マンションもブランディングの時代?注目の「ブラウシア・ブランディング・ブック」発刊

マンションの資産価値やブランディングは、住民自身がつくりあげていく時代となりつつあるようです。今回は、2055年の未来までのブランディング戦略を定めた千葉市のマンション・ブラウシアさんの「ブラウシア・ブランディング・ブック」をご紹介します。

そもそもマンションのブランディングって何?

ブランディングとは、ひとつのブランド(商品・サービス・企業など)に対する共感や信頼を通じて、その価値を高めていく戦略のこと。

マンションのブランドというと、巷で販売されている不動産デベロッパー会社のマンションブランドを想像しがちですよね。でも、ここでいうブランディングは、住民自身が自分たちの住んでいるマンションのブランドイメージ戦略を創り、育て上げ、活性化し、住民同志が共感を持てるレベルにしていくことです。

もしそれぞれのマンションがその特性に合わせてしっかりとブランディングされていれば、他マンションとの差別化、選ばれるマンションとしての資産価値向上、住民からの信頼・共感が得られるなどの効果が期待できます。

「あのマンションは管理もしっかりしているし、コミュニティ活動も活発で、住むと楽しそう」「うちのマンションは、住民同士が仲良いよね」
「あなたのマンションっていろいろなことしてくれていいわねって、よく褒められる」

そんな風に思える魅力的なマンションなら、きっとブランディングの最初の一歩が出来上がりつつあるはず。しかし、自分たちのマンションのブランディングを戦略的に考えている管理組合は、まだまだ少ないのではないでしょうか?

ブラウシアは2005年に竣工した総戸数438戸の大規模マンションです。これまでにもテレビで紹介されるなど、管理組合の先鋭的な取り組みが注目されています。

今回ご紹介する千葉市のマンション、ブラウシアさんは、2016年にブランディング委員会を立ち上げて、ブランド戦略策定に着手。2018年3月に「ブラウシア・ブランディング・ブック(BBB)」を発行しました。そのきっかけと経緯について、管理組合の高田ブランディング副委員長と加藤副理事長にお話をうかがいました。

「ブラウシア・ブランディング・ブック」をつくったきっかけ

「ブラウシア・ブランディング・ブック」は、築50年目となる2055年の未来までを想定して、ブラウシアはどうあるべきかというブランド戦略「BB55」を示したもの。64ページもの読み応えある冊子です。

——そもそもマンションのブランディングを考えようとしたきっかけは何でしょう?

高田ブランディング副委員長(以下、高田さん)
ブラウシアは、第1〜5期では管理組合の基礎づくりを行い、第6〜12期では理念・ビジョンに基づいた改善・改革活動で課題を克服し、他のマンション管理組合との交流や情報発信を積極的に行ってきました。大規模修繕の実施や長期修繕計画の目処も立って、2055年までは問題ないというところまできて、マンション管理組合としてやるべきことはやったというところまで来ました。そこで、今度は将来を見据えて、ブラウシアの次のステップを考えよう、我々のブランドを確立しようということになりました。

——そこで、2016年にブランディング委員会を設立されたのですね?

高田さん
これまでの活動を通して“住民経営のマンション”と評価され、テレビ東京「ガイアの夜明け」をはじめ、各種メディアに取り上げて頂けるようになりましたが、将来のビジョンもしっかりと考えていかないといけないし、考えるプロセスも大切です。
ブランディング委員会は、合計10名の委員で構成し、毎月1回会合を開き、我々を取り巻く環境の変化や社会問題の分析、住民からのアイデア公募、外部有識者からの意見もいただきながら、理念やビジョンについての討論を繰り返し、住民の総意を盛り込んだブランディングを目指しました。

——その後、約1年半かけて「ブラウシア・ブランディング・ブック」を完成させた訳ですね。

加藤副理事長(以下、加藤さん)
管理組合の世代交代があっても、次に担当する新理事や住民がいつでも指針に出来る道標的なものとして、ブックとしてかたちに残すことにしました。活字として目に見るかたちで残して、住民全員で共有したいという思いもありました。

これまでの活動の振り返り、変えないこと・変えていきたいこと

2016年の夏祭り。ガーデン中庭の芝生工事が完成した翌年で、みんな芝生に座り込んで気持ちよさそうですね。

——「ブラウシア・ブランディング・ブック」には、これまでの管理組合の活動記録の歴史がまとめられているのも良いですね。マンションは竣工時の住民だけでなく、途中から入居する住民もいますから。

高田さん
第1章ではこれまでのブラウシアの歴史を振り返り、変えるべきもの、変えてはいけないものを明確にしました。マンションの立地は変えられないものですが、設備・サービス・利便性・コミュニティとしての団結意識や人と人との繋がりや信頼は、我々の努力次第で変えていくことができる。そして変えてはいけないことは、個人個人の根源的価値観やプライバシーに属することです。それこそが、2055年を見据えたブラウシアのブランド戦略「BB55」が提言していきたいことです。

ブラウシアの理念とビジョンは、未来の行動指針

第4章では、ブラウシアのブランディングを整理し、管理規約にも登録済みの「理念」と「ビジョン」を掲げています。

加藤さん
ブラウシアの理念で最も重要な要素は、“強固なコミュニティ”です。入居当初からイベントをベースにして住民同士のつながりが積み重ねられてきました。ブラウシアの良い点は、「居心地が良い」「仲間がいる感覚」という声からわかるように、強いコミュニティが存在することです。ブラウシアは、セレブ層が多く住む都心の大規模マンションとは違い、千葉市内のごく一般的な層が多く住む、庶民派マンションです。我々は、そんなブラウシアだからこそできる、ブラウシアらしいコミュニティを形成したいという思いを大切にしようと考えました。

——

理念とビジョンを定めると管理組合の行動規範になると、管理組合の皆さんはおっしゃいます。
実際、第12期までの歴史の中で、管理会社の変更、管理問題の改善、修繕積立金の改定などを着実に手掛けてきたブラウシア管理組合の活動の規範は、すべてこの理念とビジョンに体現されていると言えます。

「2055年のブラウシアから届いたメッセージ」を描くストーリー

ブラウシアのブランディング委員会の皆さん。理事経験のあるオブザーバー、住民代表、第13期理事長、管理会社レーベンコミュニティが参加されています。

「ブラウシア・ブランディング・ブック」がユニークなのは、住民の意見を吸い上げると共に、住民だけに限らず、外部の専門家の意見も積極的に聞く機会を設けたことです。

ブランディング委員会は、不動産会社やメディアといった、住まいやコミュニティを熟知した専門家の方々からの助言を求めて、丁寧に懇談を重ねていきました。中の住民はブラウシアをどう見ているのか、外からはどう見られているのかという部分まで把握して、ブランディング戦略を検討しているのはさすがです。

第6章では、未来のブラウシアをイメージさせるために、2055年のブラウシアを舞台にしたフィクションストーリーを展開。

——第6章の2055年のブラウシアを舞台にしたストーリーは面白いですね。ITやドローンを活用した未来のマンションライフが描かれています。マンション・ラボでは「妄想マンション」というコンテンツを連載しているのですが、ぜひとも協力いただきたいです!

高田さん
委員長の執念で完成させた大傑作です。やっぱりワクワクする未来を描くことが大切ですから。ブランディング活動には、組織と管理、人材、財政、情報技術(IT)という4つのエンジンが欠かせません。フィクションストーリーは、4つのエンジンを駆使して実現する未来のブラウシアの姿を、具体的に描き出しています。

——最後に、これから具体的なブランディング計画の予定はありますか?

高田さん
ブランディング活動の目標は築50年の2055年ですが、まず次の目標として築20周年を迎える2025年をターゲットとした到達点を考えることに決定しました。20周年までの7年間を「ブランディング7ヶ年計画」の策定にあて、今後第14期以降の活動はブランディングに沿った内容で検討していきます。
現在推進している「里山縁組プロジェクト」も、ブランディング計画のひとつです。他にも関係者からたくさんのアイデアをいただいていますし、長期修繕委員会もバリューアッププランを策定しています。まずは20周年の2025年へ向けて、ブラウシアの活動はますますイキイキでワクワクな感動になっていくと思いますよ。

これからの時代のマンション・ブランディングを考える

マンション・ラボがこれまで取材してきた中でも、理念や活動のビジョンを掲げるマンション管理組合がいくつかありました。
築年数も規模も立地条件もさまざまなマンションばかりですが、どのマンションもその特性を充分に活かした理念を掲げ、それを規範としてさまざまな活動を積極的に行っています。

湾岸エリアの超高層マンション、ブリリアマーレ有明の管理組合では、ヴィジョンを明示した「クレド(Credo)」を規範として行動しています。

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築42年の京都・西京極大門ハイツでは、次代へ繋ぐ7つの目標を掲げた「まちづくりマスタープラン」を策定しています。

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隅田川リバーサイドにあるイニシア千住曙町では、外部向け広報担当者を設けて情報発信中。なんとマンションのゆるキャラまで誕生させました。

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これからの時代のマンションは、いかにオンリーワンのブランディングを醸成していき、よりよいコミュニティを育んでいけるかということが、差別化や資産価値の向上につながっていくのではないでしょうか。

何より、ブランディングを確立することで、そこに住む住民自身が幸せになるのだということが、「ブラウシア・ブランディング・ブック」を発刊したブラウシアさんを見ているとよくわかりますよね。これからのブラウシアさんの活動に大いに期待したいと思います。

ブラウシア
JR京葉線・千葉都市モノレール「千葉みなと」駅徒歩3分にある、2005年竣工、地上20階・地下1階建、総戸数438戸の大規模マンション。活発なコミュニティ活動がテレビや雑誌で紹介されるなど、いま注目のマンション。

ブラウシア管理組合の公式サイト(外部サイト)
ブラウシア管理組合Facebook公式ページ(外部サイト)

2018/09/11

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