2020年マンション居住者の防災対策に関するアンケートレポート


マンション・ラボでは、例年「マンション防災に関するアンケート」を実施して、居住者の防災意識や備えについて調査しています。近年は地震のみならず、台風や集中豪雨などの水害への対策、さらに新型コロナウイルス感染症予防対策も必要です。
いまマンション住民の防災意識はどのように変化しているのでしょうか?

アンケート概要
アンケート概要 マンション防災に関するアンケート2020
実施期間 2020年7月31日(金)~2020年8月17日(月)
調査方法 インターネットリサーチ
回答数 2,551名

引用の際は、こちらからマンション・ラボまでご連絡ください

(※)グラフの数字は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、回答比率の合計が100%にならない場合があります。

防災情報への関心度の高さは約4割と昨年から横ばい状態

Q.2020年7・8月現在の、あなたの防災情報へ対する関心度を教えてください。
(n=2551)

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マンション居住者2,551人のうち、防災情報への「関心は高い方だと思う」は38.4%、2019年に実施した調査時の39.3%と比較しても、ほぼ横ばい状態となっています。
「関心が低い」「どちらともいえない」という方が、いまだ約6割を占めているという状況は変わっていません。

マンション防災に関するアンケート2019

アンケート実施時は全国に被害を及ぼした「令和2年7月豪雨」が発生した直後でしたが、防災の関心度向上にはつながりませんでした。やはり、マンションは「災害に強い」「安全だ」というメリットを、過信しがちな人が多いのではないでしょうか。

理事会のメンバーだが、子育て世代の皆様は日常が忙しいのか、防災にはあまり関心がない。

2016年台風対策事情「マンションなら安心!?」

しかし近年の強大な台風は、タワーマンションにも浸水被害を及ぼしています。以下の記事のように、住民全員が高い防災意識と共助で災害に立ち向かう必要があります。

パークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワーは「100年に一度」の台風に、どう立ち向かったか?

ハザードマップに関心がない人は半数以上

Q.あなたは、お住まいの地域のハザードマップを見たことがありますか?
(n=2551)

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自分が住んでいる地域のハザードマップについて「見たことがある」人は全体の82%以上いるにも関わらず、そのうちの約半数は「見たことはあるが内容は覚えていない」(38.3%)と回答しています。

「見たことがあり、リスクも理解している」(44.5%)人は半数以下、「知らない」「見たことがない」「内容は覚えていない」人の合計は55.5%と半数以上を占めます。

被災地のニュースでよく聞くのは、「まさかこの土地でこんな災害が起こるとは思わなかった」「危険があるとは知らなかった」「安全だと思っていた」という声です。
いま一度、お住まいの地域のハザードマップの確認や防災センターを活用してみましょう。

ハザードマップと防災センター活用で土地の危険度チェック
【ハザードマップとは?】

自然災害発生時に、被害が想定されるエリアや避難場所が示された地図のこと。
ハザードマップは、各自治体の窓口やHP、ハザードマップポータルサイトから、スマホやタブレットで自由にアクセスできます。台風や集中豪雨が予測されているときには、ハザードマップもこまめに最新情報をチェックするようにしましょう。定期的に情報が更新されているので、常に最新情報をチェックしたいものです。
国土交通省ハザードマップポータルサイト ※外部リンク

大地震が発生した場合の不安は、上位4位に加えて新型コロナ問題も!

Q.今後大地震が発生した場合、どのような点に不安を感じますか?
【複数選択可】
※選択肢「要配慮者」について
高齢者、障がい者、妊婦、乳幼児、外国人等、防災施策において特に配慮を要する方のことを定義しています。
(n=2551)
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「地震への不安」は、以下の上位3位が昨年のアンケートと同様の結果でした。
1位「家族の安否」(57.8%)
2位「マンション建物や設備の被害」(56.8%)
3位「自宅での被災生活」(46.6%)

アンケート2019「地震への不安と現在の対策について」

今年は「新型コロナウイルスへの感染リスク」(36.1%)が5位に登場。「令和2年7月豪雨」で感染リスクのために被災地以外からのボランティア活動が思うように進まなかったことから、コロナ禍での自然災害の発生は「複合災害」として認識されつつあります。
「新しい生活様式」同様に、これからの災害対策もまた、感染リスクへの配慮なしには進められない「新しい防災活動」を模索する時代となってきたようです。

台風・集中豪雨に備えて!マンション1〜2階住民は排水管逆流への備え、住民はコロナ禍に配慮した共助を

コロナ禍での新しい防災スタイル「オンライン防災訓練」への期待

Q.今年度、お住いのマンションでの防災訓練は、どのように予定されていますか?
(n=2551)

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コロナ禍で、マンションの防災訓練はどうなっているのでしょうか?

「よくわからない」(68.8%)を除けば、「今年度は中止・延期」(14.5%)、「開催可否を検討中」(6.7%)、「規模を縮小して開催予定」(3.1%)というように、防災訓練の実施にも、コロナ禍が影響を及ぼしているようです。多くの住民が集まる防災訓練は、密になりやすく、今年の開催は難しい状況にあるのがわかります。

しかし、ごく少数ですが「オンラインにて開催予定」(1.2%)という回答もあり、新しいスタイルの防災訓練の時代の到来を感じます。

【オンライン防災訓練とは?】

3密回避のために、Zoomなどのオンライン配信ツールやSNSを通じて実施する防災訓練のこと。参加者はスマホやPCで参加して、リアルタイムで防災関連の講演や動画を視聴し、その場で質問や議論が行える。

Q.ライブ配信などを通じて、安否確認訓練などが開催されるとしたら、参加してみたいと思いますか?
(n=2551)

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では、コロナ禍のもとで新しい防災訓練スタイルとして注目の「オンライン訓練」への期待度はどうでしょうか? 

たとえばライブ配信を通じてマンションの安否確認訓練が行われるとしたら、「オンラインなら参加してみたい」という人は21.7%。「どんな訓練でも参加したい」(16.2%)と合計すれば、約4割になり、通常参加率が低くなりがちな防災訓練の突破口になりそうです。

オンライン訓練の開催は、天候や場所に左右されないので、いままで日程が合わず参加できなかった方、仕事や家の都合で参加できなかった方、マンション居住者とリアルに接する訓練参加に尻込みしていた方など、新しい層の取り込みが今後期待できますね。

マンション・ラボ主催の「2030年のマンションライフを語り合う」オンラインサミットでは、「SDGsスーパー高校生」菊池隆聖さんから、翻訳機能のあるSNSを利用して、外国人居住者も参加できる防災訓練の提案がありました。
SDGsマンションを作りたい!

マンション同士で助け合う取り組みについて

Q.いざという場面で、複数のマンションが連携して助け合う取り組みについて、どのように感じますか?
(n=2551)
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マンションの規模はそれぞれに違います。総戸数や敷地面積によって、マンション内の備えや防災の取り組みにも限界があります。ひとつのマンションだけではできないことも、近隣のマンションと連携して助け合えば、防災の可能性は広がります。

「すでに連携した取り組みをしている」というマンションはまだ3.2%と少ないものですが、「他のマンションと連携できると心強い」という人は41.9%。連携の取り組みへの期待感が伺えます。

マンション内だけでなく、近隣マンションとの連携なども必要だと感じる。

同じ地域にある戸数・築年数の異なる3つのマンションが、協力して防災イベントを開催した事例記事
3つのマンション共同主催の防災「炊き出しフェス」

また、他のマンションの取り組みが知りたいという意見も多くみられました。

災害時の禁止事項、たとえば配管確認をするまでは排水禁止などは、管理会社が他のマンション管理の経験を活かして提案してくれないものか。他のマンションではどのようにして防災対策の取り決めをしたのかきっかけなどを知りたい。

他のマンションの防災対策がどのようなものなのか知りたい。

マンション規模ごとの防災対策を知りたい。住居数の少ない規模のマンションと大型タワーマンションを同じように扱う防災対策記事が多いのでわかりづらい。

皆さん、参考になる事例を求めています。以下の記事もぜひ参考にしてください。

マンション防災のエキスパートたちが語った、絶対タメになる取り組みと成果を紹介!

マンション自助・共助事例【東日本大震災をマンション内被災生活で乗り越えたマンション】


マンション住民の防災意識やその取り組みは、2019年とほぼ変わらない状態でしたが、2020年のマンション防災は、「オンライン防災訓練」や「地域連携」という新しいテーマへの期待度が見え始めています。コロナ禍と共に、今後のマンション防災がどのように変容していくのか、今後も追い続けていきたいと思います。

2020/08/27