【災害時のギモン4】被災した場合の所得税(税金)の支払いはどうなるの?

みなさん、こんにちは。税理士の井庭です。
地震などの自然災害は、いつどこで起こるか分かりませんが、いざ被災してしまい、自分の住むマンションや家財などに被害が出た場合にも、所得税(税金)を通常通り納めなければならないのでしょうか?

今回は、そのような場合の所得税の優遇措置について、お話ししたいと思います。

1.優遇措置

大きな自然災害による被害を受けた人を対象に、特例的に税金の優遇措置が設けられるのが一般的です。
優遇措置の内容は以下の通りです。

(1)申告期限の延長
(2)納税猶予
(3)納税額の減額又は免除
(1) 申告期限の延長

やむを得ない事情で期限までに納税ができない場合は、災害が引き続き発生するおそれがなくなり、その復旧に着手できる状態になった日から2カ月以内に限り期限が延長されます。この場合、「地域指定による期限延長」や「個別指定による期限延長」など、いくつか条件も付くため、その都度確認する必要があります。

(2)納税猶予

災害により財産に一定の損害を受けた場合、納税を猶予する制度です。
国税においては、災害で相当な損失(全財産のおおむね20%以上の損害)を受けた場合、損失の程度により本来の納期限から1年以内の猶予期間を認めてもらえることがあります。また、被災により税金を一度に支払えないと認められると原則1年 以内の期間において納付期限が猶予されることがあります。

(3)納税額の減額又は免除

所得税は、災害によりマンションや家財などに損害を受けた場合、確定申告をすることで、「所得税法に定める雑損控除」か「災害減免法に定める税金の軽減・免除」のどちらか有利な方法(控除額または軽減・免除される金額の大きい方法。すなわち所得税の納税額が少なくなる方法)を選び、所得税の全部または一部を軽減してもらえます。

2.雑損控除と災害減免法の違い

(1)雑損控除

①損失の発生原因・・・災害・盗難・横領による損失
②対象となる資産・・・生活に通常必要な資産(マンション及び家財を含む)
※生活に通常必要な資産とは次のものをいいます。
・家具、什器、衣服などの生活に通常必要な動産
・1個又は1組の価格が30万円以下の貴金属、書画、骨董、美術工芸品等
③控除額の計算方法
次の(イ)または(ロ)のうち、いずれか多い金額です。
(イ)損害金額-所得金額の10分の1
(ロ)損失金額のうち、災害関連支出の金額-5万円
④その他要件
確定申告書の提出が必要です。控除額が所得金額を超える場合には、3年間繰り越すことが出来ます。

(2)災害減免法

①損失の発生原因・・・災害による損失
②対象となる資産・・・マンション及び家財※
※損害金額がマンション又は家財の価額の2分の1以上であることが条件
③控除額の計算方法
その年の所得金額によって所得税の免除額、控除額が決まります。
(イ)所得金額500万円以下        ・・・全額免除
(ロ)所得金額500万円超750万円以下  ・・・2分の1軽減
(ハ)所得金額750万円超1000万円以下 ・・・4分の1軽減
④その他要件
確定申告書の提出が必要です。原則として、損害を受けた年の所得金額が1000万円以下の場合に限り適用することができます。損失額を翌年以降に繰り越すことはできません。

(3)有利判定

納税額の減額または免除について、雑損控除と災害減免法による減免の有利な方を選択することができますが、どちらを選択するほうが有利でしょうか。
まず、所得金額が500万円以下の場合は、全額控除できる災害減免法を選択するほうが有利になります。
所得金額が500万円超1000万円以下の場合は、全額が免除されることはないので個々のケースにより異なります。実際に計算してみて、有利な方を選択しましょう。

3.まとめ

震災により自己のマンションまたは家財に損害を受けた場合には、税金どころではないかもしれませんが、優遇措置として、申告期限の延長、納税猶予、納税額の減額・免除があり、かつ、納税額の減額・免除については雑損控除と災害減免法のうち有利な方を選択できるという事を「知識としての備え」として心がけましょう。

災害時にまつわるお金のことは、こちらの記事も参考にしてください。
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【災害時のギモン3】被災した場合の住宅ローンの返済はどうなるの?

【プロフィール】

井庭 麗(いば あきら)
昭和51年神奈川県川崎市生まれ。税理士・米国税理士・行政書士・相続診断士・CFP
井庭麗税理士事務所 代表。
株式会社ワニマル代表取締役

大学卒業後、個人業務・法人業務・相続業務の各分野に特化している3つの税理士事務所を渡り歩き、その間に税理士資格を取得し、税理士登録。登録して3年後の平成25年独立。
独立後は、「楽(ラク)をする」のではなく、「楽(たの)しむ」をモットーに、色々な場所に顔をだし、色々な人から、色々な事を吸収させてもらうスタイルを貫いている。
趣味は地域貢献。

2017/12/25

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