オールジャパンで「オヤノコト®」を世界に発信したい  —オヤノコトネット社の取り組み(後編)

前回と今回の2回に分けてご紹介している株式会社オヤノコトネットの取り組み。今回は、高齢の親を持つ35歳から59歳の「オヤノコト」世代に向けて情報提供するフリーペーパー「オヤノコト.マガジン」の評判やエキスポの反応、これからのマンションライフと親について、代表取締役社長大澤尚宏氏に伺った。

みんなが待っていたマガジン! クチコミで広がる「オヤノコト.マガジン」

株式会社オヤノコトネットが発行するフリーペーパー「オヤノコト.マガジン」は、現在20万部を発行。都心部の都営地下鉄駅構内のスタンドや大手町、丸の内、銀座エリアでの配布、ららぽーと豊洲・ららぽーと船橋(左の写真)や、全国のイトーヨーカドー「あんしんサポートショップ」などで無料配布されている(※在庫がなくなり次第、配布は終了)。

2012年4月に発行されたばかりの8号では、作家 井上靖の晩年の母との暮らしを描いた映画『わが母の記』主演の役所広司さんへのインタビューや試写を観た会員読者の声、親に勧めたい使いやすい掃除機のレポート、専門家の目から語る「福祉用具レンタルサービスの価格の違い」など、「オヤノコト」世代が気になる情報が満載だ。

「自分自身も『オヤノコト』世代ですから、マガジンやエキスポで取り上げる商品やサービスは、やはり1ユーザーの目でチェックしています。自分が探していて見つからない情報は、他の人も探しているはずですし、そういう役に立つ情報を積極的に紹介したいですね。逆にスタッフと相談しながら、『親にとってちょっとどうかな?』と思うサービスや商品はなるべく掲載しないようにしています」と大澤氏。

オヤノコトネット社では、マガジンの掲載広告やエキスポの出展商品についても、独自の基準で選定するように努力しているという。

大澤氏はその理由を、「シニア市場はまだまだ未成熟であり、ほんとうにニーズと価格が合致している商品は少ないと感じています。我々はこうした商品やサービスを再度ブラッシュアップするお手伝いもしながら、私たちを支持してくださっている読者の皆さまと共に、健全な市場として成長させていきたいからです」と説明する。オヤノコトネットの活動には、「オヤノコト」という揺らぎないコンセプトが一本の大木のように貫いている。

オンリーワンな存在の「オヤノコト」を支持する熱烈なサポーター

そんなポリシーを支持するのが、「オヤノコト」世代の読者やその親世代読者、医師や介護などの専門分野の団体といったサポーターだ。

「医療関係者や介護・福祉専門職の方のなかには、こんなマガジンを待っていたんだとおっしゃって、自分の患者さんなどに配ってくださる方もいます。また、ご自分のブログで紹介してくださる方もいらっしゃいます。我々も知らない場所で『オヤノコト.マガジン』が設置されていたということもままあります。他にこういったテーマのマガジンがありませんから、意外とみなさんが待ち望んでいた内容ということもあるのでしょうね」

専門分野のサポーターだけでなく、熱心な一般読者が多いのもマガジンの特長だ。

「8号に掲載した映画試写会では、来場された会員読者から編集部宛にお土産をいただきました。お電話やお手紙もたくさんいただきます。また、旅行にいったからとお土産を送ってくださる親世代の会員読者もいますし、子どもの家へ『オヤノコト.マガジン』を郵送してほしいという電話をいただいたこともあります。さすがにこれは個人情報の問題に関わるのでお断りしましたが(笑)。子世代だけじゃなく、実は親世代にも読者が多いんです。また、『オヤノコト.エキスポ』は70代のご夫婦や、80代の方などの親世代も来場されます。みなさん、便利なもの探しや、先々の不安解消のための情報を求めて、熱心に来場してくださっているのだと思います。そのご期待にお応えしたいといつも思っています」

果たせない親孝行、そんな想いを抱える人の背中を押す存在になれれば

「エキスポ参加企業のご担当者も『オヤノコト』世代が多いので『離れて住んでいる老親のことを気にしている』という話を伺うことは多いです。実家へ帰省する度に『たまには温泉にでも』とか『そろそろリフォームが必要かも』『呼び寄せた方がいいかな?』などと思いつつ『今度、そのうちに・・・』と先延ばししているという方は意外と多いようです。高齢の親を旅行に連れて行かないと後悔するんじゃないかと思っていた方が、マガジンを読んできっかけを貰った気がするとおっしゃってくださったこともあります。同じ想いを抱えた人は、何十万人もいいらっしゃるのではないでしょうか。その人達が、やっぱり親を連れていこう!と決断したらどうでしょう? きっとそれなりの大きさの市場になるはずです。
当社のメディアやイベントが、そんな親孝行の想いを持ちながら果たせていない『オヤノコト』世代の背中を押す存在になっていければいいですね」

専門分野の関係者や読者だけでなく、エキスポに参加する企業の人々もまた、「オヤノコト」世代なのだ。親を持つ誰もが抱える共通した、果たせない親孝行への想い。そこに気付きを与えたということでも、オヤノコトネットの存在意義は大きい。

親子でウォーキングイベント、楽しみながら商品への理解を深める

エキスポでは、親子参加型で楽しめるアトラクションも実施し、親子交流や、シニア向け商品の訴求といった面でもバックアップしているという。

「2011年のエキスポで開催した『親子で歩こう丸の内!』という参加型イベントには20組のご招待募集に100組を超えるほどの応募がありました。娘さんと母親という組み合わせも多いですが、すごく仲のいい息子さんとお母さんという方もいらっしゃいました。『こういうイベントがあるから丸の内行ってみない?』って、子どもが親を誘うきっかけづくりになりますからね。このときは体験モニターとして歩行サポートシューズをあるシューズメーカーに提供していただきました。こういう企画をきっかけに親子の会話が弾む、そんな動きが活発になっていけば、もっとシニアマーケットは豊かになっていくはずです」

日本人らしさを活かして、「オヤノコト」を世界へ発信したい

思いやりにあふれた親子関係が増えるほど、社会も自然にいい方向へ発展していくはずだ。オヤノコトネットの今後のテーマは、親子関係だけに留まらず、社会全体への働きかけへ移りつつあるという。

“親子の愛から、新しい社会を。”「オヤノコト」を世界へ向けて

「昨年は大震災という社会の根本を揺れ動かした悲惨な出来事もありました。親と子のつながりは、人と人のつながりにも自然と拡大していきます。超高齢化社会が加速する日本の課題解決のヒントのひとつは日本人らしい思いやりの連鎖ではないのか・・・という考えから、“親子の愛から、新しい社会を。”というメッセージを、オヤノコト.マガジンの最新号で発信しました」
「“モッタイナイ”が世界で注目されましたが、これからは日本から高齢社会の課題解決手法を世界に向けて発信しないといけないと本気で思っています」

 

日本人らしい“繊細な心遣い”とものづくりの技の融合で、世界に発信!

日本から世界へ発信していく、日本オリジナルの考え方。大澤氏は、国際競争に押されがちな日本のものづくりの現場の閉塞感も、『日本人らしさ』という付加価値を具体的に体現することにあると力説する。

「たとえば高齢ドライバーに多い、アクセルとブレーキの踏み間違いを防止する装置を開発した会社もありますし、助手席や後部座席が回転してリフトアップしたりする自動車をメーカーがラインナップしているのも日本だけです。こういったアジアや欧米でまだ存在していないような、きめ細やかな“発想”から生み出せる物はまだまだいっぱいあるはずです。日本人らしい“繊細な心遣い”と、ものづくりの技の融合で、日本発のビジョンのある商品やサービスを発信するべきです。我々が高度成長に酔いしれ、置き忘れてきたこの“らしさ”を、もう一度取り戻そうとしないと、今の抱えている閉塞感は解決しないと思います」

いかに楽しむか? これからのマンションライフと「オヤノコト」世代

マンションに住まう親世代や子世代も多くいる。マンションライフのなかで、「オヤノコト」世代は今後どういうかたちで親とつきあっていくのだろう。未来のマンションライフが「オヤノコト」を考えられるようなライフスタイルになるには、どういうことがあるだろうか。マンション・ラボ会員にとって気になるその点について大澤氏に伺った。

親を呼び寄せて、親子で同じマンションの別フロアに住まう例もある

最近多いのは、親子で同じマンションを購入して住まうライフスタイルだ。地方で一人になった高齢の親を呼び寄せ、2世帯のマンション住戸を購入し、上の階と下の階で住む。マンションならではの、スープの冷めない距離感のある親子ライフスタイルである。

「そうですね。今後、親を呼び寄せて同じマンションに住むという可能性は高いでしょうね。そこでの問題は、地方から子どもの元へ引っ越していらっしゃった親が、いかに楽しく、快適に新しい環境で暮らし続けられるか、そのケアという点ではないでしょうか」と、大澤氏は指摘する。

マンションコミュニティを活用して、呼び寄せた親のハートフルなケア

「たとえば呼び寄せた親のケア、介護とかでなく、ハートフルなケアを考える必要があるでしょうね。親が新しい環境で楽しめるか、その部分もケアできるプラットフォームを、当社が『オヤノコト.エキスポ』でやっているようなかたちで提供するという可能性もあるかもしれません。我々に期待されるビジネス・モデルもどんどん変わってきています。今後もさまざまなかたちで積極的に関わっていければいいですね」

たとえばこれは未来の夢だが、『オヤノコト.エキスポ』で行っているような親子参加型イベントを、マンションの集会所を利用して、居住者同士が楽しめるイベントやセミナーとして開催するといった可能性も考えられるだろう。経験豊かな高齢の親世代が小さい孫世代に何かを教えたり、逆に子世代からインターネットやパソコンを教わったり、というケースも考えられるだろう。教え教えられる場というのは、人の心を豊かにし、生きがいもできるはずだ。コミュニティを活用すれば、未来の親子関係はより楽しいものになるにちがいない。

オヤノコトネット社のテーマである親子関係をキーワードにしていくと、これからのマンションライフの新しいかたちを考えるヒントになりそうだ。

7月14日(土)・15日(日)「オヤノコト.エキスポ2012」有楽町で開催!

2012年7月14日(土)・15日(日)には、「第5回オヤノコト.エキスポ2012」が有楽町の東京国際フォーラム展示ホールで開催されれる。各界の専門家や著名人による講演の他、「オヤノコト」世代に役立つさまざまな商品やサービスが一同に集うこの機会に、ぜひ情報収集をしてみてほしい。
サイトでは、昨年のエキスポの様子を動画でも見ることができる。
>オヤノコト.エキスポ


オヤノコトネット社の取り組みはいかがだっただろうか?
この記事を読んで、「そういえば最近親に連絡していないな」「たまには親孝行しようかな」と思われた方は、まず親に電話してみてはどうだろうか。何気ない日常の会話でも、親にとっては嬉しいものだ。
「オヤノコト」世代のマンション居住者も、親孝行を考えているだけでなく、そろそろ行動することを考えてみてはいかがだろうか。

株式会社オヤノコトネットとは・・・

「そろそろ親のこと」をコンセプトに、親や自分の家族のこれからの生活を守るヒントを提供する企業、株式会社オヤノコトネット。親子二世代で気軽に来られるイベント「オヤノコト.エキスポ」の開催や、フリーマガジン「オヤノコト.マガジン」の発行、親孝行情報提供サイト「オヤノコト.net」の運営など、さまざまな展開で親と子の関係を提案している。
株式会社オヤノコトネットの「オヤノコト.net」はこちら

※「オヤノコト」世代とは、高齢の親を持つ35歳から59歳の子ども世代のこと。株式会社オヤノコトネットの造語です。
※「オヤノコト」「家族のコト」「そろそろ親のこと」「オヤノコトドットネット」「親孝行旅行」は株式会社オヤノコトネットの登録商標です。

2012/05/18