築61年!民間初の分譲マンション・四谷コーポラスの建て替え成功の2つの要因

昭和31年竣工、民間分譲マンションとしては日本初といわれる四谷コーポラスは、所有者全員の合意のもとに建て替え計画が決定しました。その建て替え計画成功の要因は何だったのでしょうか?建て替え事業の説明会でお話を伺いました。

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築61年の四谷コーポラス建て替えの理由は2点

レトロで美しい外観ですが、実際に住む住民にとっては多々問題が…。

レトロで美しい外観ですが、実際に住む住民にとっては多々問題が…。

昭和31年に竣工した四谷コーポラスは、築61年。
①建物の老朽化(耐震不足、コンクリートの劣化)
②インフラの老朽化(給排水設備の修繕が物理的に行えない)
の2点が大きな問題となっていました。

住民の中には「東日本大震災に持ちこたえたから大丈夫では?」という声もありましたが、平成25年に実施した建物の耐震診断の結果、コンクリートの劣化が激しく耐震性に問題があることが判明。またここ数年は排水管の水漏れが目立ち、メゾネットタイプが故に水漏れすると他の階の住戸に迷惑がかかる上に、物理的に修繕できないという状況に面していました。

管理組合は、組合員への説明会やアンケートを実施。再生検討委員会を発足して、再生の方向性を検討することになりました。

四谷コーポラスをよく知る第三者が、建て替え計画のコンサルタントとして参加

一般公開時には、暮らしぶりを綴る住民の家計簿が展示されていました。

一般公開時には、暮らしぶりを綴る住民の家計簿が展示されていました。

通常、マンションの建て替え計画は住民の合意形成に時間がかかります。
建て替え推進委員会の委員長となった島田勝八郎さんは、「四谷コーポラスの販売当時の売主だった信販コーポラス株式会社の元社員である川上龍雄さんを建て替え顧問として招き、コンサルタント業務を担っていただくことになったのが良かった」と言います。

事情をよく知り住民からの信頼も厚い第三者の存在が、住民だけの場合よりも円滑に懸案事項を進められるようになったようです。

川上龍雄さん
「竣工当初から住んでいる住民も多く、管理組合のまとまりも良いマンションです。住民の皆さんが、互いに思いやりがあるしっかりしたコミュニティがあったからこそ、建て替え計画もうまく進んだのだと思います」

建て替えパートナーの選定は、住民全員による採点方式

最終的に全員合意で立て替えが決定!

最終的に全員合意で立て替えが決定!

建て替えパートナーの選定は、コンペ形式で6社が集まりました。
選定には、川上さんの提案により住民全員が採点する方式を採用しました。オープンな場を設定したため、クレームを付ける人もいなかったとのこと。
コンペから1ヶ月後には建て替えパートナーとして旭化成不動産レジデンス株式会社が臨時総会で承認されました。旭化成不動産レジデンス株式会社は、日本で最初の公的分譲マンション・宮益坂ビルディングの建て替え事業も担当しています。

島田さん
「条件や金額など、さまざまな要因はありますが、特に評判が良かったのは、高齢の住民の専任サポートを行いますと言ってくださった点でした」

建て替え成功の要因は、コミュニティの存在と区分所有者の要望サポート

再建マンションは、色合いやデザインにこれまでの名残をとどめたいそうです。

再建マンションは、色合いやデザインにこれまでの名残をとどめたいそうです。

四谷コーポラスの建て替え成功の要因は、大きく2つあります。

①協力的なコミュニティの存在
全28戸の小規模マンションで、竣工当初から代々住み続けている住民も多く、日頃からコミュニティが存在していました。管理組合の総会の出席率も高く、建て替え問題が「自分事化」していたと言えます。

②区分所有者の要望に沿ったサポート
建て替えパートナーである旭化成不動産レジデンス株式会社が、区分所有者の要望を具現化してプランづくりをきめ細かくお手伝い。たとえば新しいマンションでもメゾネットタイプに住みたいという所有者の意向も実現し、皆が住みたいマンションプランを構築。そのおかげで、再取得者が9割という高い割合となりました。
また、高齢の方には専任サポートを置き、提出書類の書き方から仮住まいの内覧への同行に至るまできめ細かなサポートを行って、不安を取り除いたことも大きな要因でした。

再建マンションは、総戸数51戸のマンションとして2019年夏に進行予定

四谷コーポラス再建マンションイメージパース 提供:旭化成不動産レジデンス株式会社

四谷コーポラス再建マンションイメージパース 提供:旭化成不動産レジデンス株式会社

四谷コーポラスの再建後は、総戸数51戸・33パターンの多彩なプランニング(約30㎡~約115㎡)となる予定です。再建マンションにまた、これまで通りの住民コミュニティが戻ってくるのが楽しみです。

旭化成不動産レジデンス株式会社「マンション建替え研究所HP」(外部リンク)
写真・資料提供:旭化成不動産レジデンス株式会社

高経年マンションの建て替えには、コミュニティ力が重要

四谷コーポラスの建て替え計画を振り返ると、マンションコミュニティの存在がその成功の可否を大きく握っていると感じました。
日頃からマンションのコミュニティ力を高めておくことが、こうした建て替え計画はもちろん、災害時やさまざまな局面で役立つことは間違いありません。

マンション・ラボでは、高経年マンションのコミュニティづくりについても数多く紹介しています。ぜひ参考になさってください。

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2017/11/26

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