大学対抗!AIで変わるミライのマンションを描こう(後編)~妄想マンションvol.1~

4人の大学生が「AI×妄想」で、ミライのマンションの理想形を描く——さあ、どんなアイディアがと飛び出すか!?

東工大、専修大、大妻女子大の3大学4名が思い思いに「究極のマンション像」を語り、それを『グラフィックレコーディング』という手法で可視化することで、ミライに実現可能な理想のマンションの姿を浮かび上がらせる。「AIで変わるミライのマンション」を考える企画の後編です。今回は2人組のチーム対抗で妄想を膨らませてもらいます。

設備充実のタワーマンションをAIでもっと快適に

前編では「丘の上に建つ築40年のマンションをAIで救え!」というテーマについて妄想し、それを一人ずつ発表した大学生4人。すっかり打ち解けた間柄になったところで、次のミッションに挑みます。

妄想マンションvol.1 大学対抗!AIで変わるミライのマンションを描こう(前編)

妄想マンション企画に参加した大学生4人。

ひらりん(平野 大樹 東工大3年)……数学と電気の勉強をする傍ら、東工大レゴ同好会で活動。他大学の同好会や、大人のためのレゴグループなどとの交流も楽しんでいる。

ノリ(金 範植 東工大大学院1年)……地球惑星科学コースで世界中の石の研究を行う。東工大レゴサークルで前年度まで部長を務め、全国のサークルの取りまとめを行っていた。

コウタ(後藤 幸汰 専修大3年)……オーダーメイドスーツの会社でインターン中。スノボとバスケのサークルに所属するオシャレ&アクティブ青年で、K-POPが大好き。

なすあや(那須野 純花 大妻女子大3年)……高校生のときに自分で立ち上げた武蔵小杉のゴミ拾いグループで活動するほか、町おこし活動に積極的に参加。地元・川崎をこよなく愛している。

MISSION:築5年のタワーマンションをAIでもっと楽しく! 快適に!

こちらも東京に実在する、35階建て築5年のタワーマンション。まだ新しいこともあり設備面では充実していますが、AIの技術を導入することで、住民がもっと笑顔で幸せな毎日を送れるようにすることはできないでしょうか。

1. 子育て世代(35歳前後)の住人が多い。
2. フィットネスジム、シアタールーム、フローリングの会議室などの共用施設が充実。
3. 街の再開発により建築されたので、昔からこの地域に暮らしている住民との関係は希薄。
4. マンション内の住民同士の交流も少ない。

このような現状を踏まえて、住民はもちろん、このマンションに関係する誰もが楽しく、快適になれる方法を「なすあや&ヒラリー」組・「ノリ&コウタ」組に分かれて妄想し、20分後に発表します。

2回戦はミックスダブルスに。「なすあや&ひらりん」コンビと「ノリ&コウタ」コンビでバトル開始!

カギはマンション内外のコミュニケーション

個人個人による妄想とは異なり、ペアで意見を交換しまとめあげるこのミッションでは、その最中にさまざまな声が漏れ聞こえてきます。
「そもそもタワーマンションに住む人たちは、お互いにコミュニケーションを取りたがっているのだろうか?」
「多くの家族は、昼間は地域外にある仕事や学校へ通っているだろうから、時折顔を合わせることができるイベントは必要」
「子どもが一緒に楽しめるイベントをきっかけにしたらどうだろう」
「起こりうるトラブルを、AIが事前に回避できたらいいよね」
「地域の防災ということでは、マンションのAIは使えるかな」
4人の会話からよく聞かれるのは「地域」「コミュニケーション」「情報」というワード。妄想はAIをツールとしてタワーマンション内外のコミュニケーションを円滑にする方向に膨らんでいるようです。

20分間の制限時間の中で、思い思いの意見をぶつけ合いながら妄想を膨らませていきます。

大型モニターで、AIが地域の情報を自動発信

20分間のペアによる妄想タイムが終了!「なすあや&ひらりん」ペアの先行で発表します。

なすあや:私たちの発表のテーマは「AIが人の流れをつくる」です。
ここでいう「人」とは、この地域で暮らす住民全体を指します。このタワーマンションで暮らす人は、基本的に地域外で仕事をしたり勉強をしたりということが多く、地域に愛着を持つための機会や時間を持つことが難しいと思います。
一方でタワーマンション周辺に昔から暮らす人たちは、ここに引っ越してきた住民を「新しい人たち」と捉えていることが多いのではないでしょうか。この両者のギャップを埋めるために、私たちはタワーマンションの敷地内に大型のモニターを置き、そこで地域に関連する情報をAIで収集し、発信する仕組みを考えました。

ひらりん:例えばこのモニターで、地域の商店街の安売り情報を流す。わざわざ遠くに行かなくても安くて良い商品が手に入るとわかれば、この地域内で買い物してくれる住民は増えるでしょう。さらにはAIで分析した住民の嗜好や健康状態などのデータを組み合わせれば、商店街の人たちにとっても商売上有益なデータとなります。地域の人たちみんなにとってメリットがある情報発信だと思います。
他にも地域のお祭りなどのイベント情報も流します。開催情報だけでなく「このお店に行けば子ども用の甚平や浴衣が借りられる、安く手に入る」ということを告知できれば、より一体感のあるお祭りになりますよね。
あとはハザードマップ。いざというときに地域で助け合うための情報を交換する場としても活用できると思います。

なすあや:AIが地域に関する情報を集め、モニターを通じて配信することで、タワーマンションに暮らす人たちと、もともと地元で暮らす人たちの価値観や生活リズムの違いを埋めて、地域に緩やかな人の流れを生み出すのが狙いです。お互い同じ地域に住む者同士、一緒ならもっとうまくやれることがたくさんあるとわかっているのに、それをしないのは良くない。まずは地域で何が行われているかを知るきっかけをつくることが大切だと思います。

この2人の発表に対して、ファシリテーターの猪股さんより「(スマートフォンアプリなどではなく)なぜモニターがいいと考えたの?」という質問が出ました。

なすあやが代表して「前を通るだけで、見た人の目と頭に無意識に入ってくる情報媒体だからです。そんな形のほうが自然な人の流れをつくりやすい。スマホの画面ではなく、あえてモニターにすることに意義があると思います」と、その裏側にある考えを聞かせてくれました。

AIが住民同士のトラブルを事前に回避

続いて「ノリ&コウタ」組の発表に移りました。「AIで人と人とのコミュニケーションをつなぐ」というテーマに沿ってアイディアを出してくれました。

ノリ:まずはマンションの住民同士のコミュニケーションですが……そもそもタワーマンションで暮らす人は、全員が周囲とコミュニケーションを取りたいと思っているのだろうかという疑問を持ちました。そうでない人も多くいるとすれば、お互いが直接的なコミュニケーションを取らずとも、AIが間に入りトラブルの芽を摘んでくれるような働きをしてくれたらどうでしょう。例えば、上下の階に住む住民の生活パターンをAIが予測して、騒音などの苦情が出る前に注意を促すというような仕組みができれば面白いですよね。

次にマンション住民と近隣の商店街の人たちとのコミュニケーションです。マンションに暮らす人は近所の商店街で今何が売られているか知りたいでしょうし、商店街の人はマンションに住む人が何を欲しているかを知りたい。AIでこの「買いたい」「売りたい」の想いをマッチングできれば、欲しい物がすぐ手に入るという環境をつくることができ、わざわざ遠くのスーパーまで出かけて買い物をする必要がなくなります。これは両者にとってメリットがあることだと思います。

コウタ:僕が考える、AIによる住民同士のコミュニケーション促進としては、AIに住民の趣味を把握させて、映画の上映会や音楽などのイベントを共有部で開催するというものです。AIならば各家庭の生活スタイルや家族構成などの情報もある程度把握できるでしょうから、それぞれが楽しめるイベントを、なるべく多くの人が参加できる時間帯にアレンジすることができます。
もちろん近所の住民も呼んで、広く交流を図るのがよいですね。子ども向けのイベントを行えば、子ども同士のつながりが親にまで広がって、もっと大きな輪ができると思います。

マンションと近隣とのつながり強化に関しては、遠くからでも目立つタワーマンションの特徴を利用して、地域をPRするプロジェクションマッピングなどのイベントをマンションの壁面を利用して行うというのはどうでしょう。マンションの存在が地域活性化に貢献する実例になると思います。

とここで3分間の発表時間が終了!
前半・後半と合わせて2時間以上にも及んだAIで変わるミライのマンションに関する4人の妄想は、ここで一区切りとなりました。

2組の発表を1枚の紙にまとめたグラフィックレコーディング。一つの大きなテーマのもの、さまざまなアイディアが膨らんだ様子がイメージできます。

今回の大学生による妄想マンション企画を通して特徴的だったのは、AIを設備やモノを動かす手段として活用するのではなく、AIにより集めたデータを、人と人とのコミュニケーションを促進するツールとして使おうという方向性でした。
そこからは、マンションという居住区間において、家族と家族、住民と地域という人間同士の関係が分断されているのではないかという危機感があることが伺えます。マンションは「人が暮らすハコ」ではなく、人同士が出逢い、同じ建物や地域で生活をともにするコミュニティであることの大切さを、彼らの妄想を通じて学ばせてもらった気がしました。

今後もさまざまな人たちが集まり、ミライのマンションについて妄想を膨らませるこの企画を続けていきたいと思います!

大学対抗!AIで変わるミライのマンションを描こう(前編)~妄想マンションvol.1~

マンションのIT化が資産価値を高める!?~マンションマニアさんの住まい談義vol.3~

マンションのコミュニティ事例~SNSや地域住民のつながりが孤独な子育て“孤育て”を救う!~

地域住民“みんな”でつくるコミュニティの一環、マンション・マルシェとは?

2018/05/10

↑ page top