「マンション標準管理規約」の改正内容を確認してみよう!

2016年3月に『マンションの管理の適正化に関する指針』および『マンション標準管理規約』が改正されたのをご存知の方も多いと思います。この改正は前回の指針及び規約改正から約5年ぶりで、その後2017年8月には「民泊関係」についての『マンション標準管理規約』も改正されています。

改定にいたった背景・経緯とは?

現在、管理組合における役員の担い手不足が大きな課題になっています。輪番制やくじ引きなどでやむを得ず役員になっている方も多いのではないでしょうか。また、老朽化したマンションでは賃貸化が進み、区分所有者がそのマンションに居住していないという例もよくみられます。

その結果、管理組合の運営があまり積極的に行われない場合もあり、長期修繕等マンションの維持管理に関わることも対応しきれない現状があります。この解決のために、弁護士やマンション管理士などの専門家が区分所有者でなくても管理組合の役員としてマンション管理を専門的に対応できるようなルール整備に至りました。

また、コミュニティ形成については、一部の住民だけが管理費を使って宴会のようなことを実施したり、自治会費とマンション管理費が分け隔てなく使われるなど、コミュニティ活動の混同をまねく現状があったため、それらを整理するための規約を今回改正しています。

主な改定ポイントは?

普段の暮らしでは気に留めなくとも、他の住民のマナーが気になったり、いざ理事会に参加するのに改めてマンション規約を確認したりするときには、大事なポイントになりますね。

2016年3月の大きな改正ポイントは「コミュニティ条項」「外部専門家の活用」です。

まずは、2016年3月の国土交通省による『マンションの管理の適正化に関する指針』と、『マンション標準管理規約』の改正内容を、「①コミュニティ条項」と「②外部専門家の活用」の2つのポイントに絞って見てみましょう。

*以下、『マンションの管理の適正化に関する指針』を『指針』、『マンション標準管理規約』を『規約』と表記します。

①コミュニティ条項の改正について

マンション・ラボでも、コミュニティ形成については多く取り上げているので気になる内容ですね。以下のようにコミュニティ条項の改正については、指針と規約とでは一見矛盾するような内容になっています。

改定内容
『指針』:マンションにおけるコミュニティ活動の重要性を掲げる
『規約』:「コミュニティ」に関する条項が削除される
⇒「コミュニティ活動」について、特に自治会とマンション活動の線引きを明確にするようになり、管理費の活用についてもマンション活動に限られるようになった

指針では「マンションにおけるコミュニティ形成は、日常的なトラブルの防止や防災減災、防犯などの観点から重要なものであり(中略)良好なコミュニティの形成に積極的に取り組むことが望ましい」とコミュニティ活動の重要性を掲げています。

規約からは逆に、「コミュニティ」に関する条項が削除されました。
改正事項一覧(外部リンク)

なぜこのような措置が取られたのか?

この矛盾ともとれる措置は、実は「コミュニティ」の定義のあいまいさが生む拡大解釈を解消するためなのです。

従来の規約には、「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成(に要する費用)」が掲げられていました。日常的なトラブルの未然防止や大規模修繕工事などの、円滑な実施などに役立つマンション内のコミュニティ形成について、マンションの管理という管理組合の目的の範囲内で行われることがあるからです。

しかしながら、「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成」との表現には、定義のあいまいさから拡大解釈される懸念がありました。とりわけ管理組合や自治会、町内会などが混同される危うさがあったのです。

実際に、自治会費を管理費の中に組み込んで徴収し、自治会費を払っている事例や、自治会的な活動に管理費から支出することへ、意見対立やトラブルなどが生じる事例があったようです。

そのような地域とマンション内の境界線のあいまいさを払しょくするために指針ではコミュニティ活動の意義を明確に定義しつつ、規約からは拡大解釈を生む「コミュニティ」に関する条項を削除する、という手法をとったのが2016年3月の改正なのです。

コミュニティに関する条項とは?

ちなみに、マンションのコミュニティ活動に関する条項は、第3条に定める管理組合の目的である「建物並びにその敷地及び附属施設の管理」の範囲内で行われる限りにおいて可能である、という条項がそれにあたり、区分所有法で担保されています。

以上のような改正及び区分所有法により、管理組合による従来の活動の中で、コミュニティ活動と称して行われていたもののうち次のものに関しては、管理費を活用してコミュニティ形成に役立てられることが明確になりました。

――「マンションやその周辺における美化や清掃」「景観形成」「防災・防犯活動」「生活ルールの調整」など。

以上、その経費に見合ったマンションの資産価値の向上がもたらされる活動が対象になっています。
マンションコミュニティに関する アーカイブ

②外部専門家の活用について

「外部専門家」というと、急に自分たちのマンション管理の隙をチェックされるような気がしますが、これはどういうことなのでしょうか。

改定内容
『規約』:区分所有者でなくても管理組合の運営に直接携われるようになった

従来の規約に基づくと管理組合員、つまりそのマンションの区分所有者でなければ理事長や役員になれませんでした。しかし2016年の改正では、その要件を緩和して区分所有者ではない第三者も管理組合の運営に直接携わることができるようになりました。外部専門家としては、主に弁護士やマンション管理士などが想定されます。

この改正の背景は、マンションの共同生活に対する意識の相違、多様な価値観を持った区分所有者間の意思決定の難しさ、利用形態の混在による権利・利用関係の複雑さ、建物構造上の技術的判断の難しさなど、建物を維持管理していく上で、多くの課題があることに起因します。

昨今では、老朽化マンションの増加や居住者の高齢化、空室の増加による役員の担い手の不足から、管理組合運営が困難になるマンションが増えていることもあるのでしょう。

そこで、弁護士やマンション管理士などの専門家に、管理組合の運営に直接関わってもらえるように規約改定されたということです。

※規約改正では長期修繕計画について「長期修繕計画作成ガイドライン」を参照し作成することも盛り込まれています。
マンションの長期修繕、積立金や修繕計画って?気になるときが関わりどき!

以上、2016年の改正の大きなポイントについて振り返ってみました。
最後に、今ホットな話題である「民泊」に関する2017年の改定について確認しておきましょう。

2017年8月の「民泊に関する改定」内容は、規約に反映しましたか?

2017年8月に、民泊関係についてのマンション標準管理規約が改定され、民泊を禁止するか、許可制にするか、マンションで規約を作るように方針が決まっています。

既に理事会で決定されているマンションも多いと思いますが、今一度、自分のマンションの方針を確認しておきましょう。もし未対応でしたら、次の理事会での議題にあげた方が良さそうですね。


以上、普段はあまり意識しないマンション規約ですが、自分の住まいの基本になること、時にはじっくり見直してみるのも大切です。「法律」「改正」「規約」と聞くと、できれば避けたいくらい難しく感じるかもしれません。でもきちんと規約を決めておくことは、安心安全な生活を守るための基礎となります。

(Loco共感編集部 衣笠可奈子)

2018/02/16

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