賢い備えのシェア~国崎先生流「流通備蓄」を実践!~

最終回となる今回は、国崎信江先生が提案されている「流通備蓄」(マンションラボのコラムでも掲載されています)を、「シェア」を掛け合わせて実践する取り組みについて、ご提案したいと思います。

食べながら(使いながら)備える、「流通備蓄」って?

皆さん、非常食の備えはされていますか?

東日本大震災を経て、また首都圏直下型地震や南海トラフ地震の発生が予想される中で、自宅で非常食を備蓄することは常識だと感じている方がほとんどだと思います。「缶詰や乾パンなど3~5年程度長期保存の効く食料を、消費期限内ずっと保存する」というのが一般的ではないでしょうか。

ただ、「気づいたら非常食の消費期限が過ぎていて処分した」「消費期限が切れる直前だったので缶詰や乾パンを食べるのに苦労した」…という失敗も、身に覚えのある方が多いのではないでしょうか。

国崎先生が提案されている「流通備蓄」とは、ふだんの食材のストック…お米や乾麺、レトルト食料、缶詰など…を、非常食として活用する方法です。(くわしくはこちらをご覧ください。)

長期保存が効く非常食を食べずに保存しておく、という考え方ではなく、日常的に使う食材を一定量ストックしておき、食べた分を買い足すというサイクルを習慣づけ、常に新しい食材が備蓄されている状況にします。缶詰やレトルト食品といった日常的に購入している食材は通常の非常食より保存期間は短くても、いつでも買い足しが出来ますし、非常時にも、普段食べているものを口にすることで、精神的な安らぎを得ることができます。

東日本大震災で被災された方からも、乾パンや缶詰ではなかなか食欲がわかず、食べなれたレトルト食品などを食べることできたとき、とても元気が出たとの声が聞かれたそうです。

また、国崎先生流の1ヵ月分の食材の備蓄が難しい場合、また国崎先生のように調理が得意でない方は、通常推奨されている、家庭での3日=9食分の食料の備蓄を4日=12食分用意し、毎月1回ストック食材を食べる食事を決めておき、12食分のうち1食分を食べ、1食分を買い足す…という方法もあります。

毎月1回、ストック食材=非常食を食べることで、防災について考える機会ができるため、「流通備蓄」に近づけることができます。

「シェア」を取り入れることで、習慣化を

「流通備蓄」は素晴らしい取り組みなので、ぜひ実践していただきたいのですが、「習慣にする」…というところが、実はなかなか難しかったりします。

そこで、たとえばマンションにお住まいの皆さんで、定期的にストック食材や非常食を持ち寄り、「シェア」して食べる機会を設けてはいかがでしょうか。「パーティー」と銘打って、ストック食材や非常食を素材にして、パーティー料理を創作してみたり、「試食会」と銘打って、様々なものをお試ししてみたり。

防災訓練に取り入れれば、参加者もグッと増えるかもしれませんね。一人、一家庭だとなかなか難しい習慣づくりも、みんなで「シェア」しながらであれば楽しく行えるのではないでしょうか。


これまで約1年に亘って、『シェア』でつくる新しいマンションライフをテーマにお届けしてきました本コラムも、今回が最終回となりました。皆さんが『シェア』って楽しそう、ちょっとご近所に声をかけてみようかな、と思うきっかけとなれていたら、幸いです。
コラムを読んでくださった皆様、ありがとうございました!

2013/10/01

プロフィール

国崎 信江

危機管理アドバイザー。危機管理教育研究所代表。女性として、生活者の視点で防災・防犯・事故防止対策を提唱している。文部科学省地震調査研究推進本部政策委員、防災科学技術委員などを務める。講演活動を中心にテレビや新聞など各メディアでも情報提供を行っているほか、被災地域で継続的な支援活動も行っている。

おもな著書に『大地震対策 あなたと家族を守る安全ガイド : ビジュアル版』(法研)、『震度7から家族を守る家: 防災・減災ハンドブック』(潮出版社)、『マンション・地震に備えた暮らし方 (地震防災の教科書)』(つなぐネットコミュニケーションズ)などがある。


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