新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、外出自粛が続いています。普段と異なる生活の中で、不安やストレスを抱えている人も多いのではないでしょうか。今回は、マンションにお住まいのみなさんへ、マンション内での新型コロナウイルス対策の状況についてうかがいました。
●新型コロナウイルス感染拡大に対するマンション全体での取り組みを半数以上が「特に行っていない」
●「自分や家族の感染」を半数以上の人が不安に感じている
●外出自粛時の自宅マンションでの過ごし方
●新型コロナウイルス感染拡⼤でも、マンション住民でよかったこと
アンケート概要 | |
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アンケート概要 | マンションにおける新型コロナウイルス感染症対策に関するアンケート |
実施期間 | 2020年4月9日~2020年4月26日 |
調査方法 | インターネットリサーチ |
回答数 | 2,560名 |
(※)グラフの数字は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、回答比率の合計が100%にならない場合があります。
新型コロナウイルス感染拡大に対するマンション全体での取り組みを半数以上が「特に行っていない」
まず、マンション全体で行っている、新型コロナウイルス感染拡大防止の取り組みについて伺ったところ、半数以上が「特に取り組みを行っている様子はない」(51.7%)と回答しています。
その他に取り組んでいることとして「注意喚起ポスターの掲示またはビラの配布」(29.1%)、「ゲストルーム・集会室などの共有施設の使用自粛要請」(20.4%)、「アルコール消毒液などの設置」(12.8%)が、順にあがっています。
Q.今お住まいのマンション全体で行っている、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐ取り組みを教えてください。
(複数選択可)
(n=2205)
では、取り組みをしているマンションでは、具体的にどのような対策をされているのでしょうか。(回答数:643件)
【衛生面・清掃】
入り口、エレベーター内消毒液設置
手洗い・うがい等の仕方をあちこちに貼っている。共用部分を消毒アルコールで拭く
ダストシュートの使用制限により一般ごみと生ごみはごみ置き場に捨てるようになった。管理員の勤務がなくなった。
エレベーターの階数設定ボタンの定期的清掃を管理員が行っている。
厚労省のポスターと、注意喚起の張り紙、ゴミ出し時間や分別のルール遵守の再周知が、掲示板に掲示された
一般的な注意事項が掲示板に掲示されている。住民よりアルコール消毒液の設置要請があったが品不足で用意できない旨の表示が掲示されている。
マンション管理会社の清掃員を削減している。不急の点検作業を先延ばししている。
【理事会】
通常総会では、出来るだけ出席を控えて、委任状/議決権行使書で意見表明してもらうようにした。
管理会社からの行動指針の印刷物はかなり前から掲示版に掲示されている。通常総会も通常開催は見送り、質問を事前に受付けて理事会からの回答を掲示した上で、議決権行使書にて決議することにした。理事会はZOOMで行う予定。
次の土曜日に理事会を開く予定だったが、集会による感染リスクを避けるため、急遽中止となった。
【共有施設の使用、サービス利用】
共有スペースを解放していたが、施錠し、申し込まないと使用できない。
共用施設(プール、事務、キッズルーム、ゲスト宿泊施設等)はすべて利用不可。
コンシェルジュサービスの停止
エレベーター内の換気
エレベーター内に最新の感染者数(東京都の区・市町村毎)を貼って、住人へ注意を喚起。
エレベーターに間隔をあけて並ぶようにテープが床に貼ってある
エレベーターや掲示板に3密のポスター掲示や相談窓口の電話ポスターの掲示
消毒をまめにしてくれている。エレベーターに5人以上乗りそうな時は遠慮している
共有施設は使用停止、また管理業務についても縮小、理事会は延期となっているところが多いようです。特に3密(密閉空間・密集場所・密集場面)に当たるエレベーターについては、対応が気になります。清掃をこまめにする、人数が多い場合は控える、エレベーターの床に間隔を開けるためのテープを貼るなど、具体的な対策を参考にして取り入れたいものです。
▼3密を伴うエレベーターの注意については、こちらの記事も併せてご覧ください。
新型コロナウイルス感染症拡大に伴うマンション共用部のエレベーターや共用施設利用の注意
「自分や家族の感染」を半数以上の人が不安に感じている
一方で、マンション住民の方はどのようなことに不安を感じているのでしょうか。
やはり一番多いのは「自分や家族の感染」(62.7%)で、続いて「終息の見通しがたたないこと」(59.4%)、「日本経済・景気の悪化・低迷」(53.9%)となっています。目に見えないリスクと対峙し先が見えないことが、不安の要因になっていることがわかります。
Q.現在、特に不安に感じていることを教えてください。
(複数選択可)
(n=2205)
マンションでの新型コロナウイルス感染拡大防止の取り組みについては、「特に行っていない」という回答が半数以上である一方で、自分や家族の感染への不安を抱えている人が6割います。この不安をマンションの取り組みにおいても解消できるように、正しい情報を集め、対応を素早く決めていきたいですね。
外出自粛時の自宅マンションでの過ごし方
そんな中、みなさんは自宅でどのように過ごしているのでしょうか。在宅勤務になり、テレワークをしている方が多いことがうかがえましたが、ここでは、仕事以外の在宅時間の使い方についてご紹介します。
普通に仕事をしている+掃除、普段出来ない書類の整理が進む。自炊も普段より色々工夫できるのがうれしい
子どもと動画を観たり、パズルをしたり、一緒に遊ぶ時間が増えた
断捨離・片づけ・模様替え
ルーフバルコニーに屋外用の椅子とテーブルを買い、屋外でお昼ご飯を食べたりして家にいながらピクニック気分を味わう
ネットフリックスやアマゾンプライムビデオを見る時間も増えたが、なるべく勉強など有効に時間を使うよう心掛けている。
ロールアップ・ピアノを購入して昔弾いていたピアノを再開した。イヤホンが使えるので近隣への音の心配もなく楽しめている。楽器の練習は成果が実感出来るので充実感もあって満足している。
普段やったことのない料理にチャレンジしている
海辺のランニングやウオーキング、スーパーへの買い物が唯一の外出。他は自宅で読書やテレビ視聴。
高校生の娘と料理をしたり手芸をしたり映画を見たりしている。親との距離をおくような年頃になっていたのに、小さい頃のような時間が戻ったようで少し嬉しい。
いつもより掃除をしっかりしたり、近くの緑道を歩いたり(ほとんど人とは出会わない)本を読んだり、丁寧に料理をしたり、敢えてメールではなく手紙を書いたりしている
不要なパソコンのデータを消去して本体、周辺機器を処分し模様替えをしている
子どもには、 通信教育の教材を使って、学校と同じ50分単位で学習してもらっています。
在宅勤務でずっと家にて曜日の感覚がなくなってしまうので、曜日を意識する生活(カレンダーとか、ネットとか)を心がけている。
掃除や断捨離等、普段時間がなくて出来なかったことをやろうと思っている。あと、オンライン飲み会を試しにしてみようかと(笑)
家族でエクササイズDVDを実践して運動不足にならないように心掛けている。
普段やろうと思っていたけれども取り組めなかった家事や、自分のための勉強、家族との時間など、これを機に見直している人も多いようです。一方で、外出できないことで気になる運動不足についても、家庭でのエクササイズを取り入れたり、人が少ない時間に散歩したりして解消されているようですね。
新型コロナウイルス感染拡⼤でも、マンション住民でよかったこと
さらに、新型コロナウイルス感染拡⼤にあたり、マンションに住んでいてよかった、と思うことについてもうかがいましたのでご紹介します。
知り合いのお宅数軒で、LINEグループを作り情報交換していること。
宅配ロッカーで対面せずに荷物が受け取れるため、自分も宅配員の方も感染リスクを下げられること
マンション内にクリニックや飲食店、コンビニがあり、特に不自由を感じずに済むこと。
知人が多く何かあった時相談できる環境にある
マンションの管理会社がしっかりしているので安心です。
マンション内に医師が何人もいて、現在の理事会にも二人いるので、ZOOMで集会を開き、注意することやもし感染してしまった後の行動などについてレクチャーしてもらう機会を作ろうと話しあっている。
学校の対応や、子どもだけの留守番時に連携がとりやすい
管理人さんが共用部の定期清掃を行ってくれるので、負担が軽く感じる。
自宅にずっといてもながめがいい。ゴミだしが楽。
ネット回線が管理費に含まれ、仕事で必要であったため助かる。
最後に、新型コロナ感染に関するマンションでの対策や、備えてほしい備品・設備等についてのご意見をご紹介します。
マンション内で感染者が出た場合、申し出ることを強制できるのかどうか、知られたくなくて申し出ない人がいるのではないか、と心配している。感染者が出た場合、エレベーターの利用はどうしたらよいのかも知りたい。
感染者がでたら、個人情報に配慮した上で、知りたい。共有部分の感染防止について、知りたい。
オートロックやエレベーターのボタン類を非接触タイプにできれば、入口ドアやエントランスなど共有部分の消毒が最低必要と思う。
生活物資の共同購入があると良い
エレベーターの押しボタン等、不特定多数の人が頻繁に触る部分の消毒をしてほしい、または自分で触る前に消毒できるようアルコールスプレーやウエットティッシュを配置してほしい
世界的に様々な活動の自粛を求められている現在、情報も様々ではありますが、今はできるだけ多くの人が終息へ向けて協力したいと思っていることでしょう。マンションは設備が整い、気密性も高く、買い物への利便性が高い場合が多いですが、多くの人が共有している部分があり、感染リスクが潜んでいます。メリットは最大限活用しつつも、正しい情報を持ち、協力しながら、お互いに自衛できるようにしていきましょう。
(文 Loco編集部)
▼この記事については、こちらの記事も併せてご覧ください
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2020/04/27