アフタースクールプログラムの作り方~放課後コーディネーターの役割【マンション・アフタースクール#7】

皆様、こんにちは。放課後NPOアフタースクールの平岩国泰です。

日本の復興は、まだまだ途上であります。私たちは首都圏の子どもたちを中心に見ておりますが、まず子どもは基本的に元気に過ごしています。被災の際に子どもが傷ついた大人のセラピーになるのは、こういった無邪気な元気さにあります。

しかし一方で子どもたちも、メディアで繰り返し流される悲惨な映像を見て、避難のため急に転校する友と別れ、「日本はもうダメだ…」と言う大人の嘆きを聞いています。少なからず不安の種が心にあることでしょう。

こういう時代だからこそ、子どもたちの心にどんな状況に置かれても、自分の足で前を向いて歩いていく種を植えることが必要です。私たちのNPOも被災地へのご支援をしながらも、首都圏での活動もしっかりと再開していく必要があると考えています。

さて前回まで、全国の“つなぐ事例”などを見てきました。これらの事例や私どもの活動などを振り返って、今回より、アフタースクールプログラムの作り方を考えてみたいと思います。

今回は最も重要な“コーディネーターの存在”についてです。

コーディネーターの役割

私たちNPOの仕事とは何か?と聞かれましたら、“放課後コーディネーターです”と答えます。「子どもたちに教えるのが生涯の夢だった、放課後NPOがそれを叶えてくれた」と言ってくださったのは、学芸大学の名店「RUE DE PASSY」のパティシエである長島シェフです。

長島シェフのお菓子づくりプログラムの様子

長島シェフのお菓子づくりプログラムの様子

有名店のシェフである長島シェフは、専門学校での指導は多数経験があるものの、かねてから子どもにお菓子づくりを教えてあげたいと思っていらっしゃいました。また、長島シェフのお店を知らない近所の方はほとんどいません。お菓子を買った保護者の方、おいしく食べた子どももたくさんいます。

ですが、この長島シェフの思いが実現したことはありませんでした。なぜならつなぎ役がいなかったからです。

皆さんも、住んでいる地区には必ず小学校があります。しかしながら、そこに入ったことがある方はなかなかいないのではないでしょうか?お子様がいれば機会がありますが、そうでない方にはなかなか縁遠いのが小学校です。

そこにつなぎ役のコーディネーターの活躍の余地があるのです。間のつなぎ役がいればマッチングは実現します。しかし、いないと実現しないのです。

私たち放課後コーディネーターの主な仕事は下記です。

①     学校側のニーズヒアリング
②     市民先生の掘り起こし
③     アフタースクールプログラムの提案
④     実施準備(告知、募集、材料用意、タイムスケジュール作成)
⑤     実施、サポート
⑥     フィードバック(子どもたち、保護者の声)

1つのプログラムが実施されるまでには、それなりの手間があります。そして、黒子の仕事が多いのも事実です。でも、不可欠な存在であります。そしてプログラム終了後、子どもたち・保護者・先生・市民先生と皆が喜んでいる顔を見ることが出来ます。この時に私たちコーディネーターの大きな喜びがあります。それをご評価いただいたのが、前述した長島シェフのお言葉でした。

プログラム開催後、長島シェフのお店には子どもたちが顔を出すようになりました。優しいシェフは厨房を見せてくれたりもします。この小学校では、保護者6~7名がコーディネーター組織を作り、地元の市民先生によるたくさんのプログラムを開催するようになりました。長島シェフも毎年お菓子作りプログラムに協力くださっています。

子どもと保護者と街が見事につながりました!

こうしてコーディネーターが活躍して、私たちの目指す安全で豊かな放課後“が実現していくのだと思います。

マンションでは?

“マンションアフタースクール”でも、実現のカギはコーディネーターさんです。先ほどの仕事をマンションに置きかえるとどうなるでしょう?

①     マンション住民のニーズヒアリング
②     市民先生の掘り起こし(マンション内外)
③     マンションアフタースクールプログラムの提案
④     実施準備(告知、募集、材料用意、タイムスケジュール作成)
⑤     実施、サポート
⑥     フィードバック(参加者の声、実施レポートなど)

全くプロセスは同じです。これを1人でやるとなるとちょっと大変ですが、複数人でやると十分実行可能です。これを行うコーディネーター自身のメリットは何でしょうか?

・顔が広がる
・街の先生に堂々と声かけ出来る
・仕事の他に楽しみが出来る
・それ程(ほとんど)お金がかからない

こんなところでしょうか。これは私自身が活動を始めた時に実感していた楽しみでした。

私が過去にコーディネートしたマンガプログラム

私が過去にコーディネートしたマンガプログラム

そしてやはりプログラム実施後、皆の喜んだ顔が見られるのは何よりでしょう。

“次はどんなことをしたら皆が喜んでくれるだろうか?”と考えるのが楽しみな人は、コーディネーターに向いています。またこれを始めると、人に会うたびに“この人だったらどんな先生かな??”と考えるようになります。“人を見たら先生と思え”という行動様式になります。

たくさんのマンションコーディネーターさんが活躍し、住民の方々の絆が深まっていく取り組みが数多く実現すると嬉しく思います。

今回のコラムはここまでにいたします。次回以降もどうぞよろしくお願いいたします。

平岩 国泰 hiraiwa@npoafterschool.org

2011/05/16

プロフィール

平岩 国泰

放課後NPOアフタースクール代表理事。1974年東京都出身。1996年 慶應義塾大学経済学部卒。2004年長女の誕生を機に放課後NPOアフタースクールの活動開始。日本初の“放課後NPO”の活動は、100種類以上の“放課後プログラム”が誕生し、1万人以上の子どもが参加。グッドデザイン賞(2年連続)他各種受賞。