もしマンションの低層階が浸水したら?避難経路はある?

この夏の西日本豪雨(平成30年7月豪雨)を受けて、マンション居住者の方にも、もう一度水害の恐ろしさを考えると共に、避難のタイミングを検討してみましょう。

マンションの低層階が浸水してドアが開かなくなったら?

「マンションは水害に強い、万一浸水しても上層階に上がって避難すれば大丈夫だ」とお考えの方々も多いと思います。

しかし想定外のことが起こるのが災害の常です。
もしマンションの低層階が浸水したら、どうでしょう?

今回の西日本豪雨で浸水した一戸建ての方々は、二階や屋根に上がって救助を求めました。
気密性の高いマンションの部屋が浸水したとき、はたして窓やベランダから上階へ避難することができるでしょうか? 

水深が50cmを超えると水圧がかかって、一般的なドアは開きません。ドアを押す力は人によって違いますが、ふだん家にいる時間が長い女性や高齢者の方であればなおさらです。

NHKそなえる防災「大雨・浸水へのそなえ ~水の怖さを知ろう~」(外部リンク)

マンションは高層建物であるがゆえに、いざとなったら高層階に避難すればよいと考えているかもしれません。

しかし、今回の西日本豪雨の被災地のひとつである倉敷市真備町で救助された方のお話では、「水圧で玄関ドアが開かなかった。掃き出し窓も開かなくなった。だから2階に逃げたが、そこも浸水して逃げる場所がなくなった」ということでした。

マンションの低層階でも、避難のタイミングが遅ければドアの水圧で玄関もベランダに面した引き戸の窓も開かずに逃げられなくなるかもしれません。 

また2階の高さまで浸水した真備町では、屋根に上がって救助された人もいますが、平屋では多くの高齢者が亡くなりました。 

マンションの1階は戸建ての平屋と同じで、マンションの2階は戸建ての2階と同じです。
マンションの低層階は戸建ての住宅と同じリスクがあるということを自覚し、水圧で閉じ込められないように早めに避難する必要があります。

留守番中の家族が水害で亡くならないように、家族で避難のタイミングを早めに考えておくことが重要です。

マンションの1階だけが床上80センチの浸水をした事例

内閣府の「防災情報のページ」に、平成24年の大雨でマンションの1階だけが床上80センチの浸水をした事例が報告されています。こちらのマンションの場合は、幸いすぐに水が引いたようですが、もしそのまま浸水し続ければ、窓や扉を開いて避難することができなかったかもしれません。

→内閣府 防災情報のページ > 一日前プロジェクト > マンションの1階だけが床上80センチ~水害きっかけに自主防災組織で水位センサー設置~(外部リンク)

このマンションは、ハザードマップで5メートル以上の浸水の可能性がある地域でした。

そこで浸水をキャッチしたら警報が鳴るように、自主防災組織で水位センサーを設置されたそうです。マンションでもこのように、水害に備えて対策できることがあります。

防災館で水害の恐ろしさを学びましょう

西日本豪雨のニュースで、水害の恐ろしさを実感されたと思いますが、マンション居住者の方々にとっては、なかなか水害の恐ろしさを自分ごととして考えづらいかもしれません。

東京消防庁の本所防災館では、「都市型水害体験コーナー」を用意してあり、地下のドアや自動車が浸水して水圧がかかっているドアの開放体験ができます。ご家族や管理組合の防災理事の方々で、ぜひ体験していただきたい内容です。

東京消防庁 本所防災館(外部リンク)

本所防災館で蹴破り戸の破り方や煙体験コーナーを体験した記事
女性でもできる!マンションの「蹴破り戸(隔て板)」の蹴破り方のコツ

9月は防災月間です。
地震への備えだけではなく、水害を始めとしたさまざまな自然災害にも目を向けていただければと思います。

2018/09/14

プロフィール

国崎 信江

危機管理アドバイザー。危機管理教育研究所代表。女性として、生活者の視点で防災・防犯・事故防止対策を提唱している。文部科学省地震調査研究推進本部政策委員、防災科学技術委員などを務める。講演活動を中心にテレビや新聞など各メディアでも情報提供を行っているほか、被災地域で継続的な支援活動も行っている。

おもな著書に『大地震対策 あなたと家族を守る安全ガイド : ビジュアル版』(法研)、『震度7から家族を守る家: 防災・減災ハンドブック』(潮出版社)、『マンション・地震に備えた暮らし方 (地震防災の教科書)』(つなぐネットコミュニケーションズ)などがある。


株式会社危機管理教育研究所

一般社団法人危機管理教育研究所


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