AI(人工知能)で変わる!これからのマンションの未来とは?BoT社「CASPAR」によって課題解決型AIマンションは可能か?
AIマンションCASPARの日本国内ショールーム、米国で展開されている事例を経て、BoT社のCEOに、課題解決型AIマンションの可能性について伺ってみました!
「マンションの課題解決型AIはできるのか?」CASPARの開発会社CEOに聞いてみた!
マンションには集合住宅ならではの課題が数多くあります。マンション・ラボではこれまでに、騒音問題やタバコトラブルといったマンション特有の課題をアンケートで募集、その解決方法について考えてきました。
→アンケート「思わぬ生活音が騒音トラブルになる可能性も!あなたは大丈夫?」
→アンケート「マンションの喫煙マナーを考える ~タバコのトラブル円満解決事例~」
こうした課題が、BoT社が開発したAIスマートホームシステムCASPARによって解決できないでしょうか?そんな未来のマンションの可能性について、来日中のBoT社のアシュトシュ・サクセナ氏に聞いてみました!

BoT社のCEOアシュトシュ・サクセナ氏は、スタンフォード大学卒の博士であり米国ロボティクス界の第一人者です。
——日本では、マンションの騒音やタバコの煙などのトラブルが社会問題となっています。こうしたマンション特有の課題をBoT社が開発したAI「CASPAR」が解決できないでしょうか?
サクセナ氏
「その前に一番の問題は、個人情報保護の問題として、それが可能かどうかということです。マンション全戸にCASPARが入っているということ、そして個々の住戸のセンサー情報をマンション全体で共有することに居住者の皆さんが同意しているという前提であれば、もちろん可能です」
——確かに倫理的な問題はあります。そもそも情報が収集されることに反対という人は多いですし。しかし、あえてその前提を取り外して、考えてみるといかがでしょうか?
サクセナ氏
「マンション全体にCASPARが入っているとして、たとえば、この住戸は今日不在だから、下の住戸ではパーティの音楽を少し大きく出しても大丈夫だという判断もできますし、規定の音量以上にスピーカから音楽を流せなくするということも技術的には可能です。もちろんさらに倫理的な問題が起こるでしょうが(笑)」
——なるほど、マンション全体にAIが入っていると、大きな音を出していい・出してはだめの判断と自動制御ができるのですね。

「たとえばこんな状況の課題を解決できるAIアパートメントができないでしょうか?」と大胆にも図解メモで質問してみるマンション・ラボ編集部スタッフ。
AI搭載型・禁煙マンションは可能か?

「もしマンション全体にAIが搭載されていたら、パブリック・パーミッション(共用部の認証)とプライベート・パーミッション(専有部の認証)も分けて運用できる」とサクセナ氏。
——日本では、タバコの副流煙のニオイが配管などを経由して、別の住戸に漂ってくることも社会問題化しています。AIがタバコの煙をセンサーすることは可能ですよね?
サクセナ氏
「どこの住戸で出たタバコの煙なのかということも突きとめられますし、住戸内でタバコを吸ったらセンサーがアラートを出すということも技術的には可能です」
——最初からAI搭載の禁煙マンションであると告知しておけば、買うにしても借りるにしても、非喫煙者の居住者が納得して入居できますね。そしてこのことが、実はそのマンションの付加価値を高めるような気がします。
サクセナ氏
「先のインタビューでもお答えした通り、AIサービスによって不動産の価値が高まることは間違いないでしょう。ただし、いま提案されているような騒音やタバコの煙の課題解決のためには、倫理面や個人情報面での配慮が必要ですし、いろいろクリアすべき問題が数多くあると思います」
マンション共用部の省エネ対策に活用できる?
——他の課題でいえば、たとえば大規模マンションでは共用部分のエントランスホール、ビューラウンジ、廊下などの電気代がかさんで困っているというコストの問題があります。こうした省エネ問題の解決はいかがでしょうか?
サクセナ氏
「CASPARは、省エネ問題をうまく解決してくれます。共用部分では、人を感知したら自動的に照明をオン/オフするなど、共用部分のコスト削減に大いに貢献してくれるでしょう。また、顔認識システムを導入すれば、エントランスのオートロックも住戸のロックも自動で解除できます。CASPARは、住戸内では個々の居住者のために働きますし、共用部分ではマンション全体のコンシェルジュのように働きます」
——共用部分のビューラウンジの照明やエアコンの消し忘れについて掲示板で注意を促すとかいうことも、AIがいれば必要なくなりそうです。特別セミナーでもおっしゃっていましたが、いまの我々はAI以前の“前世紀の住まい”に住んでいるのかもしれませんね。

マンション・ラボの突拍子もない質問にも、丁寧に図解で回答してくださったサクセナ氏。
——課題解決型AIマンションというのは、倫理的な問題をクリアする必要があるとしても、技術的には可能であるとわかりました。でもせっかくのAIマンションですから、いろいろな課題を取り締まるよりは、個々の快適性を追求していったら、マンションの全居住者が幸せになっていたというかたちの方が良いですね。
サクセナ氏
「各戸でも嗜好が違うように、家族が複数いる住戸の同じリビングでも、夫は仕事の続きをしたい、妻はのんびりくつろいで映画を見たいというように嗜好は分かれます。CASPARは、複数の居住者の嗜好をそれぞれ判断して、そこに最適な状況を生み出すよう常に状況を判断して自動化していきます。もちろんその逆も可能で、自動化して欲しくないというものはそのままにできます。CASPARは、常に居住者の嗜好に合わせて最適なバランスを探っていくように学習します。あなたが使えば使うほど、CASPARはあなたの気持ちに添って働いてくれるように成長していくのです。CASPARの存在によってアパートメント全体での幸せにつながっていけば、我々も嬉しいです」
——普通の住宅以外の分野でも、CASPARは活用されていくのですか?
サクセナ氏
「課題解決型という点でいえば、いま米国ではCASPARの高齢者用住宅施設プロジェクトが動いています。高齢者が床に倒れていたら家族や医療サービスに知らせることができますし、徘徊する認知症患者や睡眠障害といった課題もAIを活用したら軽減できる可能性が大いにあります」
——高齢化問題を抱える日本でも、その展開は大いに気になります。シニアが安心して暮らせるAIマンションが、日本でも早く登場するといいですね。
AIの登場によって、日本のマンションはどう変わっていくのか?
CASPARの概念を伺えば伺うほど、近い将来には、いままでの概念とまったく違うAIマンションという新しい存在が生まれてくるのだと感じました。
米国の居住者の声を読んでみても、一度体験してしまうと「AIがない状態が考えられない」状況になってくるのは間違いなさそうです。
また、自分好みの生活環境を提供してくれるAIマンションならば、もう他のマンションへ引っ越したくなくなる、そんな新たな価値観も創造してくれそうです。新築も既存も、マンションの常識自体が根本的に変わってしまう日が近いかもしれない、そんな予感がしました。皆さんはどうお感じになりましたか? ぜひ皆さんのご意見もお聞かせください。
※”CASPAR”は、Brain of Things社の登録商標です。
現在、実際に宿泊・生活してCASPAR体験ができるショールームを、都内マンションで公開中。
お問い合わせ
CASPAR販売店:株式会社エコライフエンジニアリング 03-5315-4345
→エコライフエンジニアリング「CASPAR」(外部サイト)
スタンフォード大学デービッド・チェリトン教授とアメリカのロボティクス界の第一人者であるアシュトシュ・サクセナ博士が創立した、AIスマートホームシステムの開発会社。同社が開発した「キャスパー.AI」は、すでに米国で200件以上の導入実績があり、現在米国内で2万件のスマートアパートを計画中。
→https://brainofthings.com/(外部サイト)
2017/08/18