第1回 「マンションに住まう」をデザインする(後編)

デベロッパーと居住者との新しい関係性とは?

編集部 この研究室の設立のきっかけは、マンション居住者のための情報があまりに少ないということが発起点でした。その点についてはどうお考えでしょうか?

平生氏 まさにその通りだと思いますよ。いままで、マンション購入後に、居住者と売主であるデベロッパーとの交流や情報交換の場というものはありませんでした。マンション販売のためのポータルサイトは多いけれども、マンションに住まうことに関しての情報は非常に少ない状況ですね。

編集部 自分の例で考えても、一度購入ししてしまうと、売主や販売会社とは、会報誌が送られてくる程度のつながりしかありません。なんとなく関係が断ち切れている。もっと暮らしに役立つ交流の機会があってもいいんじゃないかと個人的に思います。こうした現状については、マンション業界全体でも何かお考えになっているのでしょうか?

平生氏 マンションを購入した時をお客様とのおつきあいの起点として、売主として、今後どういう住まいの情報を提供していくのかという観点は、非常に重要になっていくと思います。これは弊社だけでなく、マンション業界全体でそうですね。いままでのおつきあいでは「管理会社がお客様へ」という方向でしたが、今後は「デベロッパーがお客様へ」というように主語を変えて、お客様との関わりを考えていく必要があると思います。また、一方向でなく双方向である必要もあります。我々デベロッパー側も、まさにいま、そのスタートラインに立ったところといえますね。

編集部 これからは、デベロッパーと居住者の関わり合いが深まっていく可能性があるということですね。

平生氏 デベロッパーが長いスパンで、お客様と深くおつきあいしていくことが、お住まいのマンションの価値にもつながりますし、引いてはデベロッパーにとってもマンションのブランドパワーにもつながり、お互いに得るものは大きいと思います。

編集部 居住者とデベロッパーが、マンションという住まいを通して、長いおつきあいを構築していく訳ですね。

平生氏 これからその新しい関係を構築していくんだと思いますが、ある意味、人生のパートナーのような存在になるのかもしれませんね。

常識をリセット、対話によって創られるマンションの新常識

編集部 今後この研究室で取り組んでいきたいことや意気込みをお聞かせください。

平生氏 たとえば、いろいろな「マンションの常識」をリセットして皆さんと考えていきたいですね。マンションでは、自明の理として、なんとなく居住者の皆さんがあきらめていることが多くあるはず。

その点を皆さんと意見交換していきたいと考えています。マンションでは、これをしちゃいけない・あれをしちゃいけない、という制約を自ら与えているような部分がありますよね。それは、マンションというものがどこまでが自分のものなのか理解していないからでもあるし、管理規約の根本的な意味を理解していないのだと思います。そこを理解してもっと自由な発想に立って皆で考えれば暮らしやすいルールづくりも生み出せるはずです。

いままで常識だと勘違いして自主規制して思いこんでいらっしゃる事柄についても、自由な発想で取り組めるような働きや気づきをご提供していきたいですね。

そして、我々マンションをつくる立場にある側としても、居住者の皆さんの自由な発想を伺っていきたいと考えています。実際にマンションに住んでいらっしゃる皆さんの意見や思いが、きっと新しいマンションの新常識づくりにつながっていくはずです。その点でも大いに期待しています。

マンションに住まう、未知の可能性

デベロッパーと居住者との長いつきあいの可能性、マンションの常識をリセットしてらしやすい住まいづくりを一緒に考えていくこと。平生氏と話していると、これからのマンションでいろいろなことが模索できそうな気がする。マンションの住まい方はどんな風に変わっていくのか? いやどんな風に変えていけるのか? それは我々居住者の発想にも関わっているにちがいない。

あわせて平生社長のインタビュー記事「日本のマンションエコ事情」もご覧ください。

アンケートにご協力ください

アンケート名:「マンション内のコミュニティについて」

●実施期間:2011/7/15~2011/7/25
●対象:マンション・ラボ会員の方
●特典:ご回答でもれなく10ポイントをプレゼント(1ポイント=1円)

※アンケートは終了しました。

2011/07/15