すべては「豊かなマンション生活」のために

「マンション理事会 運営のコツ」と題し、連載してきたコラムも最終回を迎えました。毎回、読んでくださる皆さんの顔を思い浮かべながら書き進めた文章、少しでもお役に立ちましたでしょうか。

日々の生活を考えてみると、とかく目先のことに捕われがちです。理事会の運営は大変、自治会への参加は面倒だ、近所付き合いも煩わしい。

実はこの状態、理事会の運営にとどまらず、とても「損」をしている可能性があるのですよ。最終回では、本当に必要な近隣とのつながりと心地よいコミュニティのあり方についてお話します。

有事における理事会・自治会の役割

2011.3.11私たちは、東日本大震災を経験しました。

東北ほどの被害は無いまでも、都心部での生活は一変しました。節電のため街灯は間引きされ、スーパーマーケットでは買占めの列、余震と緊急地震速報におびえる日々。

これが物と豊かさで溢れる現代の姿なのかと、目を疑いました。もし直下型地震が都心部を襲ったら、我々は一体どうなってしまうのでしょうか。

一方、阪神・淡路大震災では、非常に興味深いデータが残っています。

とある街での調査結果によると、発災時「人命救助をした人の内訳」の6割強が「近所の人」だったとのことでした。言い換えれば、半数以上の被災者が「近所の人」に助けてもらったという事実。気心知れた親族でもなく、仲良しの友人でもなく、公助の要である自衛隊でもなく、「近所の人」です。

災害発生から72時間が経過すると生存率が急激に低下すると言われていることから、親族や友人、自衛隊の助けを待つ時間的な余裕はありません。また、運良く被害から逃れた場合でも、避難所での生活を余儀なくされるケースが考えられます。プライベートな空間は一切なく、食べ物や暖を取ることも難しい中、肩を寄せ合いながら暮らす毎日。

つまり、理事会や自治会へ参加し普段から積極的にコミュニケーションを取ることが、有事の際に生死を分けることにもなり得るのです。大げさなようですが、実際に近所付き合いの少ない首都圏では二次災害で亡くなるケースが多いだろうと予想されています。

心地よいコミュニティをつくる

それでも「有事のため」だけにコミュニティを作るのは、現実的では無いかもしれません。

平時は豊かで楽しい生活のために、有事は命を守る共助のために、普段から心地よいコミュニティが築ければ一番ですね。
例えば、理事会の前後にひと工夫加えてみてはいかがでしょう。

・理事会前に自宅にある不用品のシェアを行ってみる
・理事会後にお茶会など交流の場を設ける
・時には議長を子どもに任せる「子ども議長」をつくる
・理事会で気になる情報を交換できる「ママ友の会」をつくる

理事会がきちんと運営できれば、その形は問われません。マンションでの主役は住民ですから、どうか思いっきり理事会や自治会の運営を楽しんでください。

最後までお目通しいただき、ありがとうございました。

真の豊かさは、お金だけでは買えない時代がやってきました。
その答えは、マンションに住まう皆さん自身の心の中にあるはずです。

2013/09/02

プロフィール

吉高 美帆

1983年、福島県生まれ。

環境省の「今後の環境教育・普及啓発の在り方を考える検討チーム」(チームリーダー:樋高環境大臣政務官)に環境教育の有識者として選任され、企業における教育、地域教育、幼児教育、学校教育などさまざまな角度からの検討に参画。宮城教育大学教育学部自然環境専攻卒業後、産業廃棄物業者での営業・研修担当、東京工業大学への出向、教育コンサルティングでのイベント企画・運営業務、コーディネート経験を重ね、現在は独立。理科教育全般を得意分野とし、環境イベント等のファシリテーターも務める。中・高等学校教諭一種免許状(理科)取得。社会環境問題の解決に必要不可欠な地縁コミュニティをつくるプロジェクト「Community Crossing Japan」のディレクターを務めている。


●Community Crossing Japan http://communitycrossing.net/


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