パリ建築・文化財博物館に、住宅と建築を考える新しい“プラットフォーム”が誕生

エッフェル塔が望めるトロカデロ広場にある建築・文化財博物館内に、建築や住宅を考える新たなスペース「Plateforme de la la création architecturale(建築クリエーションのプラットフォーム)」がオープンしました。

館内は、①公団をはじめとする集合住宅に関する「住宅ラボ」Laboratoire du logement 」、②フランス人とフランス人以外の建築家2組が、それぞれの考えをインスタレーションとビデオで発表する「デュオと討論 Duo et debat 」、③講演会場の3つのスペースに分かれています。

住宅ラボには、1971年から約40年間にわたる集合住宅の歴史や法律の変遷を展示し、建築家ら関係者のコメントをビデオで紹介。時代ごとに集合住宅に求められてきた“課題”を問い直しています。

 1971年から2014年までの歴史がずらりと紹介されています。

1971年から2014年までの歴史がずらりと紹介されています。

集合住宅の模型も展示されています。

集合住宅の模型も展示されています。

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「デュオと討論」のスペースは、3カ月ごとに建築家やデザイン事務所が変わります。主催・コーディネートしているフランス建築協会会長のフランシス・ランベールさんは、「お互いに知らない2組の建築家が、建築作品ではなく、考えをインスタレーションで発表してもらう、これまでにないコンセプトです」と話していました。

現代の建築家は、都市問題や環境問題、人間工学など、さまざまな視点が求められています。2組の建築事務所の討論会も開いて、決まりきった講演会では聞けない、それぞれの視点や考えをぶつけあう場にしたいそうです。

初回は2016年1月10日までの展示で、パリをベースに活躍するTVKと、アムステルダムのRAAAF。TVKは都市問題への意識が高い建築事務所として知られていて、学生寮や老人ホームのほか、パリのレピュブリック広場のデザインなども担当。

RAAAFは、科学者らと共同で発表した椅子や机のないオフィス「The End of Sitting」(座ることの終焉)プロジェクトが話題になりました。

2組の建築家のインスタレーション。左の白い部分が、大地をテーマにしたTVKの作品。説明の中には「環境はもはや建築を取り巻くものではなく、建築そのものである」と書いてありました。右側の真っ黒な部分がRAAAFによるもの。

2組の建築家のインスタレーション。左の白い部分が、大地をテーマにしたTVKの作品。説明の中には「環境はもはや建築を取り巻くものではなく、建築そのものである」と書いてありました。右側の真っ黒な部分がRAAAFによるもの。

 RAAAFの作品。写真では分かりにくいですが、黒い壁にいくつか小さな穴があって、中をのぞくと彼らの作品が見えます。

RAAAFの作品。写真では分かりにくいですが、黒い壁にいくつか小さな穴があって、中をのぞくと彼らの作品が見えます。

壁や床のペイントはグラフィックアーティストが手がけたそう。

壁や床のペイントはグラフィックアーティストが手がけたそう。

規模はそう大きくありませんが、建築博物館というより、現代美術の展覧会にも見えるユニークなスペースでした。展示内容は定期的に変わりし、住宅ラボでは今後、仮設住宅や移動式住宅についてのコンクールや討論会も予定しているそうなので、今後のプログラムにも注目していきたいと思います。

Plateforme de la la création architecturale
建築・文化財博物館 Cité de l’architecture et du patrimoine
7 avenue Albert de Mun, 75016 Paris

http://www.citechaillot.fr/fr/expositions/plateforme_de_la_creation_architecturale/

2015/11/20

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


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