超大型台風でマンションの網入りガラスの屋根や蹴破り戸が破損!台風対策の方法とガラスの種類

今年の台風は、日本全国に大きな被害を及ぼしました。マンションも例外ではありません。特に怖いのは、ガラスを突き破ってくる飛来物です。今回の台風で被害に遭ったマンションのガラス屋根や窓の破損事例と、その対策についてご説明します。

台風21号によるマンション被害は、蹴破り戸やガラス屋根の破損

9月4日に徳島から上陸した平成30年台風21号は、近畿地方を横断して、愛知県・三重県・滋賀県・大阪府・和歌山県の5府県で合計14名もの死者を出しました(内閣府「平成30年10月2日17:00現在」データによる)。

8名もの死者が出た大阪府では、マンションの8階の窓ガラスを突き破った飛来物が当たって住民の70代女性が亡くなられたという痛ましい事故がありました。

内閣府 防災情報のページ 平成30年台風第21号に係る被害状況等について※外部サイト

年々規模と被害が大きくなっている超大型台風は、今回のようにマンションにも被害を及ぼします。いままでマンションは台風に強いと考えられてきましたが、これからは台風に備えた防災対策を考えていく必要があります。

最上階のガラス屋根や蹴破り戸が破損した関西のマンションの被災事例

以下でご紹介するのは、台風21号の被害を受けた関西のマンションの被災事例です。
6階建てマンションの最上階フロアのベランダが軒並み被害を受け、あるご家庭ではリビングの窓ガラスも破損したそうです。

最上階(6階)のベランダの網入りガラス屋根(庇)が破損。飛び散ったガラス片が、地上の平置き駐車場に落下し、車のフロントガラスなどにも被害を及ぼしました。ケガ人が出なかったことは、不幸中の幸いでした。

ベランダの蹴破り戸の上半分がまるごとなくなって、フレームだけが残っています。

ベランダには、蹴破り戸やガラス屋根(網入りガラス)の破片が散らばっています。ベランダに面した窓ガラスは網戸に守られて無事でしたが、網戸は何カ所か破損したそうです。

写真を提供してくださった方は、「マンションには雨戸がないのが怖い!」と初めて思ったと感想を聞かせてくださいました。雨戸がなく、遮るもののない見晴らしのいいマンションでは、台風による飛来物が直撃する可能性も孕んでいます。

「網入りガラスは割れにくい」という、よくある勘違い

網入り板ガラス(ワイヤー入りガラス)は、防火設備用。

被害を受けたマンションのガラス屋根は、網入り板ガラス(ワイヤー入りガラス)を用いていました。「網入りガラスなのになぜ?」という住民の声もあったそうですが、網入り板ガラスは、飛来物の衝撃には弱いものです。

なぜか「網入りガラスは防犯用だから頑丈で割れにくい」と思っている方が多くいらっしゃいますが、これはよくある勘違いです。網入り板ガラスは、防犯面では役立ちません。

網入り板ガラスは、ガラスの中に金網(ワイヤー)が入ったもので、火災時にガラス破片の飛散防止効果がある防火設備用のガラスです。火災でガラスが破損しても、中の金網によってガラスを支えて崩れ落ちたりするのを防ぎます。火災時にはその特性を発揮しますが、一般的なフロート板ガラスと同様、台風や強風時の飛来物は貫通・飛散しやすいものです。

金網によって割れた破片が飛散しにくいため、侵入犯が窓ガラスを割ってクレセント錠を回すときにも落下する破片が少なく、侵入犯の破壊音に気付きにくいという可能性もあります。

ガラスの種類と強度について

マンションに使用されている主なガラスには、以下のような種類があります。

フロート板ガラス 一般的な透明ガラス。衝撃による破損時には危険。
型板ガラス 板ガラスの片面がザラザラしていている不可視ガラス。
網入りガラス(ワイヤーガラス) 中に金網(ワイヤー)封入したガラス。防火と飛散防止効果がある。
強化ガラス 急冷処理加工により耐風圧強度を増したガラス。破損時には粒状に割れるため大きなケガにはならない。
複層ガラス(ペアガラス) 2枚の板ガラスの間に空気を封入して、断熱効果を高めたガラス。
合わせガラス(防災安全ガラス) 2枚の板ガラスの間に中間膜を挟んで接着させたガラス。破損時に破片が飛び散りにくく、衝撃物の貫通に強い。

板硝子メーカーの団体として設立された「板硝子協会」のウェブサイトでは、ISO規格に従ってガラスの種類(普通フロート板ガラス、網入りガラス、強化ガラス、フィルム貼りガラス、合わせガラス)毎に破壊実験を比較した詳細なレポートが公開されています。

板硝子協会※外部サイト
板硝子協会:ガラスの破壊実験比較レポート(動画あり)※外部サイト

小石が飛んでくることを想定した鋼球による実験結果によると、最も貫通・飛散しにくいのは「合わせガラス」、次いで「フィルム貼りガラス」という結果でした。強度と飛散防止効果が高い「合わせガラス」は、車のフロントガラスにも使用されているものです。

台風や竜巻による強風だけでなく、地震時の窓ガラス被害も考えると、「合わせガラス」や「(飛散防止)フィルム貼りガラス」の安全性がよくわかります。

台風などでマンションのガラスが破損した場合には、こうした実験データを踏まえて、強度のある「合わせガラス」や「フィルム貼りガラス」、3ミリ以上の厚みがある「ポリカーボネート板」などに交換することを、管理組合で検討されてみても良いでしょう。安価なものではありませんが、日々の安全を考えれば意義のあることです。

台風対策、住民が対応できること

台風や竜巻時の飛来物から窓ガラスを守るためには、一時的なものではありますが、以下のよう対策を行いましょう。これらの対策は、地震のときにも効果的です。

マンションの台風対策<窓ガラス編>

・窓ガラスに飛散防止フィルムを貼る
・窓ガラスの内側に養生テープをクロス状に貼る
・窓ガラスの外側を段ボールで覆って補強する
・カーテンを閉めて、カーテンの合わせ部分や裾をガムテープでしっかりと留める

台風21号では、飛んできたクーラーボックスが頭に直撃して、路上でお亡くなりになった男性もいらっしゃいました。台風や竜巻の際には、自分のベランダから飛んでいったモノが、誰かを傷付ける凶器になる可能性があります。日頃からベランダにモノを置かないようにし、特に台風の予報が出ている場合には、クーラーボックスや植木鉢などは室内に入れておきましょう。

台風・ゲリラ豪雨や浸水、マンションの水害への備えはできていますか?

2018/11/13

プロフィール

国崎 信江

危機管理アドバイザー。危機管理教育研究所代表。女性として、生活者の視点で防災・防犯・事故防止対策を提唱している。文部科学省地震調査研究推進本部政策委員、防災科学技術委員などを務める。講演活動を中心にテレビや新聞など各メディアでも情報提供を行っているほか、被災地域で継続的な支援活動も行っている。

おもな著書に『大地震対策 あなたと家族を守る安全ガイド : ビジュアル版』(法研)、『震度7から家族を守る家: 防災・減災ハンドブック』(潮出版社)、『マンション・地震に備えた暮らし方 (地震防災の教科書)』(つなぐネットコミュニケーションズ)などがある。


株式会社危機管理教育研究所

一般社団法人危機管理教育研究所


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