・デ・ヴォワザン(隣人のクリスマス)』、寒くなると『グラン・フロワ(大寒)』といったキャンペーンを行っています。

『グラン・フロワ』のポスター

『グラン・フロワ』のポスター

手助けが必要な内容や、助けてあげられる内容を書き込むことができるチラシ。集合住宅のロビーなどに張っておきます。

手助けが必要な内容や、助けてあげられる内容を書き込むことができるチラシ。集合住宅のロビーなどに張っておきます。

クリスマスは家族が集まる楽しい時期だけに、孤独を感じる人も少なくありません。集合住宅でクリスマスのデコレーションをしたり、隣人を誘い合ってお祝いしたりすることを薦めています。

『グラン・フロワ』で呼びかけているのは、寒さでなかなか外出できない隣人の代わりに買い物にいったり、暖房の状況を確認したり、雪かきをしてあげるといった手助けです。

フランスでは(とくにパリでは)、二世代や三世代が同居する例は少ないため、一人暮らしの高齢者も少なくありません。とはいえ隣人に対して自分自身が何ができるかと考えると、なかなか簡単なことではありませんよね。隣人を気にかける、声を掛けるといった小さなことから始めてみようと思います。日本のマンションではいかがでしょうか?

2016/02/22

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


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