【災害時のギモン5】マンションに地震保険は必要なのか?

みなさん、こんにちは。税理士の井庭です。
マンションにお住まいの方の中には、火災保険には加入されていても、地震保険への加入について悩んでいる方が多いとききます。そこで今回は、震災や自然災害でマンションまたは家財等が被害を受けた場合の地震保険の必要性について、お話ししたいと思います。

1.地震保険の知っておきたい中身とは?

(1)地震を起因とする火災には適用されない

火災の場合「火災保険に加入していれば必ず保険金が支払われる」という認識が一般的かと思いますが、実は火災保険には「地震免責条項」というものがついていて、地震が原因で起きた火災には、保険金の支払はありません。また、地震からしばらく経ってからの火災でも、「地震を起因とする火災」と判断された場合は、保険金の支払はありません。

(2)地震保険は火災保険とのセット

地震保険は単体で加入することはできず、必ず損保会社が販売する火災保険とセットで加入しなければなりません。「火災保険の付帯保険」という性質上、加入の仕方も建物と家財に分けて入る必要があり、その場合の保険金額は火災保険の30%~50%が上限となります。さらに建物は5,000万円まで、家財は1,000万円までという上限もあります。

(3)地震保険の上限

地震保険の上限は下記の通りです。

対象 補償金額 補償対象外
居住用建物 火災保険金額の30%~50%かつ
5,000万円まで
住居として利用できないもの (工場・事務所専用の建物等)
生活用家財 火災保険金額の30%~50%かつ
1,000万円まで
1個または1組の価額が30万円を超える貴金属・骨董品・有価証券等
(4)支払レベルは4段階

地震で被害を受けたら、全ての方が同じ保険金を受け取れるというわけではありません。損害の度合いに応じて、支払レベルは「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の4つに区分されています。 詳細は下記にまとめましたが、全損なら100%、大半損なら60%、小半損なら30%、一部損なら5%補償されると覚えておいてください。基本的に大損害を受けた人を救うことが目的なため、損害の度合いに応じて、保険金に差があるのは仕方ありません。

保険金の上限 損害区分 詳細条件
火災保険金額の30%~50%
かつ5,000万円まで
全損(100%) 【建物】
・建築時価の50%以上の損害
・建物の延床面積の70%以上の損害
【家財】
・家財時価の80%以上の損害
大半損(60%) 【建物】
・建築時価の40%以上50%未満の損害
・建物の延床面積の50%以上70%未満の損害
【家財】
・家財時価の60%以上80%未満の損害
小半損(30%) 【建物】
・建築時価の20%以上40%未満の損害
・建物の延床面積の20%以上50%未満の損害【家財】
・家財時価の30%以上60%未満の損害
一部損(5%) 【建物】
・建築時価の3%以上20%未満の損害
・床上浸水または地盤面から45㎝を超える浸水で、建物が全損・半損・一部損に至らない場合の損害
【家財】
・家財時価の10%以上30%未満の損害
(5)損害の判定

マンションの場合、建物の損害判定の基本は「一棟ごとに共用部分の損害」の度合いにおいて判定されるのが原則です。さらに共用部分と専有部分は連動しており、共用部分が「一部損」と認定されれば、仮に専有部分に被害が無くても「一部損」と認定されることになります。また損害状況は「主要構造部」の損害状況で判断されるため、廊下やエレベーター等の設備が被害を受けた度合いは、判定の対象外となります。

2.マンションに地震保険は必要なのか?

マンションの場合、地震保険を契約する区分として、ロビーやエントランスなどの「共用部分」と、自分が住んでいるスペースを指す「専有部分」とに分かれています。

共用部分は管理組合等で加入している場合が多いので、各世帯で加入を考えるならば、専有部分の地震保険が必要かどうかです。

火災保険に加入されている方でも、「最近多い耐震構造や免震構造がしっかりしているマンションで大きな被害を受けることはあるのか」という疑問や、「いつ起こるか分からない地震に保険料を払い続ける意味があるのか」と考えて、地震保険の加入を躊躇されている方も多いことでしょう。しかし、私は下記の理由から「加入しておいた方が良い」と考えます。

(1)地震に起因するリスク(火災含む)は、地震保険でしかカバーできないこと
(2)住宅ローンが残っている場合などに、入ってきた地震保険の保険金を返済に当てることが出来ること(保険金の使途は自由)
(3)地震保険は支払われるまでのスピードが速いこと
(4)1.の(3)でご紹介した地震保険の上限でみたとおり、地震保険は火災保険の保険金額の最大50%とされているため、地震で住居が甚大な被害を受けた場合に地震保険の保険金だけでは住居を完全に直すことは困難です。このことからも地震保険は壊れた建物を直すことに主眼が置かれているのではなく、「被災した人が生活を再建するための手段となる保険」という側面もあること

3.まとめ

地震災害で怖いのは住居を失うこと、または住めなくなる状態が長く続くことです。再び住める状態になるまでの間は、何も対策をしておかないと公的援助と貯蓄のみでやりくりして行くことになります。また『個々の事情だけでは事が進まない共同住宅』なだけに、万一に対する経済的備えはとても大切です。

ローン残債がない人や、貯蓄が十分な人など以外は、建物・家財の両方に入っておいた方が良いと思います。両方に加入することが困難な場合においては、最近の耐震基準や免震基準を満たしている場合、建物の被害より、家財の被害が大きくなりやすいので家財の方を優先的に加入するべきでしょう。

地震保険は「地震等で被害を受けた場合の生活を立て直すための保険」という側面もあることを「知識としての備え」としてもっておきましょう。

災害時にまつわるお金のことは、こちらの記事も参考にしてください。
【災害時のギモン1】災害時に通帳・キャッシュカード等がない場合、お金の引き出しは可能なの?
【災害時のギモン2】怪我をしたとき、保険証・お金がなくても病院に行っていいの?
【災害時のギモン3】被災した場合の住宅ローンの返済はどうなるの?
【災害時のギモン4】被災した場合の所得税(税金)の支払いはどうなるの?

【プロフィール】

井庭 麗(いば あきら)
昭和51年神奈川県川崎市生まれ。税理士・米国税理士・行政書士・相続診断士・CFP
井庭麗税理士事務所 代表。
株式会社ワニマル代表取締役

大学卒業後、個人業務・法人業務・相続業務の各分野に特化している3つの税理士事務所を渡り歩き、その間に税理士資格を取得し、税理士登録。登録して3年後の平成25年独立。
独立後は、「楽(ラク)をする」のではなく、「楽(たの)しむ」をモットーに、色々な場所に顔をだし、色々な人から、色々な事を吸収させてもらうスタイルを貫いている。
趣味は地域貢献。

2018/01/09

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