空間のシェア~「“いただきます”から深まるつながり」、やかまし村東京シェアハウス~

東京など都市部を中心に増えており、またそのスタイルも多様化してきているシェアハウス。

コミュニティづくりが重視されつつあるマンションでも、そのライフスタイルから学べることがあると考え、今回は30代前後の男女8名が住む「やかまし村東京シェアハウス」をご紹介します。

実はこのシェアハウス、少し変わったきっかけで始まったそうなのですが…。

「農業」から始まった、都心のシェアハウス

2008年12月、新宿区、閑静な住宅街の築40年日本家屋の一軒家で、20代後半の男女8人の暮らしが始まりました。きっかけは、「農業」。茨城県やさと農場で行われていた農業体験イベント「やかまし村」が、シェアハウスメンバーの出会いの場でした。

週末に農場に行って自然や動物や土と触れる中で、みんなで育てたニワトリやブタや野菜を、みんなで料理して“いただきます”と食べる、そんな農的な暮らし方に魅了されたメンバー。農場という非日常を、日常にしたい。東京の毎日の暮らしを、「農的暮らし」に近づけたい。そんな想いから、農的暮らしの実験室、「やかまし村東京シェアハウス」が始まりました。
食べる野菜は、自分たちで育てた野菜をやさと農場から購入。古い日本家屋の庭は耕やし野菜が植えられ、なんと鶏も(!)飼育し産みたての卵で朝食…という生活が営まれていました。

時は経ち2009年10月、家が売却されることになり、「やかまし村東京シェアハウス」は新宿から大塚に引っ越しました。8人が家族のように暮らせる住宅がなかなか見つからず…探し回って見つけたのは、4階建ての豪邸でした。鶏は飼えなくなってしまったそうですが(笑)、広々としたキッチンとリビングにはこれまでと変わらず、日々様々なお客さんが集っています。

まずは…シェアハウスのメリットって何ですか?

とある休日の夜、「やかまし村東京シェアハウス」にお邪魔したところ、リビングでは月に一度の恒例の「かぞく会議」が行われていました。「かぞく会議」では、仕事もプライベートも忙しいシェアハウスのメンバーがなるべくみんな集まり、ご飯を食べながら、その月のみんなのシェアや生活についての改善点などについて話し合うそうです。
今回、8名の住民のうち、マサさん(広告代理業)、ぴょんさん(地域活性化コンサルティング)、ユキさん(外資系メーカー)、ニックさん(ソーシャルメディアマーケティング)、トニーさん(フォトグラファー)、ひろしさん(コンサートホール企画)の6名にお話を伺うことができました。

「やかまし村東京シェアハウス」の住民のみなさん。8名のうち、6名の方からお話を伺うことが出来ました。左から、マサさん、ぴょんさん、ユキさん、ニックさん、トニーさん、ひろしさん。

―改めてお聞きしますが、シェアハウスのメリットって何ですか?

「何といっても、農場の野菜をみんなでシェアできるところです」(ユキさん)

「みんなで食卓を囲んでの食事は、とても楽しいです。一人で食事をするのって、つまらないなって思うようになりました」(ぴょんさん)

「家が広いので、たくさんのお客さんに来てもらうことが出来ます。8人がそれぞれ友人を呼んだら、人との繋がりも8倍になりますよ。それから、住民の生活が見えることで、一人暮らしだと気づかなかった自分の癖や、それぞれの家庭環境の違いを感じて面白いです。例えば、カレーの具って、家庭によってこんなに違うんだな、とか(笑)」(ニックさん)

―みなさん、本当に楽しそうに暮らしていらっしゃいますよね。
「やかまし村東京シェアハウス」が出来たときから、メンバーも少しずつ入れ替わっていると伺いました。その中で、変化したところや、変わらないところは何でしょうか?

『みんなで食卓を囲むという豊かさ』を大事に

「変化は…鶏を飼わなくなったところです(笑)。これまでは『農業』に強く関心をもつメンバーが多かったのですが、今のメンバーは関心もいろいろで、音楽をやったり、ヨガをやったり、それぞれの得意分野をみんなでシェアして楽しんでいます」(マサさん)

「ぼくは最初からずっと住んでるのですが、今も変わらずやかまし村イベントや、農場を舞台にローカルフェスをやったりしていますが、メンバーの関心は変わってきていますね。でも、野菜は農場から買って、みんなで料理をして食べています。『みんなで食卓を囲むという豊かさ』を大事にする…これは、今までも、これからも変わりません。」(ひろしさん)

―なるほど。シェアハウスは増えてきましたが、普段の食事は住民それぞれ、というスタイルのほうが多く、食材や食卓を共にしているところは少ないと感じます。このスタイルを続けることって大変ではないですか?

「『農業』や『食』を大事にするメンバーが集まっているので、そこはブレずに続けていきたいと思っています」(トニーさん)

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2012/11/16