北欧のシンプルインテリアライフ 北欧家具マイスターが語る「北欧で学んだ家具と暮らし」

前回、北海道にあるスウェーデンヒルズで行われた「ダーラナ家具・インテリア展」の様子をご紹介しました。写真でご紹介したダーラナの素朴でシンプルなライフスタイルを彷彿させるテーブルや、代々受け継がれてきた職人技が光るインテリア小物に、みなさんも興味を持っていただけたのではないかと思います。今回は、工房で製作活動を行っている北欧家具マイスター島田さんから、実際にスウェーデンに渡って得た経験やものづくりの視点から、豊かな暮らしにつながるお話を紹介していただきます。ぜひご覧ください。


はじめまして。島田 晶夫です。

北海道の石狩にある当別町という小さな町に、スウェーデンヒルズという名の丘があります。その昔、手つかずの自然が残るこの丘に、当時のスウェーデン大使が立ち寄った際、「ああ、ここの風景はなんてスウェーデンに似ていることだろう」と感嘆し、その後この丘全体が、まるでスウェーデンの景色そのままの住宅地となるように、開発・造成が行われ、今に至ります。

このスウェーデンヒルズの一番小高くなっている場所に、私が仕事をしている(財)スウェーデン交流センターの木工房があります。幼い頃より木に魅せられ、北海道の音威子府(おといねっぷ)村、高岡、山梨、と技術を求めて各地で木工を学び、交流センターの研修員として働いていた15年前、一人のスウェーデン木工家との出会いから、さらなる木工修行の場としてスウェーデンに渡りました。「北欧家具の父」とも呼ばれる、名匠カール・マルムステンの流れを汲むカペラゴーデン手工芸学校で、木工にとどまらない手工芸全般の精神、北欧の生活文化の豊かさを知り、その影響を受けながら3年の学生生活と、1年の会社勤務を経て2001年に帰国しました。

帰国後すぐに、交流センターの許可を得、この木工房を借り受け、design studio shimadaを設立し、木工の仕事を始めました。

作業中の様子。

また、2007年には、仕事を認められ、日本人としては初めて、同国認定の家具マイスターの称号を取得しました。私が得意としているのは、シンプルでシャープなデザイン、空間に合った雰囲気や素材を使ってのものづくりです。素材が木であれば、家具、まな板、表札など、基本的にどんな注文もお受けするようにしています。空間とのバランス、調和のとれたもの、そして永く使ってもらえるものを提案したいと思っています。木の物は直せば使えるもの。直しながら世代を超えて使い続けて頂けるようなモノづくりを目指しています。

スウェーデン留学中にこんなことがありました。年配の女性が学校にやってきて、「椅子を直してほしい」と言うのです。先生に頼まれ、修理の担当を任されたため、その詳細を聞くことにしました。すると、「その椅子は自分が子供のころに使っていた椅子で、自分のおじいさんが作ってくれたものである。最近孫が産まれたので、この椅子を孫に座ってもらいたいので、直したいのだ」と話しました。
実に6世代も続く椅子だったのです。こんなに大切に永く使われる椅子の、なんと幸せなことだろう、自分のつくるものも、こんな風に永く使ってもらえるものにしたい、そう強く感じた瞬間でした。

昨年、工房を設立して10年の節目を迎えることができました。札幌のギャラリーで記念の展示会を開催し、家具はもちろん、工房設立当時から手掛けてきた木の小物、スウェーデンに行くきっかけともなったベンチや、スウェーデンで学んだ技術を最大限に表現した木象嵌をあしらったキャビネットなどを並べました。好きなものだけを作って並べる、そう考えた展示会でしたが、製作を終えてみると、やはり北欧で学んだ経験が自分のなかに培われている、そう実感できた展示会でした。

材椅子

YUセット

イージーチェア

一輪挿し

設立当初から作っているフラワーベース(一輪挿し)も、種類とバリエーションがずいぶん増えました。

当時から作った数を考えてみると、自分でもびっくりするくらいの数を作ってきていて、こんなに長く作り続けるとは、最初は思ってもみなかったのですが、ちゃんと作った数を記録に残しておけばよかったなーと、今さらながら後悔しています。

こういった小物を作るのも、家具を作るのと同じくらい私にとっては楽しい作業で、小物といえども上質な木を使うこと、手間を惜しまないで作る姿勢に変わりはありません。

 

そんなことが支持されてか、リピートして使っていただく方が多く、「自宅で使っているけど、いいのでね」とおっしゃって、ギフトに選んで下さったり、遠くから注文していただいたりすると、本当にありがたいなと思います。たとえ小さなものでも、design studio shimadaの製品としてたくさんの方に使ってもらえることは、作り手として嬉しいことであり、大きな励みになります。

今は木象嵌(もくぞうがん)という、様々な色調の木材をはめ合わせた、言ってみれば「木の絵」の製作に力を入れています。この技法は、北欧では昔から使われており、Yチェアなどで有名なハンス・J・ウェグナーなども、個の象嵌を嵌め込んだ家具を多数制作しており、その一部は現在もコペンハーゲンの工芸博物館で見ることができます。この木象嵌や、象嵌を使っての家具作りは、特に技術を要するもので、大変な作業の連続ですが、家具マイスターの名に恥じぬような作品を、今後も作り続けてゆきたいと思っています。


いかがでしたか。今回は日本で活動する北欧家具マイスター・島田さんの活躍をご覧いだたきました。次回は、名匠カール・マルムステンの遺した学校、「カペラゴーデン手工芸学校」についてご紹介していきます。ご期待ください。

お問い合わせはこちら

北洋交易株式会社 ホームデザイン事業部関東オフィス
佐藤 好美
http://www.hokuyo-koeki.co.jp/
TEL:044-711-4480

取材協力
design studio shimada
http://www.d-s-shimada.com/

2012/10/31

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