[コミュニティ座談会4]マンションコミュニティの方向性と課題とは?

マンションのコミュニティの実例や理想のコミュニティのかたちを話し合ってきた座談会の最終回。数々の事例から、これからの理想のマンションコミュニティはどうあるべきかという結論、そして今後の研究室の課題に至りました。

今回の研究担当

平生進一氏 株式会社メックecoライフ 取締役社長。三菱地所の商品企画部長として数々の分譲マンションを手がけ、現在はメックecoライフ社でマンション開発企画、及び既存マンションの環境・デザインに関する研究・提案を行う。

三輪弘美氏 三菱地所レジデンス株式会社 ブランド・CS推進部 リーダー。株式会社メックecoライフを兼務。マンション開発企画を経験し、現在は「ザ・パークハウス」のブランディングと住まいのエコを中心とした研究・提案も行っている。

藤本奈美氏 マンション・ラボ研究員 株式会社つなぐネットコミュニケーションズ

必然性と娯楽性を併せ持ったコミュニティの可能性

藤本 今回は、マンションの「理想のコミュニティとは?」という命題の答えを考えてみます。いままでの事例から、コミュニティの役割やかたちについてどうお考えですか?

三輪 「コミュニティはこれだ!」ってひとつに定義できないと思いました。管理組合や居住者の交流だけでなく、防犯、防災、高齢者問題といった役割まで含まれてくるのですから。

平生 今回の座談会で、コミュニティに対してもやもやしていた概念が整理されましたね。マンションの管理組合を重荷と考える人もいるかもしれないけれど、マンションには一人では持てないスペースや時間がたくさんあるんだからそれを活用して別次元で楽しもう、というきわめて前向きな意識もありました。居住者のBBQやお喋り会といった娯楽性のあるものはそうですね。

藤本 いままでのコミュニティの例を整理してみると、この図のようになると思います。防災や高齢者などの必要に応じた目的に沿ったコミュニティは必然性を持っていますし、一方趣味や遊びを共有するコミュニティは娯楽性を持っていています。

 

平生 そのどちらも、誰でも積極的に参加しやすく、大きな可能性を秘めているのは、いままで紹介してきた事例でも実証されましたね。この二つの重なり合った部分を備えているのが、理想のコミュニティなのかなという気がしています。

三輪 必然性があって娯楽性のあるコミュニティですね。

藤本 もちろん、「必然性」と「娯楽性」の要素には、もっといろいろな項目があるはずですが、必要があって楽しめること、楽しめるし必要のあることが備わっていてほしいですね。

コミュニティはお祭りと表裏一体、体験と共有を目指す

平生 僕は、コミュニティって、「祭り」だと思っているんです。お祭りってイヤだなと思ってる人もいるけど、伝統だから続いている。お祭りが続いているからコミュニティがあって、コミュニティがあるからお祭りが続いている。歴史の中でのコミュニティは、そうやって存在してきた。ある意味、祭りを強引にやり続けることは、共同体験であり意識共有として必要なことなんです。

藤本 それが、長年の間で、伝統につながっていったんですものね。

日本古来の『祭り』こそが、コミュニティの鍵を握る、と平生氏

平生 祭りのような共同作業、つまりリアルに皆が頭や体を動かすことがコミュニティのベースなのかもしれないですね。管理組合で話し合っていることって、みんなで挙手だけで、あとは外部の業者に任せる訳で、そういうのは、本当にコミュニティなのかなって気がします。手を使って知恵を働かせて必要なものを得る。そういう共同作業には、相当意味があります。それが、平時にも非常時にも、ちゃんと機能するコミュニティの基本なんじゃないでしょうか。

三輪 そうですね。コミュニティは、運命共同体でもある訳ですから。

藤本 94%の人が「コミュニティが必要だ」と思っていながら、結局それができていない。そのなかで、強引に一緒にやることが必要で、かつ自らが運営や体験に関わっていかないといけない。「体験」が大切なんですよね。

平生 やらなきゃいけない義務感とマンション暮らしって相反するものがありますよね。それらを結びつけるために、防犯とか防災という「目的」が必要になっているのかもしれないね。

コミュニティが有効に機能するために ~研究室の役割とは~

藤本 積極的にコミュニティに参加という意味で考えると、何か住民が共感できる共通の目的が必要だと思いますがいかがでしょうか? そのほうが一致団結しやすくなると思うのですが?

「住民同士が自然と参加できる何らかの仕掛けが必要だと思います」と語る三輪氏

三輪 やはり何か仕掛けが欲しいですよね。たとえばマンションの資産価値やブランディング効果が上がるとか、そういうことがあれば、自然と活動にも参加しますよね。ただ、マンションのエリア・ライフスタイル・規模によって位置づけが異なりますから。マンション個々の個性にあわせた仕掛け作りを考えていくべきなんでしょうね。

藤本 子育て世帯が多ければ、子育てイベントを行う。防犯に特化する。高齢者世帯が多ければ、カフェや医療サービスを設ける。そういった特化したサービスの付加ですよね。

三輪 すてきなコミュニティがあることで、「やっぱりここ住んでみたい」とか「空いたらぜひ入りたい」と思わせるようなマンションの魅力のひとつになっていくといいですね。

藤本 住民100%全員の意見一致は無理としても、マンション内の挨拶程度とか防災とか、何かやろうと思ったときに、その人達が何を手本にしていいかわからないと思うんです。そこでやはり、我々からも実例を情報として提供することが必要なんではないでしょうか。そういう情報って、あるようでないような気がします。マンション・ラボからも、エンターテインメント性を持って読める取材や、コミュニティ作りのモチベーションを上げるお手伝いや気付きを与える情報発信をしていきたいですね。

三輪 マンション竣工後は、これまで私達がお客様の暮らしに入るすき間がまったくありませんでした。今回たまたまミッド オアシス タワーズに参加できたことで、デベロッパーとして一緒にお客様とマンションとのおつきあいを築きながら、何らかの関わりとそれを広めていく場が必要だと実感しています。

平生 マンションのコミュニティというお題を入口にして、ものすごい広がりそうですね。マンションのコミュニティって非常に難しいテーマだけれど、売り主と買い手の関係も、いままでのようにきっちり線引きして分けるのではなく、こちら側からもお客様の懐へ飛び込んでいかないといけないと思っています。

コミュニティ形成のために、今後は売主とお客様との関係をより深めていくことが必要と両氏。

藤本 コミュニティにはいろいろな課題が数多くあります。それをひとつずつ考察していくために、今後は先に触れた「マンションコミュニティの方向性」を題材に、いろいろなマンションでのコミュニティ活動はもちろん、海外のマンションや他業界での事例、また有識者の意見などをもとに、成功の秘訣やヒントを一緒に探っていきたいとおもいます。またコミュニティを形成したいという人にも、アンケートを通じて、もっと意見をうかがっていきたいですね。今後も引き続き、どうぞよろしくお願いします。

コミュニティさまざまな視点

各テーマごとに様々な視点から解決策を検討していきます。

 

2012/04/02