コミュニティづくりを応援する「ツール」制作プロジェクト~スモールポスター・前編~

最近特に注目されている、マンションの住民による「コミュニティづくり」。 マンション・ラボでも、これまでコミュニティづくりのヒントとなる取り組みをいくつか紹介してきましたが、以前行なった「コミュニティに関するアンケート」で、『コミュニティが必要と感じながらも、参加する人が少ない』という現状に目を向けたとき、もっと「コミュニティが必要だと意識してもらう」ための草の根的な活動が必要ではないか、ということに気がつきました。

そこで今回から、「コミュニティの必要性」を訴求するツールを制作し、実際にマンションで使ってもらおうと考えました。題して『コミュニティづくりを応援する「ツール」制作プロジェクト』です。

第一弾となる今回は、コミュニティづくりのプロである荒さん、そしてグラフィックからインタラクティブまで、ジャンルに拘らずコミュニケーションをデザインしているというデザイナーの清水氏の協力をいただき、ツールとして、掲示板やエレベーター内、その他の共用部分に掲示できる「スモールポスター」を制作します。 マンションの住民同士が自然とつながることを意識できる「合図」となる、いわばサインとしての小さなポスターが、皆さんのお役に立てば幸いです。

プロジェクトメンバー紹介

清水柾行:

aozora 代表 大阪生まれ。すべてはデザインという考え方で横断的にデザインプロジェクトを実践。APEC奈良観光大臣会合レセプション インラクティブデザイン、東京ミッドタウンデザインハブ特別展「my home town 私のマチオモイ帖」ディレクター&デザイン、東北グランマのXmasオーナメントデザイン、バルセロナオリンピック日本競泳チームロゴデザイン、世界グラフィックデザイン会議デザインフェアー「デザイン・デパート」アートディレクション、Social Propose展 ディレクター。CSデザイン賞大賞、NY ADC特別賞、キッズデザイン等受賞多数。(財)日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)運営委員、大阪芸術大学デザイン学科非常勤講師。

荒昌史:

HITOTOWA Inc.代表取締役、NPO法人GoodDay代表理事。1980年東京生まれ、埼玉育ち。2004年株式会社コスモスイニシア入社(当時リクルートコスモス)。2006年新規事業コンペ最優秀賞を受賞し、CSR専門部署を設立。以降、CSR全般、住宅企画・プロモーションを担当。携わった複数の住宅がグッドデザイン賞を受賞。2010年独立、HITOTOWA Inc.設立。以降、CSR/ソーシャルビジネスコンサル、都市コミュニティサポート事業を手掛け、特にマンションコミュニティづくりを行っている。共助の地縁づくりを行うプロジェクト、Community Crossing Japanオーガナイザー。

マンション・ラボ編集部:

「マンションライフに住まうことを考える」というコンセプトのもと、マンションライフの新たな価値と可能性を求め、ヒントとなる情報を提供している。

マンション・ラボ編集部:今回からはじまる、『コミュニティづくりを応援する「ツール」制作プロジェクト』。これまでプライバシーを尊重するあまり、住民同士のコミュニケーションを軽んじる傾向にありましたが、3.11以降、事態は一変しました。ご近所づきあいの大切さが再認識され、徐々にですが、いろいろなイベントを企画して交流を活発にしようとする動きもでてきています。でも、そういった動きは一部のマンションに限られていて、ほとんどのマンションではまだまだ不足しているといった現状があります。マンション・ラボでは、マンションに住むメリットとして、「コミュニティ」は必要不可欠だと思っているので、なんとか「コミュニティづくり」をサポートしたかった。そんな中から今回の企画が出てきたわけですが。

荒:コミュニティの重要性は、日に日に高まっていると思いますね。ぼくは今、地域コミュニティを育む取り組みをしているんですが、参加してくれる方も多くなってきていますし、3.11以降、確かに意識が変わってきたと思います。

清水:私は関西を拠点に仕事をしているのですが、丁度3.11は東京に居たんです。また阪神大震災の時は神戸の隣の大阪にいたこともあり、それぞれの地震の怖さを身体がしっかり憶えていたりします。その時はとにかく無力さを痛感したわけですが、その後、デザイナーとして何か役に立てることをしよう、やり続けていこうと思いました。

荒:清水さんは、もともとは「東北グランマプロジェクト」という、被災地のお母さんを中心に仕事を生み出すプロジェクトをぼくがある企業のCSRという形で支援をさせていただいたことがきっかけで知りました。ロゴやパッケージのデザインにとっても魅かれたんです。洗練されつつ、温かみのあるデザイン。そして、さらに清水さんがディレクターを務められた「マチオモイ帖」が素晴らしくて。街を好きな方なんだなあと思いまして、一緒にやりたいなと思いました。そこで、マンション・ラボ編集部さんに清水さんを紹介し、今回のツール制作第一弾としてこうやって一緒にお仕事ができるのは、本当にラッキーですし、光栄なことです。

清水氏がアートディレクションをした「東北グランマのXmasオーナメント」。 温かみのあるデザインが、同プロジェクトのコンセプトを簡潔に表現している。

同じく清水氏が手がけた「my home town わたしのマチオモイ帖」展。大勢の方が来場し、それぞれの故郷や住む町に想いを馳せる場となった。Photo:STUDIO 500G.

清水:ありがとうございます(テレ笑)

マンション・ラボ編集部:今回その「コミュニティ」づくりをサポートするツールをつくるのですが、制作にあたっては、テーマやトーン&マナーを決める必要があります。まずはこの点について話し合っていきましょうか。

「押し付けがましくない、自然にコミュニティの必要性を感じてもらえることが大切なんです」という清水氏のメッセージには、デザイナーならではの繊細な想いが感じられる。

清水:テーマについては、居住者が共有しやすい「共通点」を見つけることが大切だと思います。マンションは多世代が住んでいるという点で価値観にバラつきが出やすく、そこがコミュニティづくりを難しくしているという印象があるんです。全体的に通じるキーワードやテーマが、この企画の鍵になると思います。

マンション・ラボ編集部:「子育て」「エコ」「インテリア」…住民が関心のある、あるいは共有できるテーマはたくさんありますが、全体でとなるとちょっと難しいですね。

荒:住民全体で共有できるとしたら、まずはやはり「防災」というキーワードはどうでしょうか。3.11の恐怖や不安は、年齢や性別に関係なく、共有していると思います。

マンション・ラボ編集部:防災をテーマに、ですか。なるほど、いいかもしれませんね。少々固いし暗いイメージもありますけど、あの地震から「コミュニティ必要論」がでてきたわけですから。

清水:そうですね。防災は確かにいいかもしれません。ただ注意しなければいけないのは、防災といっても、備えましょうとか、意識を高めよう、など「○○しよう」では押し付けになってしまいますし、基本的にはみんな頭ではわかっていることなんですよね。なので、ゆっくりでもいいので自発的な行動につながるような種を心に残すことだと思いますね。

荒:ぼくの個人的な意見では、「ユニークでくすっと笑えるもの」か、逆に「かっこいいクールなもの」がいいんじゃないかと思います。これまでの防災の固い、とっつきにくいイメージを払拭するようなデザインを清水さんにお願いしたいなと(笑)。

「防災へのとっつきにくさを解決するためには、ユニークさも大切」と語る荒氏。

清水:ちょっと考えてみましょう(笑)。

マンション・ラボ編集部:デザインと並んで重要なのが、トーン&マナーですが、このあたりについてはいかがですか?

清水:先ほどもいったように「押し付け」になったり、わかってることを言われると、よけい人はそっぽを向きたくなるもんです。なので「やっぱりコミュニティって必要なんだな」と、自然に思ってもらえるようなものが好ましいかと。

マンション・ラボ編集部:自然に思ってもらえるようなものなら、身近な出来事からでしょうか?

荒:であれば、実際に3.11の際に住民の方々が体験した、コミュニティの大切さを裏付けるエピソードを用いるのはどうでしょう。

・うちは共働きのため、お隣がこどもの安否確認をしてくれてとても安心しました。

・日頃から挨拶をしていたので、住民間で声をかけあうことができ、とてもほっとしました。

・一人では動かすことのできない家具や荷物を同じマンションに住む高校生が運んでくれました。

といったリアルな話は、同じマンション住民の言葉として受け止められやすくなると思うんですが、どうでしょう。

マンション・ラボ編集部:
それはいいアイデアですね! マンションに住む方のリアルな言葉なら、みなさんに響くんじゃないかと思います。

清水:そうですね。その方向性でいきましょうか。 ちなみにアウトプットとしても、どういう風に活かしてもらえるようにしましょうか。つくっても見てもらえなければ意味がないので、どこにどのような形で露出するか、どう使ってもらえるかを考えておくことも、とても重要です。

マンション・ラボ編集部:今回はいろいろな方に自由に使って欲しいので、データをダウンロードしてそれぞれのご家庭で印刷していただけるようにしたいと考えています。またマンションでは一般的に掲示板やエレベーターの中に貼りだしているので、それを考えると、A4もしくはA3サイズのグラフィックポスターがいいかもしれません。

荒:そうですね。まずは貼りやすい、使っていただきやすい形がいいですね。

清水:賛成です。 ポスターとしては小さめなので、「スモールポスター」として展開しましょうか。では次回の打合せまでに、防災に関するリアルなお話を用いたクールもしくはキャッチーなビジュアルをデザインしてきたいと思います。それをご覧いただいた上で方向性を決め、さらにブラッシュアップしていきたいと思います。

荒・マンション・ラボ編集部了解しました。よろしくお願いします!


後編は、ポスターのデザインやコピーについての打合せの様子を公開します。

後編はこちら!

2012/08/23

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