妄想マンション「防災×テクノロジー」後編〜2030年の防災マンションはどうなる?どうなってほしい?

妄想マンション「防災×テクノロジー」後編では、防災の4達人—ドローンバード主宰の古橋大地さん、ジオラマ推進ネットワークの上島洋さん、気象予報士の赤坂大樹さん、マンション防災支援 を行っている岡本満子さんに「2030年の防災×テクノロジー装備マンション」を妄想していただきました。マンションのお部屋が飛んじゃう!マンションに神経回路を搭載してしまう!などなど、皆さんの妄想が膨らみました!

4達人が「2030年の防災マンション」を妄想する!

お馴染みの「妄想タイム」スタート! ここから未来の防災プロダクツが生まれるかも!?

ファシリテーター 猪股さん
ここからは、皆さんにいまから12年後の「2030年の防災マンション」について自由に妄想していただきたいと思います。前編でお話いただいた現状やテクノロジーの進化も踏まえて、ご自身だったら、どんな防災を備えたマンションに住みたいか考えていただけますか?

24時間前に災害予測&避難を指示するAI防災マンション

AIが自然災害を予測して住民に避難指示を行い、マンション自体が避難基地となる、岡本さんの妄想マンション。

岡本さん
皆さんから伺ったお話から良いと思ったアイデアを取り込んでみました。このマンションでは、地震、豪雨、台風などの自然災害発生時のリスクをAIが予測。24時間前にはマンションのサイネージなどで住民に告知して、指示された防災対策が完了しています。
2030年の人口減によって発生した空室住戸は、管理組合が共有施設として買い取り、上層階の部屋は豪雨の際に、下層階の部屋は地震の揺れが怖い住民のために、避難所として活用します。

猪股さん
マンションの空室が、被災時の避難基地として活用できる訳ですね。

岡本さん
そうです。マンション毎に用意する防災マニュアルなどはAIに記憶させて、AIが予測したマンション内の被害状況に応じて、避難や対策方法を住民に向けて指示します。2030年には、防災マニュアル自体が存在しなくなる世界になるのかなと。
ロボットが防災備蓄品を自動的に出して配付してくれたり、マンション一棟に一台のドローンロボットが完備されていて、災害状況をチェックしてくれます。

古橋さん
AIが24時間前に防災対策を正しく指示しても、信じない住民もいそうですね。その通りにやらなかったら「お前コレやれって言ったじゃん!なんでやらないのっ?」とAIの方がキレたりして。

岡本さん
いまでも自然災害が頻繁に起こっているので、将来自然災害予測の精度が上がっていけば、信用度も高くなるのかなと思います。でも、予測が外れたら「今回はごめんね〜」と謝るAIがいたら、人間ぽくって面白いかもですね(笑)。

有事の助け合いと平時のコミュニティ活性化をつなぐ補助的AI

AIがすべて人間の替わりになるのではなく、有事と平時をつなぐコミュニティのサポーター的役割を補助するという上島さんの妄想マンション。

上島さん
人間の代用としてのAIではなくて、人の考える力を活性化する方向で活用したいと考えました。2030年にはAIがもっと発達してスムーズなコミュニケーションが出来るようになっているだろうから、災害が起こった有事には助け合いシステムとして、平時にはコミュニティの活性化の仕組みづくりとして活用できる、コミュニティの情報共有と行動を促すシステムがあるといいなと思います。

猪股さん
有事と平時のマンションコミュニティをつなぐのがAIなんですね?

上島さん
平時にはAIが「家の食材を登録したらこんな持ち寄りパーティができるよ」とか「プロジェクターや掃除道具をシェアしたい」というニーズをマッチング提案してくれるようなシステムがあれば、コミュニティづくりに役立つ。有事には、備蓄や家庭の食材を使った炊き出しを防災活動に役立てる。個人情報保護の問題もあるけれど、AIがマンション内のいろいろな情報を共有してサポーターになってくれればいいですね。

古橋さん
それ、ちょっとお節介なAIだといいですね。「Aさんち、お塩がないって言ってるよ、貸してあげたら?」とか(笑)。お節介な引っかき回し役だと良いコミュニティサポーターになりそう。

2030年には、人も車も部屋も飛ぶ!?

人も車も部屋も飛ぶ時代になったら、マンション間の移動も簡単、災害時の連携避難も可能に!

古橋さん
2030年には車も自動運転になっているから、地上だけでなく空も活用して、車がマンションからマンションへ屋上をポートにして飛び交っています。災害時も、地上に逃げる必要がなくて、躯体のしっかりしたマンションの屋上で、空からの救助を待つ。
さらに部屋自体がドローンになっていて、同じブランドの互換性のあるマンションからマンションに、部屋が移動できるとか。たまに河原に着地してBBQを楽しんでから、またマンションに飛んで戻っていくとか。そうなるともう、マンションは不動産ではなくて「浮動産」と呼び名を変えてしまうしかないか(笑)。

猪股さん
うまいっ! まさに妄想ですね。

古橋さん
基本的に横着なので、家にいたままでどこかへ行きたい(笑)。ドローンの実験段階では、イスのまま飛べるものとかもあるんです。ドローンパーツが部屋自体に取り付けられれば、「飛ぶ部屋」のあるマンションもありかも。

岡本さん
部屋毎どこへでも旅行に行けちゃいますね(笑)。

発災前・中・後で防災情報をきめ細かくサポートするマンション

建物内の災害情報を、自分ごと化して提供してくれる、頼れる防災マンション。

赤坂さん
現在の防災情報はマスに向けての全体発信なので、自分のマンションは大丈夫と勝手に考えて避難行動の腰が重くなっている気がします。災害情報を自分ごと化するために、マンション自体が自分のエリアの災害情報を発信してくれればいいのかなと。

猪股さん
災害情報の自分ごと化は大切ですね。

赤坂さん
発災前には、マンションが「危険お知らせスピーカー」として、土砂災害の危険度や浸水予想などの災害・防災情報の自分ごと化支援を行います。発災時には、「マンション全体に張り巡らされた神経回路とドローン点検」で、建物の危険度を判定・診断。どの部屋・フロアで損傷が大きいのかなどの情報を教えてくれる。発災後には、マンション内で備蓄品や余っている食品を登録、炊き出しや必要なモノを交換する「お互い様サポート」を行います。

AIマンションにたよりきりプラン、名付けて「なまけ防災」

マンション・ラボ編集長の伊藤 鳴の妄想による「なまけ防災」は、働き者のAI搭載マンションが登場!

猪股さん
マンション・ラボ編集長の伊藤さんも、楽しげな防災マンションを妄想してくださいましたね。

伊藤
皆さんのお話に触発されました!
私の妄想は、AI搭載マンション自身が、建物の被害状況を自分で診断して伝えてくれるというもの。自分で修理を依頼したり、状況を分析して「いま避難した方がいいか」を判断してアナウンスしてくれたり。すべてAIマンションにたよりきり、いかに人間がラクして「なまけ防災」ができるかということです。

古橋さん
AIを搭載したマンションが、ロボットというか生き物の域にまで近付いてきていますね。
未来学者のレイ・カーツワイル氏他が提唱した「テクノロジカル・シンギュラリティ」では、2045年にはAIの知性が全人類の知性を超えると言われています。この時点を超えると、AIがAI自身でプログラムを改良してより賢いAIを生産するようになる。ペッパーがペッパーを生み出したり、AIマンションがより賢いAIマンションを生み出したりね。そういう時代が来ちゃうかもしれないと言われています。

伊藤
ええ! そんな時代になると、AIマンション自身が住民を選ぶようになったりするかもしれませんね。AIマンションに選んでもらえる防災意識の高い住民にならないと、入居できないとか…。

古橋さん
AIの中に免疫システムが発達して、不要なものは排除することも厭わないマンションに進化していくということもあるかもしれませんね。

猪股さん
2030年から2045年には、さらなるAIの進化が予想できるということですね。AIと人間の関係や人の存在はどうなっていくのでしょうね。

赤坂さん
より親身になって防災をアドバイスしてくれるAIが「コレ、相当ヤバイよ」って危機感を持って災害情報を伝えてくれるといいですよね。

岡本さん
ピンポイントで自分の危険度を言ってもらえると、相当危機感が違ってくると思います。

猪股さん
今回印象的だったのは、皆さんがAIマンションを擬人化していたことですね。

上島さん
AIって一口に言っても、ペッパーのようなロボット型なのか、コンピュータメッセージなのか、いろいろ形態が違いますよね。

古橋さん
ヒューマノイド型と工業用ロボット型の併用でいきそうですね。

岡本さん
管理員さんはペッパー君型になっていそう。でも「ロボットは24時間勤務だから疲れる」とか愚痴を言ったりして(笑)。

猪股さん
おかげでさまざまな妄想アイデアが出ました。機会があれば、AI×テクノロジー×防災のテーマでもっと掘り下げていきたいですね。皆さん、本日はありがとうございました。

【今回ご協力いただいた皆様】
上島 洋さん
一般社団法人防災ジオラマ推進ネットワーク(外部リンク)代表理事。東日本大震災後の石巻とのつながりをきっかけに、より身近なアプローチのジオラマキットを活用した防災教育プログラムの構築・提供を行う。熊本地震での事例をもとにした『おいしいミニ炊き出しレシピブック』(外部リンク)の制作にも参加。
赤坂 大樹さん
気象予報士、防災士。(株)ライフビジネスウェザー(外部リンク)で気象予報部の業務に携わる傍らで、一般社団法人防災ジオラマ推進ネットワーク(外部リンク)のメンバーとして段ボールジオラマ防災授業を行う。

岡本 満子さん
(株)つなぐネットコミュニケーションズ(外部リンク) マンション防災支援「BOU-UP」担当。マンションの防災マニュアルづくりや防災訓練などの支援活動を行う。
古橋 大地さん
災害ドローン救援隊DRONE BIRD主宰(外部リンク)。青山学院大学(外部リンク)地球社会共生学部 教授、マップコンシェルジュ株式会社(外部リンク)代表取締役、、クライシスマッパーズ・ジャパン(外部リンク)代表、世界防災減災ハックフェス Race for Resilience(外部リンク) 代表、HOT – Humanitarian OpenStreetMap Team(外部リンク)メンバーなど、地図情報コンサルティングを主業務としている。

ファシリテーター
猪股 有佐(いのまた ありさ)さん
不動産系広告会社に勤務する傍ら、都市部におけるコミュニティ形成の研究や、イベント運営などを行うパラレルワーカー。銭湯を中心としたまちづくりを行う。

前編はコチラ

2019/01/15

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