これからのシェア~おとうさんのヤキイモタイム~

子どものころの、寒い季節の思い出に、「たき火」や「焼き芋」を挙げる方は結構いらっしゃるのではないでしょうか。今回ご紹介する「おとうさんのヤキイモタイム」は、その名の通りお父さんが集まって焼き芋をする、またそれを応援する活動です。

なぜ「おとうさん」なの?なぜ「ヤキイモ」なの?なぜこれが「これからのシェア」なの?

まず疑問がわいていらっしゃるところと思います。
「おとうさんのヤキイモタイム」の企画運営・呼びかけをされている、NPO法人ハンズオン!埼玉の西川正さんにお話を伺いました。

毎シーズン100回以上の「おとうさんのヤキイモタイム」が実現

「おとうさんのヤキイモタイム」は、2005年に埼玉県で活動が始まり、今年度で7年目になります。(2005年から4年間は埼玉県の次世代育成計画事業として実施されました。)「おとうさんのヤキイモタイム」実行委員会では、地域で焼き芋をやりたい!というお父さんからの申込みを受けつけます。すると、申し込んだお父さんのもとに、協力団体よりサツマイモが届けられます。

「おとうさんのヤキイモタイム」を実施する条件もあります。まず、誰でも参加できるかたちで、オープンに開催すること(開催時期は10月~1月)。終了後に開催報告を、写真とともに実行委員会に提出すること。実行委員会からは、告知チラシのフォーマットを提供するなど、開催に関するサポートをします。2005年から、毎シーズン100回以上、多い時には200回の「おとうさんのヤキイモタイムが各地で実現しました。

お父さんが地域、子育てに関わるきっかけとしての「ヤキイモ」

この活動は、子育て中のお父さんに、地域でつながり子育てをする楽しさを味わってもらいたい、お父さん同士の仲間づくりのきっかけとしてもらいたい、という思いのもと始まりました。
「ヤキイモ」にしたのは、いくつか理由があります。まず、焼き芋をするためにたき火をしますが、火を囲んでいると心が落ち着き、知り合いではない人たちの間でも自然と会話が生まれたり、会話をしなくても不思議と間が持つのです。これは、話下手の多いお父さんたちにはぴったりです。次に、出来上がった焼き芋をみんなで食べる、というのは、「同じ釜の飯を食う」のと同様に、人をつなげる効果があります。

最後に、これが最も大きなポイントですが、地域でたき火をするためには、事前に行政に許可をとる、私有地の場合も環境に関する条例、規則等の法令に違反しないこと、近所に住む方々への働きかけなどが必要になります。もちろん、この点については実行委員会が相談にのりますが、こうした調整をお父さんが行っていくプロセス自体が、お父さんと地域の距離を縮めるのです。
難しそうに聞こえる「調整」ですが、お父さんは日々の仕事の経験もあり、実は様々な関係者の調整などが得意な方も多いので、活動を始めると、このプロセスも楽しんでやってしまう人が多いですね。

「おとうさんのヤキイモタイム」を、これからのシェアとしてご紹介したのは、二つの理由があります。一つ目の理由は、この活動が、お父さんたちの、子育てや地域活動にかかわるうえでの悩みや面白さをシェアする機会になっているということです。「悩みをシェアする」といっても、あくまで目的を「ヤキイモ」に置いているので、無理に「話し合う」必要はなく、その場にいるだけで自然と思いが共有できてしまう…そんな活動になっています。

二つ目の理由は、活動場所が私有地であれ、公園などであれ、その場でたき火をすることを通して、公共的な空間をシェアしている、ということです。みんなでシェア(共有)するのが「公共的な空間」であるとすれば、これはただ同じことを言っているだけです。しかし、「シェアする」ことが、「能動的に、みんなでその空間を活用する」ことだとすれば、私たちが普段公共的な空間をシェアしているとは言い難い。「おとうさんのヤキイモタイム」はそれをやってみよう、という活動なのです。

西川さんからは、「都内などでヤキイモが難しければ、七輪でも同様の効果を得ることができます」というアドバイスをいただきました。なるほど、七輪であれば、ちょっとしたスペースがあればプチバーベキューのような形で/楽しむことができますよね(※)。マンションの共用部などで、お父さんたちが子どもたちと七輪を囲む…そんな光景が見られるようになったら素敵です!

西川さんからお伺いした「シェア」のお話、まだまだありますので、次回のコラムでご紹介いたします!

(※)実施される際は、マンションの管理規約を良く確認いただくほか、火の始末には十分気をつけて行なうよう、ご注意ください。

参考:
おとうさんのヤキイモタイム
http://yakiimotime.com/
ハンズオン!埼玉
http://www.hands-on-s.org/blog/

2013/02/18