生育の悪いレモン、問題点は日照・雨・肥料の3つにあった!?

今回は、2回に分けて読者のご相談にお答えしていきます。実際に、ご相談者のバルコニーにお伺いして、ガーデニングの状況を拝見しました。

ご相談者の悩みは、東南向きなのに直射日光の当たる時間が短いこと

ご相談者のKさんと。

今回のご相談者は、ガーデニング歴20数年のKさん。7年前にこのマンションに引っ越す前までは、郊外にある一戸建てのお庭で、花や果樹、野菜を育てて楽しんでこられました。

ガーデニング好きのKさんは、マンションへ引っ越すにあたり、南東向きで陽当たりがよく、バルコニー面積も広いからという理由でこの部屋を選ばれました。

しかし戸建ての庭から持ってきた植物は、引っ越した初年度で、ほとんどが枯れてしまったそうです。残ったレモン、ライム、キンカンの果樹も、結実しても、それ以上育たず落下してしまうのだとか。

その後現在にいたるまで、花がきれいに咲かないなど、なかなか思うように育たない植物たちと7年間奮闘。Kさんは、「もうガーデニングをあきらめてしまおうか」とまで考えていたそうです。

バルコニーの植物を拝見したところ、陽当たりの問題もありますが、ほかにも植物に雨が当たらないこと、肥料不足なことが、植物の生育問題の原因のようでした。このあと、ひとつずつについて説明していきます。

マンションならではの、バルコニーの陽当たりの複雑さ

外壁から50〜60㎝ほど中に入っているバルコニーの柵。雨が降ってもバルコニーまで濡れないという利点がありますが、植物にとっては、雨に濡れない・陽があたりにくいという結果に。

夏の太陽は、バルコニーに差し込む時間も短く、外壁から50〜60㎝ほどの距離も、植物たちに陽があたりにくくなっています。

そのかわり冬場には、バルコニーに面したリビングの奥から玄関にまで、陽がさんさんと差し込むため、冬でも暖房器具をつける必要がないくらい暖かいのだとか。室内の8年もののウンベラータも立派に育っていて、観葉植物を育てるには最適な環境といえます。

立派なウンベラータ。アルミホイルで土をカバーしているのは、猫のイタズラ対策だそうです。

花や果樹を育てたいKさんにとっては、満足のいく日照環境ではないようですが、ガラス張りの柵越しに陽が当たるよう、鉢をスタンドに載せるなど、いろいろな工夫もされていました。

より陽が当たりやすいようにスタンドやシェルフに置く工夫は、いいですね。

他にも、植物にまんべんなく日が当たるように、すこしずつ角度を変えたり、鉢を置く場所をローテーションしたり、きめ細かな配慮をなされていました。

雨vs水やり

最近の暴風雨でも、バルコニーはまったく濡れなかったとおっしゃっているように、奥まっていることでバルコニーは雨に濡れることがありません。つまりそれは、植物に雨が当たらないということです。

実は植物にとって雨は重要な存在です。雨が当たることでホコリや汚れなどを取り除き、湿度も高まることで生育を促します。

バルコニーに蛇口などがあればシャワーホースで水やりもできるのですが、Kさん宅にはありません。なるべく上から水やりができるように、ある程度、水をかけやすい高さに選定する必要があります。

カイガラムシは軍手で駆除

庭でガーデニングをしているときにはなかった害虫問題も発生しているそうです。カイガラムシの発生です。これはこまめに駆除するしかありません。軍手でざざっと植物の枝葉を撫でて駆除し、防虫剤を散布します。使い終わった軍手はそのまま捨ててください。

庭ガーデニングの地植えとの決定的な違いは、肥料

拝見してわかったのは、「全体的に肥料が少し足りないのかな」ということでした。

数十年来の地植えでのガーデニング経験から、マンションガーデニングへ移られたということですが、コンポストで土壌をつくったこともあるという栄養のある地植え生活では、肥料を与えるという意識が少し低かったかもしれません。

鉢植えは、土が限られていて、植物にとってはかなり制限された環境です。土も毎年痩せていきます。固形肥料などを定期的に与えるなどしてやらなければ、特に果樹や花ものは生育不良を起こします。

Kさん「肥料のこと、なんだか目から鱗でした。確かに庭植えのときと同じような気持ちでマンションガーデニングを考えていた気がします。ちょっとこれから意識を変えてみます」

来年の春から夏にかけて、肥料を与えて育てていくと、肥料効果でかなり見違えるように元気になるのではないでしょうか? 肥料の与えすぎにだけ注意してやっていただければと思います。

「この部屋のバルコニー向きの植物は?」

Kさんから、この部屋のバルコニーにあった植物を教えてほしいと訊かれました。花ものが好きなKさんは、以下の写真のように季節のお花をいろいろ植え替えていくのもいいかもしれません。

【秋~冬の一例】セロシア、ガーデンシクラメン、カランコエ、アキランサス、ヒューケラなどを寄せ植えにしています。

<秋~冬>
ノボタン・コートダジュール、セロシア、ベコニア(真夏以外、周年で回り)

<冬~春>
シクラメン、エリカ、マーガレット、サクラソウ、サイネリア、ポインセチア、クリスマスローズ

<春~夏>
アジサイ、インパチェンス、アンスリューム、グズマニア

グリーン系であれば、ギボウシ、ガジュマル、ツボサンゴ(ヒューケラ)などもおすすめです。


庭で地植え経験が長かったので、肥料が盲点だったのかもしれませんね。来年、肥料効果で変化が見えてきたら教えてくださいとお話しました。

次の記事では、ベンジャミンやオリーブの剪定方法についてアドバイスしました。

2015/10/08

プロフィール

寺井 通浩

東京都渋谷区上原にある、フラワー&グリーンショップ「からならの木」のオーナー。「植物と暮らす」をテーマにガーデニングやディスプレイを手がける。月に1回花の教室も開催するほか、個人宅のコーディネート相談も受け付ける。


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