パリ西部に、廃線を活用した散歩道が誕生!

パリ南西部の15区に8月末、高架鉄道の廃線を利用した散歩道が登場しました。

2012年5月に紹介したプロムナード・プランテ Promenade Plantéeもそのひとつですが、15区の散歩道の特徴は、線路がそのまま残されていることです。

アパルトマンと一体化したパリの遊歩道

線路はそのまま残し、その横を整備して散歩道に。子供たちは楽しそうに線路で遊んでいました。

遠くには15区の隣、イシー・ムリノー市にある近代的なビルも見えます。

15区の廃線は、プティット・サンチュールと呼ばれた32kmにわたるパリの環状鉄道路線の一部。1852年から1869年にかけて線路が設置され、1934年まで電車が走っていたそうです。15区の区間は、1919年に創業した自動車会社シトロエン(現在のアンドレ・シトロエン公園)とヴォジヤールの屠殺場の前に停車していました。

プティット・サンチュールは、一般道より高い位置に造られた高架鉄道。

さらに1990年代までは貨物車の路線として使われていましたが、1993年に終了。以来10年以上、放置されていましたが、土地の所有者であるフランス鉄道線路事業公社とパリ市がプティット・サンチュールの活用法を検討。15区の区間については、都市開発と自然保護を目的に保存することが決まり、散歩道に生まれ変わったのです。

今回整備された散歩道は1.3km。一般道路からは、数カ所に設けられた階段やエレベーターでアクセスできます。30段ほどの階段を上って散歩道に入ると、一気に車の騒音が消え、パリにいることがうそのような静けさに。

ところどころに階段のほかエレベーターがあるので、ベビーカーでの散歩も心配ありません。バリアフリーの町づくりにはまだまだ時間がかかりそうなパリですが、新しい散歩道のためにエレベーターを設置したのは、歓迎すべきことです。

子供連れやご夫婦など、近所の人たちがゆったりと散歩しています。

線路脇には草木が茂り、小さな花が咲き、すでに紅葉している木々もありました。線路脇に見える木や花について説明するプレートも設置してあります。

夫婦や家族で散歩する人、ジョギングする人、木のベンチでずっとおしゃべりしている人など、過ごし方はさまざま。左右には多様な建築様式のアパルトマンが目に入ります。

さまざまな建築様式のアパルトマンが現れます。

散歩道への“転換”にあたってパリ市が重視したのは、歴史的な価値を守ることだったそう。線路を残し、枕木の下に敷く砂利を入れ替え、運転手への信号や車止めは撤去せず残しています。

運転手への信号も残っています。

昔の線路の枕木を思わせる木のベンチ

車止めの名残。

15区以外のプティット・サンチュールの跡地についてパリ市は、散歩道のほか貨物用路線としての利用も考えているそう。住民の合意を得ながら決定していくそうです。

前回お話したように、新築アパルトマンを建設する際、公園や庭も必ずといっていいほど併設されています。パリジャンにとって、家族揃ってほっとできる静かな空間が近くにあるかどうかが、住環境の大切な判断材料のひとつといえると思います。

15区のような散歩道が近くにできると、自然と自分が住む地区の歴史や自然への関心も高まって、近所同士、そして地区同士のつながりも強まっていく気がしました。

2013/10/21

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


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