老舗酒造がすすめる「粋」な夏酒 ~ひんやり梅酒と和酒ロック

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「三菱地所のレジデンス ラウンジ」、コンシェルジュの山本和雄です。
去る7月25日、レジデンス ラウンジでは“夏酒”をテーマにしたテイスティングイベントを開催しました。当ブログでその模様を一部、ご紹介いたします。

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奈良県・三輪は酒造り発祥の地

ゲストにお迎えしたのは、奈良県で350年以上の歴史を持つ今西酒造の十四代蔵主・今西将之さんです。

「私たちの蔵は奈良県の三輪というところで約350年、酒造りをしてきました。代表銘柄は[みむろ杉]で、コンセプトは“三輪を飲む”――ということで、まずは三輪の地をご紹介します。三輪は色々なものの発祥の地として知られています。例えば商売発祥、仏教伝来、相撲発祥、素麺発祥、そして酒造りの発祥とされているのも三輪の地です。酒造りが三輪で始まった由来は、かつて酒が神と交信するためのツールだったことに関係しています。三輪には大神神社という日本最古の神社があり、そこで神と酒が結びついた――以来、三輪の地が酒造り始まりの地と言われるようになりました。ちなみに、大神神社は“おおみわ神社”と読みます。昔は神と書いて“みわ”、神酒と書いて“みわ”と読んでいました。酒は神のためにあり、神は三輪であるとされていて、酒と神と三輪は三位一体のように考えられていたのです。例えば万葉集では、三輪の枕詞は“うま酒”とされています。ですから大神神社は日本最古の神社というだけでなく、酒の神として信仰されてきました」

三輪には、酒にまつわるものが数多く存在するそうです。

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「酒蔵で、丸い杉の玉をご覧になったことはありますか? あれは杉玉と言って、新酒ができたときの合図として使われてきたものです。最初は青々とした杉玉を軒先に吊るし、一年を通して色が変わることで、酒の熟成度合いがわかるようになっています。北海道から九州、全国七割ほどの酒蔵が、大神神社から届けられた杉玉を使っています。つまり三輪は、杉玉発祥の地でもあるわけですね」

三輪の歴史、文化、風土を大切にした酒造り

では、なぜ三輪で杉玉が作られているのでしょうか。

「普通、神社というのはお社に神様がいますが、大神神社の場合は本殿を持たず、三輪山をご神体として祀っています。この三輪山には商売の神様、酒の神様の霊気が宿る神杉があり、杉玉はここの杉で作られているわけです。ほかにも三輪には、実在する最古の杜氏と言われる高橋活日命を祀る神社・活日神社や、病気平癒の神様を祀った狭井神社などがあります。狭井神社の薬井戸からは三輪山の神が宿る水が湧き出ていて、今西酒造の酒はこの御神水と同じ水脈の水で造られています」

そしてこの三輪の地に残る唯一の酒蔵が、今西酒造です。

「今西酒造は、酒造り発祥の地に残る唯一の酒蔵です。だからこそブランドコンセプトの“三輪を飲む”では、三輪の歴史、文化、そしてその上に成り立つ風土を大切にしています。酒造りでは水と米がとても重要ですが、水に関しては先ほど申し上げた通り、神が宿る三輪山の水を使っています。そして米も三輪の水で作っています。つまり三輪の歴史、文化、風土を凝縮して醸している、それが今西酒造の[みむろ杉]なのです」

では[みむろ杉]はどのように造られているのでしょうか。

「私たち今西酒造が、どのように酒造りに挑んでいるかというと、全行程において一手間二手間かけた酒造りを行なっています。実は酒造りの工程自体は、大手・中小・零細であっても、すべて同じです。米を育て、米を削り、米を洗い、水につけ、蒸し、麹を作り発酵させて搾る――この工程は、どこの酒蔵でも変わりません。そういった中で私たちは、各工程でどれだけこだわり抜けるかを大切にしています。例えば洗米という工程においては何トンという米を洗うわけですが、私たちは一切の効率を無視し、米を10キロずつ洗うようにしています。今西酒造では年間を通じて10万キロの米を使いますので、単純に考えて1万回洗うことになります。これは途方もない作業ですが、すべての工程で手間ひまをかけながら造る、それが今西酒造のみむろ杉です」

夏酒の楽しみ方

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イベントでは以下のお酒を楽しみました。

◎ みむろ杉 純米吟醸 山田錦(火入れ)
◎ 季節限定 みむろ杉 夏純(生詰)
◎ 梅酒・三諸杉 梅杉謙信

「[みむろ杉 純米吟醸 山田錦]は、旨味と酸が味わいの基本構成で、市場に出ている日本酒の1.4倍ほど酸があります。ただし、決して酸の浮いた酒ではなく、酸を背骨として周りに旨味と甘みの肉付けをした球体のようなイメージで造っています。ですから口に含むと、ふわりとした丸みが広がります。[夏純]は酸と米の旨味による肉付き、この肉付き部分を削ぎ落とし、より酸を強調させています」

夏酒の楽しみ方のポイントは、まさに酸にあるそうです。

「お酒は、酸味・甘味・塩味・苦味・旨味の五味のバランスで構成されています。とくに夏酒を楽しむ上では酸味が一番大切ですが、酸にもいろいろな種類があります。リンゴ酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、ピルビン酸、酢酸、フマル酸……これら酸の種類によって、味はまったく異なってきます。ちなみに日本酒に関してはリンゴ酸、クエン酸、乳酸の3つが多く、全体の8割を構成しています。また冷やして美味しい酸と、温めて美味しい酸は違います。例えばリンゴ酸やクエン酸は冷やすと美味しく感じ、乳酸やコハク酸は温める、つまりお燗にすると美味しく感じます。ですからリンゴ酸とクエン酸が多く含まれている酒をよく冷やして飲む、それが夏酒の楽しみ方の一つだと思います。そして[夏純]はリンゴ酸とクエン酸の分量が高い酒です。そこで今回は、オンザロックの提案をさせていただきます。かち割り氷をグラスに入れて飲むことで、酸の温度が下がり美味しく感じます。味の変化をぜひ楽しんでみてください」

イベントの最後には梅酒のオンザロックをいただきました。普通、梅酒は焼酎をベースに造りますが、今西酒造の梅酒は日本酒をベースにしているそうです。

「今西酒造の梅酒は、日本酒の甘味で表現する梅酒です。すっきりとして、喉に残るイガイガ感もなく、お料理と一緒に召し上がっていただけると思います。また、梅酒を構成している酸はクエン酸が一番多いので、冷やすと美味しくなります。ですから梅酒も、ぜひ夏に飲んでいただきたい酒の一つです。一方、冬は乳酸やコハク酸の含まれている酒を、温めて飲むのが楽しいわけですね」

いかがでしたか? 夏のお酒のオンザロック、みなさんもぜひ試してみてください。
「三菱地所のレジデンス ラウンジ」では今後も様々なイベントや住まいにまつわるセミナーを企画しています。ご興味のある方はお気軽に、レジデンス ラウンジまでお問い合わせください。

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