自転車利用者をもっと増やせ! パリの自転車施策

公害対策のひとつとして、2007年にレンタル自転車“ヴェリブ”を導入したパリ。このシステムのおかげもあって、2010年の自転車利用者は、2001年から3倍に増加したそうです。

たしかに、通勤や通学に自転車を使っているパリ市民は多いですし、ヴェリブを使って観光する旅行者も多く見かけます。自転車はパリにおける大切な移動手段のひとつになっているのです。

ヴェリブのステーション。

年間パスを買って乗っている人もたくさんいます。

車や徒歩などを含めた移動手段のなかで、自転車の割合は現在5%。パリ市は2020年までに、この割合をさらに3倍アップ、つまり15%に引き上げたい考えです。自転車の利用者を増やすことで、公害問題の緩和、静かな町づくり、そして市民の日常的な運動の促進につなげたいとしています。

2020年までの施策計画の中心は、①自転車専用レーンを増やす、②駐輪場を増やすといった対策です。

自転車専用レーンを増設するにはフランス建造物建築士たちの意見を考慮

自転車レーンはすでに存在していますが、さらに増やし、延長していくことが最優先の施策になりそうです。ただしパリらしいのは、景観を守るために、フランスの歴史的建築物を保護しているフランス建造物建築士たちの意見も考慮されること。たとえば“世界一美しい”といわれるシャンゼリゼ大通りへの設置は、慎重な審議が求められそうですね。今後の課題は、自動車と自転車、二輪車、歩行者すべてがどのように安全に、道路を共有していくかです。

一般道では、バスと自転車は同じ車線を走ります。

大通りや歩道の幅が広いところでは、自転車専用レーンもあります。

交差点では、信号待ちのスペースを自転車と歩行者で分けているところもあります。

パリでは駐輪場がない!

日本には、駅の周辺などに駐輪場がたくさんありますが、パリでは見かけません。目的地に着くと、近くのガードレールなどにワイヤーやU字のキーロックで固定しておきます。

地下鉄の出入り口で。自転車をいったん降りるときは、こうした柵を見つけて固定しておきます。

バイク駐車スペースに停めてある自転車もあります。

このためパリ市は、大きな駐輪場をつくるのではなく、人が多く集まる場所、つまり美術館や図書館、公共機関、スーパーなどの周りに、小規模の駐輪スペースをつくる考えとか。では自宅に戻ったら、どこに自転車を置いているのでしょうか。最近建てられた集合住宅には、駐輪スペースが設けられている場合が多いようです。スペースがない場合や古い建物では、玄関ホールや廊下に置いている人もいます。

しかし安全面から、公共の場に私物を置くことは禁止されているので、面倒でも自分のアパルトマンまで運んだり、カーブ(物置)に入れるという人も。道路に置きっぱなしにするのは、盗難の心配もあります。自転車の利用者が増えれば、集合住宅での駐輪スペースの問題も課題になっていきそうです。

マンション・ラボさんで先日実施された駐輪場のアンケートを拝見すると、ほとんどのマンションに駐輪場があるようですね。
また、実に75%以上の方が自転車を所有されており、いかに身近な交通手段かがよくわかります。ただ、およそ半数の人が主に「自転車の出し入れがしにくい」などの不満をお持ちだということに驚きました。おそらく自転車の所有者が多いために、たくさんの自転車を効率よく収納する必要があるのだと思いますが、その影響で自転車の出し入れに必要な十分なスペースが確保できなかったこともあるのでしょう。

駐輪場に関するアンケートの紹介はこちら

今回ご紹介したレンタル自転車“ヴェリブ”のような取り組みが日本でも進めば、自転車の保有率も下がり、その分駐輪スペースが十分確保された駐輪場が利用できるようになるかもしれませんね。

パリ市はHPで市民へのアンケートも実施。自転車専用レーンのタイプや、優先して整備を進めてほしい道路など、2020年までの目標計画に市民の意見が取り入られる予定です。

ちなみにフランスでは、自転車は自動車と同じルールの基に走行します。パリ市内は一方通行の道も多いので、パリで自転車に乗る際は、くれぐれも気をつけてくださいね。

2015/02/16

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


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