マンションイベント担当者に聞いた!マンション・マルシェ運営5つのコツ ~負担は最小限で住民評価を高く~

ここ数年でマルシェという言葉が定着し、最近ではマンションでも取り入れるところが増えてきています。しかし、実際にマルシェを開催するとなると「たくさんの人にきてもらうための工夫は?」「マルシェの運営はどうしているの?」「実際やってみてどうなの?」など、気になることはたくさんあるのではないでしょうか。

そんな中、今回の取材先では、住民と出店者の双方から好評で、かつ運営側の負担も少ないマルシェを実現できています。それはどうしてなのでしょうか?事例から運営のコツを探ります。

【取材協力】

取材協力者:平谷悠児さん。マンションイベント担当であり自主防災組織長も務める。
マンション情報:東京都小平市にあるグリーンコートレジデンス(築5年)
マルシェ情報:春と秋の年2回開催。2015年から開始。

自主防災組織長の平谷悠児さん(写真左)と理事会の町井啓人さん(写真右)。平谷さん主導のもと、理事会がサポートして、マルシェを運営しています。

マルシェ開催の目的は「何かあった時に助けあえるコミュニティづくり」

東京都小平市にあるグリーンコートレジデンスは築5年目と若いマンションのため、住民同士が挨拶する機会が多くはありません。マンションイベント担当である自主防災組織長の平谷悠児さんは、防災の観点より「何かあった時に助けあえるように、隣近所と上下くらいは顔見知りになろう!」とイベントの開催を考えました。

当初は夏祭りを企画し、焼きそばなどの屋台を自分たちで行おうとしました。しかし、食品衛生法の許可のハードルが高く、「自分たちで行うよりお店の方に来ていただいた方が良い」との結論に至り、マルシェにたどりついたそうです。

マルシェ開催の目的は、マンションの住民同士が顔見知りになることです。そのためには「マンションに住むみんなが参加したくなるようなイベントにすること」が一番のポイントになりますが、かといって運営があまりに大変だと続きません。

どのようにしたら、マンションの住民がたくさん来てくれて、出店者も喜び、運営側の負担も少ないマルシェが開催できるのか?――平谷さんたちは知恵を絞り、「5つのコツ」にたどり着きました。

最小限の労力で最大限の効果を得る“5つのコツ”

「マンションの住民がたくさん来てくれて、出店者も喜び、運営側の負担も少ないマルシェ」――いわば「最小限の労力で最大の効果を得られる」マルシェ。そんな夢のようなマルシェを実現させるのは、この“5つのコツ”です!

その① キーコンセプトをしっかりと!
その② 出店は地域のお店の力を借りて、自分たちの負担を減らそう!
その③ 持ち出し“ゼロ”でリスクなし!
その④ あえてクローズドにすることで、住民の安心感を得る!
その⑤ 住民アンケートは必ず毎回とって次回に生かす!
その① キーコンセプトをしっかりと!

「人を集めるためにはどうしたら良いか?」と考えた時に、“美味しそうな食べ物・オシャレ感・魅力的なあつらえ”が有効ではないか、と平谷さんは思いつきます。
そこで、オシャレな“フランスのマルシェ”をキーコンセプトとしました。

そのキーコンセプトにのっとり、今年の秋のマルシェでは「中目黒マドレーヌ」(クラッシックカーで美味しいコーヒーを提供)・「eggg」(店舗でも食べられない限定のパンケーキを用意)・「大学のボランティアパフォーマンスサークルによる大道芸」を、マルシェのメインとしました。

販売車もオシャレな「中目黒マドレーヌ」では、丁寧にドリップした本格的なコーヒーを味わうことができます。

「eggg」限定パンケーキのとても良い香りに、会場が包まれます。

その② 出店は地域のお店の力を借りて、自分たちの負担を減らそう!

「意外とみなさん自前でやろうとされますが、全て自前で行おうと思うと難しいです。」と、真剣な表情で語る平谷さん。食品衛生法の問題や売りさばかなければいけないプレッシャー、食中毒などが起きてしまった場合の責任のことまでも、きちんと考えなければいけません。

しかし、地域のお店を誘致すれば、お店側のPRにもつながりますし、住民はお店の存在や場所を知ることによって、地域や街に目を向けるきっかけにもなります。お店の力を借りることでマルシェを運営する人数も最低限で済むので、出店者・住民・運営のwinwin・win!の仕組みが成り立つのです!

その③ 持ち出し“ゼロ”でリスクなし!

マルシェを開催するにあたり、1番気になるのが“運営費”のことではないでしょうか。しかし平谷さんたちのマルシェでは、なんと住民の持ち出しはゼロ!出店者からの出店料(2千円)で、運営費用を賄っているのです。

そのため、「住民に還元しなければいけない!」というプレッシャーがなく、自由な発想で運営することができます。住民としても負担がないのは、大きなメリットですね。さらに集まった出店料で、“ちょっとしたプレゼント”を住民に還元することまで可能です。秋のマルシェでは、子どもたちに「お菓子のつかみ取り」のプレゼントがありました。

小さなお子さんも、お母さんに手伝ってもらいながら「お菓子のつかみ取り」に挑戦しています。

その④ あえて“クローズド”にすることで、住民の安心感を得る!

マンションで開催されているマルシェは、地域にひらかれているケースが多いのではないでしょうか? 実際マンション・ラボでもそのようなマルシェをご紹介しています。
「地域住民“みんな”でつくるコミュニティの一環、マンション・マルシェとは?」

確かに地域にひらかれているマルシェも魅力的ですが、住民側からすると、どうしても防犯面などの懸念が残りますね。そこで平谷さんたちは、積極的に外に案内はせず、あくまで「マンション住民のためのマルシェ」としました。

マルシェの会場もマンションのエントランス部分のみで、居住スペースと隔てているため、住民はセキュリティ面で安心感を得ることができます。防犯面を考えてあえてクローズにすることが、住民のマンション・マルシェへの満足度につながるのではないでしょうか。

その⑤ 住民アンケートは必ず毎回とって次回に生かす!

マルシェへの満足度を上げるには、運営側では気づかない、参加者ならではの意見を得ることがとても大切です。平谷さんたちは開催するごとに必ずアンケートをとっていますが、毎回好評で運営側にとって嬉しい意見が多いそうです。

ただ、過去にあった指摘の一例としては、「商品がすぐ売り切れてしまう」というものがあり、次の回には売り切れがないように配慮しました。とはいえ、もともと人気のお店を呼んでいる上、お店側が当日思わぬトラブルに見舞われたこともあり、「売り切れが絶対ない」ところまでは、難しい部分もあります。

「商品がすぐに売り切れてしまう」と、買いたい住民の不満が募るだけでなく、マルシェを開催する目的、「住民同士、顔見知りになる」ことも難しくなります。

過去のマルシェでは、品物がすぐに売り切れてしまった上、住民が買い物だけしてすぐに帰ってしまい、会場が閑散とする時間帯がありました。その経験を踏まえて、住民同士の交流を生むために「カフェ形態」のマルシェにたどり着きました。カフェであれば、たとえ商品が売り切れても、その場にしばらくとどまってもらえます。実際に、売り切れが出てしまっても住民がすぐに帰ってしまうことはありませんでした。

アンケートからの意見をきちんと反映することは大切なポイントです。もちろん今後も「売り切れなし」を目指して試行錯誤していくそうです。

多くの住民がマルシェに足を運んでいます。

交流目的で作ったエントランスの「カフェ」。子どもたちも集まっています。

マルシェを通じて、シニアになっても長く住み続けたいと思うマンションに

取材をしている間も「久しぶり!」という声が聞こえるマルシェ会場のエントランス。実際に参加しているマンション住民にインタビューしてみると、こんな声が聞こえてきました。

「生活の時間帯が違って、普段お会いしない方と会えるのが良いです。」

「並んでいる時に、同じ歳くらいのお子さんがいたので、話しかけてみました。」

「近所の公園でお話した方が、実は同じマンションでした。」

生活のリズムが違って普段は会えない住民と会えたり、知らない住民と話をするきっかけになったりと、確実にマルシェが交流の場となっているようです。「防災面の観点から顔見知りになる必要がある」という目的が達成されていますね。

さらに、インタビューを続けていくと、

「マルシェを毎回楽しみにしています!」

「マンションに知り合いができると安心して暮らせることにつながります。」

「このマンションで良かったです。」

など、マンションに対する愛着の声も聞くことができました。愛着がうまれると、「長く住みつづけよう」と思うことにつながりますね。このマルシェが続いていくことで、マルシェがある楽しみと住民同士の交流が増えて、安心してシニアまで住み続けたいマンションになるでしょう。

マンション・マルシェには、さまざまな形態や運営の方法があります。これまでマンション・ラボでも、大きな規模のマンションで開催されるマルシェの例として「ライオンズ茅ヶ崎ザ・アイランズに学ぶ、マンション・マルシェを成功させる3つの秘訣」や、逆に近い距離感が魅力の「みさと団地のコミュニティ活動に学ぶ、マンション内の新コミュニケーション“小商い”の可能性」などをご紹介してきました。自分のマンションに合うマルシェの形を考える上で、今回ご紹介したグリーンコートレジデンスの「最小限の労力で最大限の効果を得られるコツ」も、参考になることでしょう。

文:Loco共感編集部 齋藤恵美子

2017/12/28

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