【災害時のギモン3】被災した場合の住宅ローンの返済はどうなるの?

みなさん、こんにちは。税理士の井庭です。
マンションの購入は、通常、住宅ローンを組んで計画的に長期返済するのが一般的ですよね。でも、もしも住宅ローンの返済期間中に万が一震災等が起きた場合、どうなってしまうか考えたことはありますか?

今回は、震災や自然災害で自分のマンションが被害を受け、専有部分が損傷してしまい修繕に多額の費用を要する場合や、住み続けることが困難になってしまい、住宅ローンだけが残ってしまった場合について、お話ししたいと思います。

1.住宅ローン返済中に震災が起きた場合の問題点(二重ローン問題)

まず、当初に組んだ住宅ローンは残ります。加えて、修繕のためにローンを組んだり、新たにマンションを購入するために住宅ローンを組むことになった場合は、二重にローンを背負っていくことになります。これでは、家計が破綻するかもしれないという不安が常につきまといます。

2.返済に困ったら、債務整理(自然災害ガイドライン)の検討を

借りたお金が返せない場合、通常なら自己破産が頭をよぎるかと思います。
しかし、自己破産は本人の精神的ダメージだけでなく、信用情報にも傷がつくため、立ち直るためには時間がかかりすぎるという一面もあります。

そこで登場するのが『自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン(自然災害ガイドライン)』です。このガイドラインに従って債務整理を行えば、自然災害の影響で住宅ローンなどの返済に困った際、必要に応じて債権者から住宅ローン等の減免や分割弁済の猶予を受けられる可能性があります。

3.自然災害ガイドラインによるメリットとは?

(1)ブラックリストに載らない
自己破産と違い、債務整理をしたことが個人信用情報として登録されないため、新たな借入などが行いやすくなります。
(2)財産の一部を手元に残せる
債務者の被災状況や生活状況などの個別事情により異なります。
(3)手続き支援を無料で受けられる
弁護士等の「登録支援専門家」による手続き支援を無料で受けられます。

4.手続きの流れ

(1)手続き着手の申出
最も多額のローンを借りている金融機関等へ、ガイドラインの手続着手を希望することを申し出ます(受付窓口は当 該金融機関へ確認してください)。
金融機関から借入先、借入残高、年収、資産(預金など)の状況がきかれます。

(2)専門家による手続支援を依頼
上記(1)の金融機関等から手続着手について同意が得られた後、地元弁護士会などを通じて、自然災害被災者債務整理ガイドライン運営機関に対し、「登録支援専門家」による手続支援を依頼します。

(3)債務整理(開始)の申出
金融機関等に債務整理を申し出て、申出書のほか財産目録などの必要書類を提出します(書類作成の際、「登録支援専門家」の支援を受けることができます)。
債務整理の申出後は、債務の返済や督促は一時停止となります。

(4)「調停条項案」の作成
「登録支援専門家」の支援を受けながら、金融機関等との協議を通じて、債務整理の内容を盛り込んだ書類(「調停条項案」)を作成します。

(5)「調停条項案」の提出・説明
「登録支援専門家」を経由して、金融機関等へガイドラインに適合する「調停条項案」を提出・説明します(金融機関等は1カ月以内に同意するか否か回答します)。

(6)特定調停の申立
債務整理の対象にしようとする全ての借入先から同意が得られた場合、簡易裁判所へ特定調停を申し立てます(申立費用は債務者の負担となります)。

(7)調停条項の確定
特定調停手続により調停条項が確定すれば債務整理成立です。

5.まとめ

震災や自然災害による二重ローンで返済が困難になったら、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」の検討を行うことが良いでしょう。

ただし、申出をしたからといって、残念ながら全ての申出が通るわけではありません。通らなかった方の具体的な理由は公表されておりませんが、共通点として「過去の税金や住宅ローン返済の延滞等」があったようです。

ですので、いざ自分が二重ローンに直面したときに困らないためにも、「税金の支払いや住宅ローンの返済は遅れないように支払うこと」が発生前に出来る1つの対策であるという「知識としての備え」を心がけましょう。

災害時にまつわるお金のことは、こちらの記事も参考にしてください。
【災害時のギモン1】災害時に通帳・キャッシュカード等がない場合、お金の引き出しは可能なの?
【災害時のギモン2】怪我をしたとき、保険証・お金がなくても病院に行っていいの?

【プロフィール】

井庭 麗(いば あきら)
昭和51年神奈川県川崎市生まれ。税理士・米国税理士・行政書士・相続診断士・CFP
井庭麗税理士事務所 代表。
株式会社ワニマル代表取締役

大学卒業後、個人業務・法人業務・相続業務の各分野に特化している3つの税理士事務所を渡り歩き、その間に税理士資格を取得し、税理士登録。登録して3年後の平成25年独立。
独立後は、「楽(ラク)をする」のではなく、「楽(たの)しむ」をモットーに、色々な場所に顔をだし、色々な人から、色々な事を吸収させてもらうスタイルを貫いている。
趣味は地域貢献。

2017/11/29

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