消毒用アルコールが燃料になる、頼もしさ。
山や海に出かけてアウトドアを愉しむ人は少なくない。そんな人たちを支えるのが、アウトドアギアだ。文明の及ばない野外こそ、衣食住の大切さが身に沁みる。ハードな場所では、命さえ左右する。その状況でも信頼できるよう作られたアウトドアギアは、過酷な環境でもしっかり確実に機能するよう、重さや効率、使い勝手など徹底的にユーザビリティを考え抜かれ設計されている。

アウトドアも被災時もあったかい食べ物や飲み物がとても意味を持つ。調理器具は身体を内側から温める力を持つ。
生きるための知恵が結晶した逸品といっても過言でない。そんなギアはアウトドアだけでなく罹災時など都会にもありうる有事の際、非常に心強いサポートツールになってくれる。
ここで紹介するのはその名もストームクッカー。嵐の中でも調理可能なアルコールストーブ&クッカーのセットだ。スウェーデンのトランギア社が半世紀以上もの間、世に送り出してきたこのギアは、北欧の工業国らしく質実剛健そのもの。

着火はカンタン。ライターやマッチをかざすだけ。炎が見えにくいので慎重に
日本のアウトドアではガソリンやガスカートリッジを用いるものが主流だが、ポンピングが必要だったり風や低温に弱かったり、弱点があるのも確か。その点でアルコールストーブは至ってシンプルな仕組みゆえ、取扱いも簡単で非常に壊れにくく、ヨーロッパでは根強い人気。特にこのストームクッカーは巧みな燃焼効率が魅力で、風が吹くほどに力を発揮するスグレモノなのだ。
ストーブ自体は中空にセットされる構造で、ベースの穴を風上に向けると大量の酸素が供給され、チムニー(煙突)効果と呼ばれる上昇気流も相まって高効率の燃焼が生まれる。アウトドアの使用で風に強いというのはそれだけで心強い。
それだけでなくこのストーブが素敵なのは、燃料。アルコールはアウトドア用燃料と違って、薬局で簡単に手に入る。それに加えて燃料用アルコール(メタノール)だけでなく消毒用アルコール(エタノール)も使用可能。
これは、有事の際に頼もしいの一語だ。救急箱にある消毒用アルコールが燃料にもなるというのは防災ギアとしてのポテンシャルの高さを物語る。
休日のお出かけにも、いざという時にも、頼れるギア。アウトドアギアの頼もしさは、防災にも通じることを覚えておきたい。
ストームクッカー
サイズや材質でラインナップがあるが、このストームクッカーS・ウルトラライトであれば、アルコールストーブ、ベース、風防を兼ねたゴトク、ソースパン2種、フライパン、脱着できるハンドルがセットになって重量わずか740g。優れたアウトドアギアでありながら、防災グッズとしてのバリューも侮れない。11,025円
www.iwatani-primus.co.jp/products/trangia/29.html
ある種のお酒だって燃料になっちゃうのだ!
アルコールが燃料ということはお酒好きなお父さんなら感付くかもしれない。そう、一部のスピリッツは燃料になるのだ。酒はそれ自体でなく気化したアルコールが燃える。度数が高い酒は気化しやすい。
例えばスピリタスというウォッカは何と96度。飲むだけで火が出そうになるが、問題なく燃料になる。防災用にお酒買ってと家族に言ったら不審がられること必至だが……。
photos by Megumi Hirano, Tomohiko Iwasaki












