皆様、こんにちは。放課後NPOアフタースクールの平岩国泰です。
ゆっくりとスタートした本年度ですが、私たちの“放課後プログラム”もいよいよ活発に活動をしております。マンションでも出来そうな内容を中心に最新事例を報告させていただきます。
今回のコラムでご紹介するプログラムは「裁判」です。
裁判の放課後プログラム
裁判プログラムの先生は、弁護士の岡田氏と佐藤氏です。実際に有罪にも無罪にもなりうるケースを設定し、子どもたちが裁判官、弁護士、検事に分かれ、それぞれ議論を闘わせます。
(事件が起きました)
はなこさんという女の子が旅行に行っている間、彼女のWiiが盗まれました。まさにWiiが盗まれたその時間に、現場をたまたまある男(ケン)が見ていました。ケンは、事件の起きた時間にはなこさんの家の近辺で男を見ました。
ケンが見た男は、はなこさんの家によく遊びに来ていたたろう君に似ていました。その男は何か荷物を持っていました。警察が調べたところ、たろう君の家から新しいWiiが見つかりました。そうした経緯で、はなこさんと仲の良かったたろうくんが犯人に疑われ、逮捕されました。
さてさて、ここからいよいよ裁判です。まずは目撃者のケンが登場し、検事から質問が飛びます。
「事件当日、あなたは何を見たのですか?」
→「たろう君に似た男が袋を持っていたのを見ました。」
「現場を見たのは何時頃でしたか?」
→「夜の8時頃だったと思います。」
「なんで現場を見たのですか?」
→「たまたまお風呂上りに外を見ました。」
検事はもちろん、たろう君が犯人であることを証明しなくてはなりません。次に、対する弁護士から質問が。弁護士は反対に、たろう君を守らなくてはなりません。
「どうしてたろう君だと思ったのですか?」
→「なんとなく似ていると思ったからです。」
「その男が手に持っていたのは本当にWiiでしたか?」
→「なんだか袋に入っていたのであまりよくわかりません。」
質問によってたろう君を守る情報を集めるのは非常に難しい。。。そうこうしているうちに、今度は被疑者であるたろう君の尋問タイム。裁判官からも質問が。
「事件当日、あなたはどこにいましたか?」
→「家でテレビを見ていました。」
「誰かそれを証明できる人はいますか?」
→「一人で見ていたので誰もいません。」
「どうやってWiiを盗んだんですか?」
→「いや、盗んでません!」
率直(?)すぎる質問が裁判官から。どうやらたろう君を犯人だと疑っているようですが、「裁判官は平等でなくてはなりません!」と岡田氏。すると今後は弁護士から質問。
「たろう君はWiiは持っているんですか?」
→「はい、持っています。買いました。」
「Wiiはいつ買ったんですか?」
→「年始にお年玉で買いました。」
「それでは家にはWiiの箱はありますか?」
→「あります。」
有罪にも無罪にもなりうるように、それぞれに有用な情報がいくつか隠されています。最後は裁判官が集まって議論。そして・・・
「決まりました!たろう君は・・・」
「有罪です!」
「やったーーーー!」(検事)
「えーーーーー!」(弁護士)
「たろう君に似た男が怪しい袋を持って、あわてて逃げていたことから、犯人はたろう君と考えます!よって、たろう君は有罪です!」
勝った検事は嬉しそう。敗れた弁護士側は悔しそうな様子。
市民先生からのメッセージ
プログラムの最後に弁護士の市民先生からメッセージがありました。
「今日の判決は1つの結論。初めから決まっていることではありません。このように社会には『1+1=2』のような正解はほとんどありません。みんなで最も正しいと思う『納得解』を決めて進むのです。だからみんなも、世の中の出来事に『自分はどう思うか』と思う気持ちを大切にしてください」。
なかなか親や先生では伝えられない大切なメッセージでした。
裁判員制度も始まっています。この裁判のプログラムは、大人でも十分楽しめる内容です。また小さな部屋が1つあれば開催出来ます。“マンションアフタースクール”でぜひ開催していただければと思います。
今回のコラムはここまでにいたします。次回以降もどうぞよろしくお願いいたします。
平岩 国泰
hiraiwa@npoafterschool.org(皆様、お気軽にご連絡くださいませ)
2011/07/04