Windows Vistaのサポートがまもなく終わると聞きました。サポートが終了するとはどういうことでしょうか?そのまま使い続けた場合、何か良くないことがおきるのでしょうか?
何かトラブルがあると困るし、新しいWindowsの操作に慣れるのも大変なので、今のままでも問題なければそのまま使いたいのですが。
ものすごく簡単にいえば、「古いWindowsにこれ以上手をかけることはしません。そろそろ新しいWindowsに切り替えてください」というメッセージです。
家電製品でいえば、もう補修部品がないので壊れても修理できません、というニュアンスかも。Windowsの場合、ソフトウエアなので故障して部品交換ということはありませんが、不具合が見つかっても直しませんというのは具体的にどういうことなのか。
さらにWindowsがそういう状態になったとき、どう対処すべきなのか、その辺を詳しく解説しましょう。
Windowsはマイクロソフト社が開発したパソコン用OSの名前です。パソコンの世界は年々、できることが増え、ユーザーの使い方も変化していますから、Windowsも時代に合わせて進化していく必要があります。
そこで2~3年おきに、内部を見直し、新しいWindowsに切り替えていきます。
次の図を見て下さい。マイクロソフト社のWebサイトにある表です。

Windows Vistaは2007年に登場しました。今から10年前です。
2007年はデスクトップパソコンが主流で、マウスとキーボードで操作をしていました。ソフトウエアはCD-ROMにおさめられていたものを購入し、ディスクをパソコンにセットしてインストールしていました。インターネットへの接続も有線のLANが一般的でした。
2017年はノートパソコンが主流で、操作もタッチパッド(指でなぞってマウスポインタの操作ができるもの)とキーボード、さらに画面を直接タッチするタッチパネルが多く使われます。ソフトウエアもダウンロード販売が主流で、CDやDVDのディスクドライブを内蔵しない機種も増えています。インターネットへの接続は無線LANが一般的です。
このように10年経てば様々な点で変化があります。
Windowsも時代に合わせて、Windows 7、Windows 8、Windows 10(Windows 9は飛ばされました)と新しくなっています。
新しいWindowsが出れば、古いWindowsは発売されなくなります。たとえば、2007年のWindows Vistaに2009年のWindows 7が加わったのではなく、Windows VistaがWindows 7に切り替わったと考えましょう。
では古いWindowsはどうなるのでしょう?
新発売されるパソコンには新しいWindowsが搭載されますが、以前から使っているユーザーは多くが古いWindowsのままです。それを放置するわけにはいきません。
そこでマイクロソフトは古いWindowsも常に内容をチェックし、不具合があれば修正し、新しく追加すべき機能があれば追加するなどメンテナンスを続けるわけです。
それが「メインストリームサポート」期間。
やがてその期間が終わると、不具合の修正だけを淡々と行うようになります。延長サポートがそれです。
特にセキュリティー関係です。インターネットにつながっているパソコンは常に様々な目に見えない脅威にさらされています。インターネットにつながっているパソコンを利用して悪事を働こうと考える人たちは常に新しい手を見つけようとし、ときどきWindowsに抜け穴(セキュリティーホールといいます)が見つかります。我々一般のユーザーの目にはまったく触れない、専門家でも気づかないような小さな抜け穴でも、それを悪事に使われては困りますから、マイクロソフトはその抜け穴を塞ぐためのアップデート(セキュリティーアップデート)を行います。
セキュリティーソフトを入れているから大丈夫と安心してしまうのも大変危険です。古いWindowsでインターネットを使っていると、ウイルス感染や個人情報漏えいのリスクが高まるのでご注意ください。

ですが、古いWindowsまでずっとサポートするとなるとコストもかかりますし、Windows自体の設計が古いため最新の状況に対応するのも難しくなります。
そこであらかじめ「古いWindowsのサポートは10年を目安に終了します」と決めてあるわけです。
Windows Vistaは登場から10年たった2017年4月11日がその起源。まもなくですね。
Windows 7もメインストリームサポートが終わり、東京オリンピックがある2020年初頭に延長サポートが終了します。それほど先のことではありません。
もうひとつ、パソコンはWindowsだけでは動きません。
Windows上で動作するアプリケーションソフトも必要です。
それらもWindowsのバージョンアップとともにバージョンアップしますが、ある時点で古いWindowsをサポートしなくなることがあります。
マイクロソフトオフィスの場合、オフィス2016(あるいはオフィス365)はWindows 7以降が必要条件となっています。
つまりWindows Vistaでは使えません。

写真編集・管理用のもっともポピュラーなアプリケーション、アドビのフォトショップエレメンツの最新バージョンであるフォトショップエレメンツ15もWindows 7以降が必要システム構成とされています。

新しいアプリケーションはすでにWindows 7以降が基本と思っていいでしょう。
Windows Vistaはもう昔のWindowsになってしまったわけです。
よって、もし今、Windows Vistaを使っているなら、そろそろWindows 10へ移行するべきです。
それには2つ方法があります。
ひとつはWindows自体を新しいもの(つまりWindows 10)に入れ替えること。
もうひとつはパソコンごと買い換えてしまうことです。
今、Windows Vistaを使っているということは、2009年以前に購入したパソコンということがいえましょう。
だいたい8~10年前のパソコンというわけです。
パソコンは長く使えば使うほど、故障しやすくなります。特に負荷が大きい電源回り、ハードディスクは永遠に使えるわけではありません。
また8~10年前と今ではパソコンの性能も段違いですから、Windows 10に入れ替えても快適に使えるとは限りません。
古いパソコンに新しいWindowsを入れるリスクを考えたら、お金はかかりますが、パソコンごと買い換え、データだけを新しいパソコンに移行するのがもっともトラブルなく済むでしょう。
新しいパソコンに買い替えたら、データの引っ越しも忘れずに行いましょう。詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
新しいWindowsは画面デザインも少し変わり、古いWindowsに慣れた人からすれば、また新しいものに慣れなければならないのか、と思うかもしれません。
ですが、WindowsはWindowsです。画面の見た目が多少変わっても、操作の概念は同じ。
むしろ、古いWindowsに比べると、Windows 10はひとつひとつの画面上のボタンが大きくなって操作ミスも減っていますし、画面を効率よく使えるようデザインされていますし、画面上の各項目も整理されてわかりやすくなっています。
パソコンごと新しくすると、Webページのブラウズがすごく速くなっていたり、デジカメの写真の管理やブラウズがすごく快適になっていたり、ネット上の動画の再生が快適になっていたりと、違いが体感できるはず。
あまり身構えず、新しさを楽しむつもりで使ってみるとよいでしょう。
(※本記事の内容は2017年2月14日時点の情報です)
2017/02/14