世界でいちばんあたたかなホテル、サンセルフホテルのおもてなし力

©Yuji Ito

空き家や集合住宅の空き室問題が取りざたされている昨今ですが、アートの力でユニークな活用を行っている団地があります。

一夜だけ、団地に現れるサンセルフホテル。

しかも、ホテルマンとなって宿泊客のおもてなしをするのは、団地や近隣の住民の皆さんだといいます。そこにはどんなかたちのコミュニティがあるのでしょうか?サンセルフホテルが開催された3月の末日、取材に伺ってみました。

サンセルフホテルのホテルマンは、団地や地域の住民

サンセルフホテルは、取手駅近くにある井野団地の一室に、一夜限りで出現します。井野団地は、1969年に建築された約2,000世帯の大規模なURの団地街です。4〜5階建ての階段団地が街区を形成しており、その団地の中央にあるショッピングセンター内の空き店舗をリノベーションしたカフェ「いこいーの+Tappino」が、サンセルフホテルの活動拠点でもあります。

「いこいーの+Tappino」は、取手アートプロジェクト(TAP)と自治会、市民ボランティアとで共同運営する地域のカフェ。小さいお子さん連れのお母さんから高齢者の方まで、さまざまな世代が集う場となっています。

サンセルフホテルオープン日、ホテルマンを務める人たちが、これからやってくるゲストを迎える準備を行っています。

ホテルマンは、小さなお子さんからシニアまで多彩な世代の人々が20名ほど。団地内の住民だけでなく、団地以外のエリアの人も加わっています。宿泊者をお世話する女将や子どもホテルマン、厨房でお料理を準備する調理チーム、ソーラーパネルを準備・調整する太陽部など、皆さんそれぞれの役割の準備に忙しそうです。

太陽の光を集めて団地に泊まる、サンセルフホテルの仕組み

さて、ゲストがいらっしゃるまで、サンセルフホテルの仕組みをご紹介しましょう。

サンセルフホテルは、ここ井野団地の空き室のひとつに、一晩だけあらわれる「不定期出現型ホテル」。その流れは、こんな感じです。

①「サンセルフホテル」のホームページ(http://www.sunselfhotel.com)でゲストを公募。いままでは1組でしたが、今回は2組のゲストをお迎えすることになりました。

②宿泊当日に向けて、ホテルマンとしての住民が、団地の空き室を使った客室の設えや準備を行います。数ヶ月から半年かけて、そのゲストのためだけに心を込めたおもてなしの準備を行います。

③宿泊当日にサンセルフホテル開業です。ホテルマンみんなでお客様をお迎えします。お客様には、チェックイン後、ホテルマンと一緒に団地近辺を歩きながら、特製ソーラーワゴン(蓄電装置)でその日使う電気を蓄電してもらいます。

特製ソーラーワゴン

④ホテルマンの心づくしのルームサービスやおもてなしを受けたあと、夜になったら昼に貯めた電気を使って、団地の上空に手作りの太陽を浮かべます。

⑤残った電気で、客室で必要な電力をまかないます。そして、就寝。

⑥翌朝、ゲストは朝食を食べたあと、チェックアウト。みんなでお見送りします。

ゲスト自身が自分でその日使う電気をソーラーワゴンで蓄電するため、冷暖房の必要がない、春と秋にのみオープンするのがサンセルフホテルのユニークな点。そして、夜に手作りの太陽を浮かべる「夜の太陽まつり」には、ゲストやホテルマンだけでなく近隣の住民も参加します。

サンセルフホテルは、2013年4月、2013年9月、そして今回の2014年3月と開催されてきました。いままではゲスト1組でしたが、3回目のこの日は2組のゲストを迎えることになり、2室の客室を用意することになりました。

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2014/06/27

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