「暮らしによりそう祈りのかたち」展にみるマンションに合うモダン仏具

最近の仏壇や仏具は、現代のモダンインテリアにも合う美しいデザインに進化しています。この秋、新宿・リビングデザインセンターOZONEで開催されたイベント「GOOD OVER 50’s 暮らしによりそう祈りのかたち展」から、新しい供養のスタイルをご紹介します。

マンションに仏壇は合わないから邪魔にされがち?

どのような場所に仏壇を置いていますか?「マンションの仏壇に関するアンケート2014」より

あなたのマンションに仏壇を置くとしたら、どんな場所に置きますか?
マンション・ラボで実施した「マンションの仏壇に関するアンケート2014」で質問したところ、「和室」、「サイドボード・低めの棚の上・ラックの上」に置いているという回答でした。中には押し入れに仏壇を入れている人も!マンションでは、スペースやデザインの問題もあって、仏壇は邪魔者にされがちなのかもしれませんね。

以前お伺いしたマンションでは、人目に付かない物置部屋に仏壇が置かれていたこともありました。昔ながらの黒い仏壇は、目立たない場所に置いて、必要なときにロウソクやお線香をお供えしてお祈りしている人が多いのかもしれません。

しかし、仏壇の本来の役割は、故人や先祖を偲び、折に触れて祈るためのもの。祈るという行為をもっと大切にしたいですね。それには、マンションに似合う仏壇のデザインが必要なのではないでしょうか。

2014年秋に新宿・リビングデザインセンターOZONEで開催された「GOOD OVER 50’s 暮らしによりそう祈りのかたち展」で紹介されたのは、都市型のコンパクトなライフスタイルをイメージした、新しい供養のかたちでした。

GOOD OVER 50’s 暮らしによりそう祈りのかたち展

リビングデザインセンターOZONE GOOD OVER 50’s 暮らしによりそう祈りのかたち展
http://www.ozone.co.jp/event_seminar/event/detail/1747.html

※「GOOD OVER 50’s」は、少子高齢化時代を迎えた50歳の大人世代が、将来どんな暮らしをしていくのかについてハードとライフスタイルから考えた企画展です。

「暮らしによりそう祈りのかたち展」の企画を担当されたリビングデザインセンターOZONEの溝口峰隆さんにお話を伺いました。そもそも、仏壇や仏具をテーマとして取り上げた理由は何でしょうか?

溝口さん「この展覧会は、同時開催された“GOOD OVER 50’s 都市型コンパクトライフのススメ展”との連動企画です。50代からの暮らしを考える上で、先祖を祀る仏壇は、外せない問題のひとつになるはずです。

ただ、旧来の仏壇は、広い戸建ての和室に置くものとして考えられてきましたたから、現代の暮らしには収まらないケースが多いですよね。最近はメーカーでも、デザイン性の高い、コンパクトなサイズの仏壇や仏具の開発を手がけていらっしゃいます。そうした“新しい暮らしによりそう”コンセプトの仏壇をご紹介したいと考えました」

マンション・ラボで実施したアンケート結果をご覧になってどんな感想をお持ちになったでしょうか?

溝口さん「押し入れに仏壇を入れるという回答には驚きました(笑)。仏壇はなるべく隠したい、という消去法で考えられがちですね。きっとインテリアに合わない仏壇という旧来のイメージがあるからだと思います。今回ご紹介したような、暮らしに溶け込むデザインやサイズのものを選ぶことで、ネガティブな点は払拭できるのではないでしょうか。先祖と向き合う気持ちを大切にしたいと考えている方に、もっと自由な祈りのかたちを見つけてもらえればよいですね」

現代の仏壇は、モダンなインテリアと溶け込みやすいように、さまざまなデザイン・サイズのものが増えています。置く場所も、キャビネットの上、床置き、壁掛けなど、バリエーションがいっぱい。お位牌も、クリスタルや無垢の木に、戒名を刻むことができるようになっているのですから驚きです。

小さな仏壇 八具足/ステージ(仏具のデザイン研究所/デザイン:トラフ建築設計事務所)

ブナ・ゴールド(写真)とウォルナット・シルバーの2種類があります。1枚のプレートに仏具を置いて並べるだけのミニマムで美しいデザインです。

ストレイタム 六具足(仏具のデザイン研究所/デザイン:Caro Inc. 山口英文)

真鍮の六具足。グロスグレー(写真)、パールホワイト、パールブラウンの3タイプ。

りつ 仏器膳/りん(仏具のデザイン研究所/デザイン:KAICHI DESIGN 山田佳一朗)

かえで(写真)、くるみの2タイプ。りんとりん棒は磁石で本体に吸着します。

溝口さん「たとえば仏具のデザイン研究所の仏具は、他業種のデザイナーが参画し、角度によってどう見えるかなど細かな部分にまでこだわって、3年もの研究を重ねたものもあります。非常にミニマムで、美しいデザインに仕上がっています」

確かにこれなら置きたくなりそうです!

マンションのインテリアに合わせた仏壇のコーディネイト

会場でダイニング、リビング、寝室、玄関の各お部屋のシーンごとに、コーディネイトされていた仏壇をご紹介しましょう。

【ダイニング】

ダイニングの飾り棚の上段に置かれた「小さな仏壇 ウォルナット・シルバー」(仏具のデザイン研究所)

プレートに八具足だけの「小さな仏壇」。いつもそばにいたいという気持ちがあれば、ふだんの生活に溶け込んでいるのが一番です。ダイニング近くの飾り棚に置けば、みんなが食卓を囲む時間に、献杯をしてあげたい、火を灯してあげたいという気持ちにぴったりよりそってくれそうです。

【リビング】

仏壇「アルデバラン」(セレモア)

床置き型の仏壇です。天井にLEDライトが仕込んであり、クリスタルのお位牌が柔らかな光で照らし出されます。扉を閉めるとまるでリビングに置かれたワインセラーのようです。

【玄関など】

壁掛タイプの仏壇「アルベロ」(セレモア)

壁掛タイプの仏壇です。玄関や廊下の壁面など、場所を選ばず置くことができます。ふだんは扉を閉めておけば飾り棚のような雰囲気。磨りガラスの戸を開けて、下段の棚を引き出して仏具を置きます。玄関にあれば、毎日出かける前にお祈りできますね。

【寝室】

仏壇「マザーパール」(セレモア)

ベッドサイドのキャビネットに置かれた、螺鈿扉のコンパクトな仏壇。寝室で休む前に祈りの時間を持ちたい方にいいですね。家庭だけでなく、病室やケアホームのベッドのそばに置けば、心の支えになってくれるにちがいありません。

溝口さん「その人の暮らし方によって祈り方も異なってくると思います。故人と語り合う、祈りの時間を大切にしたいという方もいるでしょう。今回紹介したような現代の仏壇を参考にして、それぞれの“祈りのかたち”を見つけてくださるといいですね」

仏壇を選ぶときに注意するべき点

仏壇を選ぶときに注意したいのが、開けたときのサイズです。
仏壇はふだん閉じていますが、左右に扉を開いたり前に飾り棚を引き出したりしますので、開けたときのサイズで設置場所を考えておく必要があります。

本尊や仏具など宗派により本来違いがありますが、近年ではお仏壇のコンパクト化などにより仏具が略式になったりと、現代の生活に無理なく溶け込むスタイルにされる方が多くなっているそうです。専門店に相談されるとさまざまなスタイルを提案してくれます。

未来の仏壇はどうなる? 仏壇という枠組みから飛び出す仏壇も?

現代の仏壇もずいぶん様変わりしましたが、未来の仏壇はどうなっていくのでしょうか?

溝口さん「もっといつも身近にいたいということから、バニティケースのように持ち運びできるデザインが開発されるかもしれませんね。ほかに、漆や木工などの伝統工芸の技術を活かした、いつも愛でたくなる手触りやサイズの、コンパクトに携帯できる仏壇的な何かがでてくる可能性もあるかもしれません。
ただ、将来どんなかたちになったとしても、亡くなった人を悼む気持ちは根源的に変わらないはず。暮らしの変化に伴って、今回のタイトルのように“暮らしによりそう祈りのかたち”に変化していくのだと思います」

仏壇を飾るには、もっと細かなルールがあるのかと漠然と思っていましたが、自由なかたちで祈ればいいのだということがわかりました。

以前ドキュメンタリーで、フランスに住む有名な日本人俳優が、異国の地で故人を偲ぶために、自分で設えた仏壇に「これが一番美しい音がするから」と、お気に入りの鈴(りん)を置いてお祈りしていたシーンを見たことがあります。それも、とてもすてきな手作りの仏壇でした。祈りのスタイルは人それぞれ、いつも手を合わせて祈り、敬う気持ちを大切にしたいですね。

GOOD OVER 50’s 暮らしによりそう祈りのかたち展

期間:2014年10月16日〜11月11日(※会期終了)

主催:リビングデザインセンター OZONE
http://www.ozone.co.jp

協賛:お仏壇のセレモア
http://www.ceremore.co.jp/index.html

協力:仏具のデザイン研究所
http://butsugu-design.jp

30〜40代のマンション住民には、まだまだ仏壇といってもピンと来ないかもしれません。50〜60代になって、親を看取る、一家の仏壇を受け継ぐというできごとに面したときに、どんな祈りのかたちを選ぶのか、心に留めておきたいものです。

2014/12/05