いつも自宅のWi-Fiを使って、ワイヤレスで快適にインターネットしているのですが、ときどき電波が弱くなったりつながりにくくなることがあります。
どうしてそうなるのか、安定して使いたいときはどうすればいいのか教えてください。
Wi-Fiは電波を使って大量の信号を高速にやりとりしています。電波は目に見えないので気づきにくいのですが、電波を通しにくいものが間にあると弱くなりますし、今は様々な電波が飛び交っていますから似たような電波がいっぱい飛んでいるとどうしてもつながりづらくなります。
似たような電波ってなに? 電波を通しにくいものってなに? じゃあどうすればそれらを回避できるの?
そういう話をしましょう。
Wi-Fiの接続が悪くなる理由にはいくつかあります。
ちょっと列挙してみましょう。
電波は遠くなればなるほど弱くなります。Wi-Fiの電波の到達距離は一般的に数10メートル~100メートル程度といわれていますが、これは見通しがよく邪魔するものが何もないところでの話。実際にはもっともっと短くなります。
電波は障害物があると弱くなります。さほど広くないマンションでも壁やドアをたくさん隔てているとぐっと弱まりますし、2階建て3階建ての一戸建てですと床と天井が障害物になりますからやはり弱くなります。無線LANアクセスポイントとの距離が同じくらいでも部屋によってWi-Fiの電波の強さに差はあります。また木造か鉄筋かでも変わってきます。
これは目に見えないから難しいのですが、住宅やオフィスが密集してたりすると、すごくたくさんのWi-Fiの電波が飛び交いますからそれらの電波が干渉してつながりが悪くなることがあります。また、Wi-Fiと同じ周波数帯の電波をつかう機器があるとそれが干渉することもあります。
ではそれぞれ対策を考えてみましょう。
まずは、「1」と「2」のケースです。
リビングでは問題ないけど、寝室だと電波が弱い、そんなときは無線LANアクセスポイントの設置場所を見直しましょう。
Wi-Fiの電波は突然切れるというよりは、電波が弱くなると不安定になったり速度が落ちたり、つながったり切れたりという動作を起こします。そのときは何らかの理由で電波が弱いのではないかと疑いましょう。

コツは無線LANアクセスポイントを家のできるだけ中心近くに置くこと。
中心におけば、どの部屋からでも同じような距離になりますから。
無線LANアクセスポイントをつなぐ電源コンセントが足りないからコンセントに余裕がある普段納戸として使っている部屋に設置しよう、あるいは一度設置したら普段は触らない機器だから目立たない場所にというのはありがちですが、そういう部屋はたいてい隅っこにありますから場所としては不利なわけです。
特に、浴室やお手洗いといった狭くて壁に囲まれた部屋は電波の入りがよくないので……そういう場所にスマートフォンやタブレットを持ち込みたい人はなるべくその近くに無線LANアクセスポイントを設置するのがよいでしょう。
無線LANアクセスポイントは電化製品ですから、条件が悪い場所に置くのもお勧めしません。たとえば昔、友人から「Wi-Fiの調子がすぐ悪くなる」というのでどこに設置しているのか尋ねたら、目立つところに置きたくないので風呂場の天井裏に設置した、と言われてびっくりしたことがあります。高温と高湿度は電化製品の大敵ですから、そういうところにおいたら壊れやすくなります。
でも、どうしても条件のいい場所に無線LANアクセスポイントをおけない、どこにおいてもどうしても死角ができてしまう、そんなときはどうするのがいいでしょう。
一番簡単で効果的なのが「無線LAN中継機」です。
無線LANアクセスポイントからの電波を受取って中継するため、効果的に配置すれば、家のどこにいても強い電波を受け取れるようになります。
無線LANアクセスポイントに比べて価格もお手頃ですし、設置も簡単です。

NEC 無線LAN中継機 867Mbps(11ac対応)
これまでWi-Fiが届きにくかったお部屋へも、電波をしっかり届けることができる無線LAN中継機です。コンセント直挿しでケーブル要らず。また、e-mansion推奨の無線LANアクセスポイント(NEC Aterm)をご利用中の方であれば、親機との接続もボタンを押すだけのカンタン接続。
つなぐネットオンラインショップでご購入いただくことができます。
続いて「3」の、電波が干渉しているケースを考えてみましょう。簡単にいえば、電波が混雑しているケースです。混雑すると、どうしても信号を拾い損ねたり、他の信号と混じったりして、結果として速度が落ちたり不安定になったりします。
Wi-Fiは電波を使って端末とインターネットをつなぎます。電波には「周波数」があります。
Wi-Fiが昔から使ってきたのが「2.4GHz(ギガヘルツ)」帯です。
当初は余裕があったのですが、Wi-Fiが普及するにつれ、どの家庭にも無線LANアクセスポイントが置かれるようになりました。住宅やオフィスや店舗が密集しているエリアですと、自宅のWi-Fiに加え、隣近所のWi-Fi、オフィスのWi-Fi、店舗のWi-Fiなど一度の数10個の無線LANアクセスポイントを検出できるほどです。
我が家は住宅地のマンションですが、これだけたくさんのWi-Fiアクセスポイントが検出できました。

さらに、この2.4GHz帯には難点があります。
Wi-Fi以外でも使われているのです。最近利用されることが多いBluetooth(ブルートゥース)という規格も2.4GHz帯ですし、ワイヤレスマウスやコードレス電話も、ものによっては2.4GHz帯を使っています。法律によって使って良い周波数帯が決められているので、どうしても集中してしまうのですね。
意外なところでは、電子レンジ。
電子レンジは「2.4GHzの電磁波を食品に当てて加熱する」仕組みです。電波をまき散らすわけではありませんが、電子レンジのボディから漏れた電波がWi-Fiに干渉することもあり、電子レンジを使っているときだけ調子が悪くなる場合は無線LANアクセスポイントの場所を変えた方がいいでしょう。
簡単にいえば、2.4GHz帯は様々な無線機器が利用するため、「混雑」しやすいのです。あまりに混雑がひどいと、Wi-Fiに悪影響を及ぼします。
ではどうすればいいでしょう?
実はWi-Fiにはもうひとつ使える周波数帯があるのです。
それが「5GHz帯」。
5GHz帯はWi-Fi以外にこの周波数帯を使う機器が家庭用では無いことや、まだ使っている人が少ないことから、「空いている」のです。
最近の無線LANアクセスポイントは、2.4GHz帯と5GHz帯の両方に対応しており、それぞれ別の名前のSSID(アクセスポイント名)が割り当てられています。
ルーターによって異なりますが、NECのAterm WG1200HP2の場合は最初から2つのSSID(アクセスポイント名)が用意されています。
ルーターの裏に書いてあるので見てみましょう。

最近のパソコンやスマートフォンはまず5GHz帯に対応していますから、それらは積極的に5GHz帯を使うよう接続先を変更すれば、より混雑を避けられます。
Windows10の場合、タスクバーのWi-FiからSSID(アクセスポイント名)を切り替えることができます。

ただし、5GHz帯にも欠点はあります。周波数が高い分、障害物に弱いのです。
2.4GHz帯を使っているときは電波が届いていた場所でも、微弱で不安定になることもあります。
iPhoneを5GHz帯のWi-Fiアクセスポイントに接続して、家の中をできるだけルーターから遠い場所へ移動してみました。すると、末尾が「-g」の2.4GHzの電波より、末尾が「-a」の5GHz帯の電波の方が先に弱くなりました。

5GHz帯は安定しているし、最新のWi-Fi規格(IEEE 802.11acといいます)に対応していればより高速な通信が可能だけれども、長距離は苦手、ということです。
よって、お勧めは
1) 無線LANアクセスポイントの設置場所を見直す
2) 5GHz帯の電波が届くところでは5GHz帯を使う
3) どうしても電波が弱いエリアがあるなら、無線LAN中継機を使って中継する
の3段構えです。この方法が一番簡単で手間暇がかからないかと思います。
なお、無線LANアクセスポイントの近くでも接続が不安定になる、などの場合は無線LANアクセスポイントを再起動してみる、ファームウェアアップデートなどがないか確かめてみるのも必要です。
(※こちらの記事で紹介している製品「Aterm WG1200HP2」は、2018年6月に新モデル「Aterm WG1200HP3」へとリニューアル致しました。詳しくは以下の製品紹介をご覧ください。)
無線LANアクセスポイント NEC Aterm WG1200HP3
(※本記事の内容は2017年9月7日時点の情報です)
2017/09/07