マンション防災対策の勘違い—IHクッキングヒーターで起こりがちな事故

IHクッキングヒーターは、火を使わないから安全だと思い込みがちですが、使用方法を間違うと、火災や事故を引き起こす可能性があります。使用方法を勘違いしていないか、いま一度確認してみましょう。

IHクッキングヒーター使用時の火災や事故は過去10年で増加傾向

東京消防庁の報道発表資料(外部リンク)によると、過去10年間の調理機器別火災件数では、ガステーブルなどの調理機器による火災は減少傾向にある一方で、IHクッキングヒーターの火災は増加傾向にあります。

平成19年から平成28年までの過去10年間に発生したIHクッキングヒーターによる火災件数は合計136件ですが、そのうち18歳〜25歳の行為が20件、特に春に起こっています。これは、IHクッキングヒーターの使用方法を理解していない若い世代が、新生活を始めて起こしてしまったためだと思われます。

しかし30代女性でも、天ぷら油の量が少量だったために安全装置が作動せず、天ぷら鍋から出火した事例が報告されています。
皆さんも、「IHクッキングヒーターは火を使わないから安全」だと過信していないでしょうか?

IHクッキングヒーターまわりにモノを置きすぎていませんか?

ガスコンロと違ってIHクッキングヒーターは、まわりが熱くならずフラットなため、調理器具、食器、油、食材などをそのまま置いて使用しているご家庭が多いのではないでしょうか。

プラスティックのボウルをIHクッキングヒーターに置いたまま、間違ってIHのスイッチを入れてしまって、変形させた経験はありませんか?

お子さんが電気フライヤーをIHクッキングヒーターの上に載せて使用していて、間違ってIHのスイッチを入れて焦がしてしまったという事故を伺ったこともあります。これは、ひとつ間違ったら大事故になる可能性もあります。

先の東京消防庁の報道発表資料では、電気ケトルをそのままIHクッキングヒーターにかけて加熱できると思い込んでいた20代男性の出火事故が報告されています。

最近はオール電化のマンションが増えています。またシニアのご家庭にIHクッキングヒーターを導入するケースもあります。しかしIHクッキングヒーターの正しい使用方法と、火災を防ぐために注意する点を理解していなければ、意味がありません。

以下の点を注意するように、家族の皆様と話し合ってください。

・IHクッキングヒーターの周囲にはモノを置かないことを徹底する
・IHクッキングヒーターの取扱説明書に従って、IH対応の調理器具しか使わない
・揚げものをする際には、定められた油量と揚げものモードを使う。
・IHクッキングヒーターを使用中は、絶対にそばを離れない

汚れ防止マットにも注意が必要です

トップの汚れや焦げ付きを防止するためのマットにも注意が必要です。

IHクッキングヒーターのトッププレート上に、汚れ防止マットを敷いて使用しているご家庭も多いことと思います。
しかし、汚れ防止マットを敷いて天ぷら鍋の油を加熱中に、その場を離れたところ、火災が発生したという事故報告が国民生活センターに寄せられています。

国民生活センターでは、この事故報告を受けて、シリコーン、ガラス繊維、マイカ(雲母)、結晶化ガラスの材質の汚れ防止マットを使って、IHクッキングヒーターによる天ぷら鍋の油の加熱テストを実施・報告しています。

独立行政法人 国民生活センター(外部リンク)
※平成25年2月21日付け「IH クッキングヒーターに用いる汚れ防止マットの使用に注意」報道発表資料を参照

詳細は、国民生活センターの報告を参照していただければと思いますが、汚れ防止マットを敷くことによって、以下の可能性があることがわかっています。

・IHクッキングヒーターの温度検知機能が損なわれる可能性があること
・汚れ防止マットを敷いて油を加熱し続けると発火する場合があること

上記を十分に理解した上で、汚れ防止マットの取扱説明書(商品によっては揚げもの調理の際には使用できないものがあります)をいま一度確認して、正しく使ってください。


IHクッキングヒーターは、過熱防止などの機能もあり、正しく使えば安全な製品です。
しかしまったく火災が起こらない訳ではありません。使用中は絶対にそばから離れないというルールを守ってご使用ください。

空気が乾燥した冬場は、火災が起こりやすい季節です。
この機会に、マンションでの火災発生時の初期消火のタイミングと避難方法も、以下の記事でもう一度きちんと理解しておきましょう

[マンション火災]初期消火のタイミングと避難方法

他にもマンション防災対策の勘違いシリーズをご紹介していますので、参考になさってください。

マンション防災対策の勘違い—家具固定だけでなく家電も固定していますか?
マンション防災対策の勘違い―地震に備えてお風呂に水をためておくのは良い?悪い?

2018/02/28

プロフィール

国崎 信江

危機管理アドバイザー。危機管理教育研究所代表。女性として、生活者の視点で防災・防犯・事故防止対策を提唱している。文部科学省地震調査研究推進本部政策委員、防災科学技術委員などを務める。講演活動を中心にテレビや新聞など各メディアでも情報提供を行っているほか、被災地域で継続的な支援活動も行っている。

おもな著書に『大地震対策 あなたと家族を守る安全ガイド : ビジュアル版』(法研)、『震度7から家族を守る家: 防災・減災ハンドブック』(潮出版社)、『マンション・地震に備えた暮らし方 (地震防災の教科書)』(つなぐネットコミュニケーションズ)などがある。


株式会社危機管理教育研究所

一般社団法人危機管理教育研究所


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