第1回 「マンションに住まう」をデザインする(前編)

「マンションに住まう」を考えるというテーマを掲げたこの研究室を進めていく上で、マンションのすべてを知り尽くした人物は必要不可欠だ。誰にお願いすることがベストなのか?と考えたとき、一人しか思い浮かばなかった。その人は独自のマンション哲学があり、常に革新的なマンションの未来を提言し続ける人。株式会社メックecoライフ社長の平生進一氏だ。研究室立上げを相談したところ、快諾いただいた。

まずは平生社長を中心に、この研究室でさまざまなテーマを研究していくこととなった。

研究趣旨 「マンションに住まう」を考える!

「マンションに住まう」事にこだわった情報が少ない

マンションを購入するための情報(口コミ情報、物件情報、広告など)は巷に溢れている。これはマンションを購入したい人と売りたい人のニーズが極めて合致したシーンであり、当然ながら発信する情報も多くなるのであろう。一方、マンション入居後、すなわち「マンションに住まう」事にこだわった情報は、マンションを購入するための情報に比べて少ないように思われる。

マンションだからこそ考えられるライフスタイルの可能性

「住まう=ライフスタイル」と定義した場合、メディアは性別、年齢、趣味・趣向に向けた情報発信が定石であり、マンションに住む人々をターゲットにした情報を発信する必然性が感じられないのだろう。また、マンション居住者にとっても「マンションだから・・・」という特別なライフスタイルを感じる機会が少ないのかもしれない。

しかし、マンションという居住形態やライフスタイルには、様々な特色と可能性を秘めているはずだ。

たとえば、マンションには、こんな特色が考えられる。

• 居住者が共有する資産、施設がある
• それらを管理・運営する規則と自主組織がある
• 一つの大きな建物にさまざまな知識や価値観を持った人々が生活をしている
• 集住だからこそできることがある
• 「住まう」ことで創られる、それぞれの文化がある

そんなマンションならではの特色を活かした情報を、居住者自身が生活の中に取り入れていけば、「マンションに住まう」ことは、さらに豊かになるだろう。

居住者と一緒に「住まう」を考えていきたい

マンションを購入することは、人生で一番大きな買い物であり、マンションに住まうことは、家族と多くの時間を過ごす場である。だからこそもっと「マンションに住まう」ことの楽しみや価値を、マンション居住者の皆さんと深く考えていきたいというのが研究室の切なる願いである。

マンション・ライフを豊かにするための「種」づくり

当研究室はハード、ソフト、環境、コミュニケーション、トレンド、流通など様々なテーマにアプローチし、調査・研究していきたい。そしてこの研究室からの情報発信が、マンション・ライフをより豊かにするためのさまざまな「種」となって、皆さんの暮らしの中で育んでいただければ幸いである。

研究室長

平生進一氏平生進一氏
株式会社メックecoライフ 取締役社長
http://www.mececolife.co.jp/

三菱地所の商品企画部長として数々のニュータウン、リゾート、分譲マンションのパークハウス・シリーズを手がけ、現在はメックecoライフ社でマンション開発企画、及び既存マンションのライフスタイルに対して環境・デザインに関する研究・提案を行う。同社では、一括高圧受電+太陽光発電システム「soleco(ソレッコ)」や、環境配慮型集合住宅「パークハウス吉祥寺OIKOS」など、革新的なプロジェクトを次々推進して脚光を浴びている。

マンションを創るためのソフトを担う私の仕事

編集部 この研究室の趣旨に賛同いただきありがとうございます。まさにマンションプロフェッサーともいえる平生社長に研究室長をお引き受けいただけ、これからどんどん興味深い研究をご一緒できそうでわくわくしています。

平生氏 私も、この研究室には期待しています。実はいま作家の井形慶子さんとラジオ番組(※)をご一緒しているのですが、私はそこで「住まいのご意見番」として出演しておりまして、住まいに関するあれこれや、突拍子もない話をしています(笑)。この研究室でも、「マンション住まいのご意見番」として、国内外の住まいの違いや最新情報、未来のマンションのかたちなど、さまざまな話や研究を行っていきたいですね。

※「West and Talk」(http://www.fmfuji.co.jp/)毎週日曜日9:00~9:54 パーソナリティー/井形慶子(FM-FUJI/東京78.6MHz)

編集部 ご意見番ですか! それは非常に心強いです(笑)。ところで、読者の方々にまず、平生社長の株式会社 メックecoライフについて説明していただけますか? どのような会社なのでしょう?

平生氏 弊社、株式会社 メックecoライフは、三菱地所グループの一員として、デベロッパーである三菱地所レジデンスにマンションの企画を提案していく立場にいます。特に三菱地所グループの住宅事業において、環境配慮の取り組みを推進する会社として設立いたしました。いわば、マンション開発の環境配慮面でのソフト部分=企画を担っている会社といえばおわかりいただけるでしょうか。

編集部 すごく簡単にいうと、「環境配慮型のマンションの企画を考える会社」ということでしょうか?

平生氏 そうですね。具体的には、新規マンション計画において、環境に配慮したデザインや再生可能エネルギー導入について研究を行うほか、既存マンションのリノベーションなどリサイクルサービスの向上などについてもさまざまな研究を行っています。三菱地所グループでは、中期経営計画の一つの柱として「eco-コンシャス」を掲げており、グループあげて積極的に地球環境への貢献を進めています。弊社は、その先鋒的位置づけにいるといえます。

編集部 プラン立案面では、「こんなマンションが欲しい」「あんなマンションが欲しい」というお客様のニーズを調査・研究して、マンションの企画を構築していらっしゃるのでしょうか?

平生氏 そうですね。通常、お客様から意見を伺っていき、相互コミュニケーションを繰り返しながら調査・研究を行っています。さらに今新たに、その活動の場をweb上に移していこうとしているところです。webから双方向に情報発信を行いながら、戻ってきた情報を分析し、さまざまな分野の有識者にプランづくりを手伝っていただき、常にお客様とコミュニケーションをとりながら、画期的なプランや新しいライフスタイルを伺っていきたいと考えています。webというインフラの上で、お客様と一緒にものづくりを行っていく方法論をいままさに構築しようとしているところです。

編集部 それは、webアンケートを通じてマンション居住者のリアルな声を吸い上げていく我々マンション・ラボのスタイルとまさに一致する点ですね。その新しい試みについても、今後じっくりお話をお聞かせください。

平生氏 そうですね。今後マンション・ラボともコラボレーションしていければ、もっともっと面白くなりそうですね。

後編はこちら
あわせて平生社長のインタビュー記事「日本のマンションエコ事情」もご覧ください。

2011/07/15