新型コロナウイルス感染などの非常時にも有効!?オンライン理事会など、マンション管理組合運営のIT化に関する調査レポート


コロナ渦による自粛期間中、マンション管理組合は理事会開催を延期・中止するなど、組合活動にも大きな影響がありました。そのような中、密をできるだけ避けながら理事会を運営するオンライン理事会などの新たな試みが注目されています。そこで今回は、オンライン理事会をはじめ、ITを活用した管理組合活動についてマンション住民に意見をきいてみました。

アンケート概要
アンケート概要 マンション管理組合や理事会のオンライン化に関するアンケート
実施期間 2020年6月5日~2020年6月21日
調査方法 インターネットリサーチ
回答数 2,430名

引用の際は、こちらからマンション・ラボまでご連絡ください

(※)グラフの数字は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、回答比率の合計が100%にならない場合があります。

現役理事長・理事のうちオンライン理事会を「導入したい」「やや関心がある」人は60%超え!

Q.ここ最近、理事会の開催は通常どおり行っていますか?
直近3か月の、理事会などの開催状況(または予定)について教えてください。
(n=203)

<図1>

現在理事長または理事を務めている人(203名)に理事会の開催状況を聞いたところ、4月から5月にかけて、コロナ渦により理事会開催を中止・延期したマンションは、約半数近くにのぼることがわかりました(図1)。

Q.最近では、オンラインによる理事会を試みるマンションも徐々に増えています。今後導入を検討したいと思いますか?
(n=184)
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<図2>

そのような状況のなか、現理事長・現理事のうちオンライン理事会未経験の方(184名)に、今後のオンライン理事会導入の意向をうかがいました(図2)。
「導入したい」(23.9%)「やや関心がある」(37.0%)と、合計60%を超える現理事長・現理事がオンライン理事会の導入を検討したいと考えていました。

Q.なぜ導入したいと思う(関心がある)か、理由を教えてくいださい。
(複数選択可)
(n=112)
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<図3>

導入したい理由(複数回答)としては、最上位が「新型コロナウイルス感染症の拡散防止に役立つと思う」(68.8%)。次に「どこからでも参加できるため参加率が上がりそうだから」(35.7%)、「自分の好きな場所から参加できて効率的だから」(31.3%)、「必要な要件だけを話せば効率化につながりそうだから」(30.4%)という回答でした(図3)。

Q.オンライン理事会に関心がない、導入したくない理由を教えてください。
(複数選択可)
(n=72)
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<図4>

一方で導入したくない・関心がない理由(複数回答)の第一位は、「顔を合わせて行うべき会合だと思うから」(43.1%)で、この結果をさらに年代別でクロス集計してみると、60歳以上の方の回答割合が多いことがわかりました。年配の方ほど対面での会合を重視しているようですね。オンライン理事会の導入を進めていくためには、さまざまな立場や考えの方に配慮した会議のあり方を考える必要がありそうです(図4)。

オンライン理事会について知りたいことTOP3は「事例」と「ツール」、そして「費用」

Q.オンライン理事会について知りたいと思うことをお選びください。
(複数選択可)
(n=112)
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<図5>

「オンライン理事会を導入したい」「やや関心がある」と回答した人(n=112)に、どんな点が知りたいのか質問したところ、「ほかのマンションで行っている事例が知りたい」(45.5%)、「オンライン理事会開催に向いているツールが知りたい」(42.9%)という回答が多く集まりました。また、「費用を知りたい」(37.5%)、「理事会成立の規約の解釈を知りたい」(27.7%)という回答もあり、より具体的な方策を知りたいことがわかります(図5)。

オンライン理事会経験者に聞いた、体験後の満足度は70%超え!

今回のアンケートで、オンライン理事会の経験者は19名。導入率はまだ1割に満たないようですが、その貴重な事例や感想を以下にご紹介します。

Q.オンライン理事会を実際に体験してみての、総合的な満足度を教えてください。
(n=19)
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<図6>

オンライン理事会体験者の総合的な満足度は73.7%と高い結果となりました。(図6)

Q.オンライン理事会を実施した感想としてあてはまることを教えてください。
(複数選択可)
(n=19)
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<図7>

オンライン理事会体験者の満足度は高い一方で、感想としては「利用できない人もいるため、全員オンラインは難しい」(42.1%)という、オンライン理事会を利用できない住民への配慮がうかがえます。今後はこうした格差をいかに少なくし、誰もが利用できる環境をつくっていくことが必要になりそうです。また、「音声が聞き取りにくくなることがあった」(31.6%)というように、住民個々の通信環境や設備の問題を解決することも、今後の課題といえます(図7)。

Q.どのようなオンラインツールを利用していますか?
(複数選択可)
(n=19)
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<図8>

関心事の高い利用ツールについては、「Zoom」を利用しているという回答が73.7%とトップを占めていました。「Zoom」は、コロナ渦で世界的にユーザーを急増させたオンラインツールです。また、管理組合業務支援Webツールに組み込まれる事例もあり、オンライン理事会でも活用しやすいのかもしれません。(図8)

管理組合業務支援Webツール「Mcloud」の利用者向けに、オンライン理事会の新機能を期間限定で無料提供~Web会議ツール「Zoom」実装によりコロナ禍で停滞する管理組合活動を緊急サポート~ ※外部サイト

管理組合運営のIT化への期待度は60%以上!しかしバランスを求める声も

現役の理事長または理事を務めている人203名には、現状の理事会開催における課題や負担についてもお聞きしました。結果は以下の通りです。

Q.理事会の開催にあたって、課題や負担に感じていることなどがあればおしえてください。
(複数選択可)
(n=203)
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<図9>

「検討課題が多い」(25.6%)、「拘束時間が長い」(24.6%)、「効率が悪い」(18.7%)、がTOP3でしたが、その他にも回答が広く分布し、さほどの数値差が見られませんでした。いくつもの課題や負担を同時に抱えているようですね。
また、議題が多く、資料が増え、効率が悪くなるせいで拘束時間が長くなるし、参加率も下がるなど、それぞれの課題が影響し合い、悪循環を招いている可能性もありそうです(図9)。

なお、理事会に限らず、IT化により「マンションの総会にオンラインで参加できるようになる」「決議には電子投票が採用される」「各種資料はインターネットでいつでも検索/閲覧できるようになる」など、管理組合運営が効率化され、理事の負担を軽減できるといわれています。

Q.理事会に限らず、IT化により管理組合運営が効率化され、負担を軽減できるといわれています。
あなたはIT化による効率化について、どう思いますか?
(n=2430)
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<図10>

上記は、理事会の経験有無を問わず全回答者2,430名に対し「ITによる管理組合運営の効率化」の是非について聞いた結果です。「いち早く効率化すべき」(21.2%)、「徐々に効率化すべき」(42.6%)と、63.9%の人が「効率化すべき」と答えています。(図10)
その理由は、コロナ感染拡大を防ぐためであることはもちろん、それ以上に理事の業務負担の軽減、利便性や参加率向上への期待が多いようです。

コロナの今がチャンスなので。

大量の資料を紙で保管するスペースを削減できるため。委任状等を紙に記入して投函したり集計したりする手間が省けるため。新型コロナの影響で多人数での会合が好ましくないため。

効率化をめざすのは当然のこと。紙で配布されている資料が電子化され、ネットで閲覧可能になるのはとても便利だと思う。

効率が上がり今まで大変だった方(一部の方に偏ると思う)の負担が軽減されるなら早く導入すべき。

オンライン化することで、多くの人にマンション管理に関わる機会が与えられると思うから。理事会を生中継し聴講することも可能になると思う。

総会の日時にどこにいても参加できるのは大きなメリット。

その場所に行く必要がない、体調不良や介護中の人でも閲覧できるし安全に参加できる。

議事録の閲覧もスマホでできるようになれば、これまであまり読まなかった人も読むようになったり、総会もオンラインでできるようになれば、参加者が増えそうだから。コロナが収束しても、理事会はオンラインでいいのではないかとさえ思い始めている。

総会のオンライン化で電子投票や、マンション内の伝達事項のオンライン化は効率的に良いと思う。

現在の理事会は何をやっているのか、よく見えないので、総会に参加するきかっかけがないが、オンラインなら心理的負担が少なく、まずは様子を確認できるため。

一方で「効率化はすべきだが、オンラインやIT化に頼るのはよくない」(18.3%)という意見もあります。これは、オンライン化に対応できない高齢者やネット環境が整っていない住民を取りこぼす可能性やコミュニケーション不足への危惧があります。

オンライン化に対応できない世帯(ネット環境、年代など)が多い。

幅広い年齢層の方がいるので、ITが苦手、またはできない人が困ってしまう。我が国のITの遅れは如何ともし難く、あと10年は無理では?(ITになじめない世代が少なくなるまで)

オンライン化に関して現状は過渡期であり、すべての人が抵抗なく利用できるようになるまでは地道に段階を追って進める必要があると思う。

マンションに長く住み、また日中含めて滞在期間が多いお年寄りがオンラインになると、今までのように活発に活動できなくなるから。

年に一度の総会で多くの組合員が顔を合わせ、直接意見や質問を聞く機会は貴重であり、出席者が皆でつくり出す会場内の雰囲気は議論に現実感を与えることになり非常に貴重である。(中略)。しかし、将来は全戸が年齢やPCスキルを問われずオンライン、オンデマンドでリアルな会議ができる様な時代が来れば良いとは思う。

顔の見えない理事会などは、そもそもの顔が見えるコミュニケーションを阻害する。オンライン、IT化は使いようによってはもっとも貧しい人間関係をつくってしまうことだろう。

生の声を聞くことが重要で、全て〇×で判断できない。

課題や問題の解決が最優先であるが、便利さのみを追求する方法論は理解できない。オンラインで草むしりできますか?

会って仲良くなることも大切

全体に、IT化による効率化のメリットを十分理解し、導入への期待度を見せる一方で、IT弱者を置き去りにしないことや対面でのコミュニケーションの大切さも考えていることがよくわかるアンケート結果でした。管理組合業務のIT化にも、理事役員の年齢層や考え方などに配慮したバランス感覚が重要だといえそうです。

3密を避けなければいけないコロナ渦の状況によって、管理組合業務に関する意識や取り組み方について、変革が行われつつあるように思います。今後の展開を見守りたいと思います。

▼理事会のオンライン化実施中の事例や効率化についてはこちらの記事も併せてごらんください。

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2020/06/26