アパルトマンで靴を脱ぐ? 

フランスに長期滞在する方や旅行に来る方に、「日本から持参した方がいいものは何か」と聞かれることがよくあります。フランスにはないもの、フランスにあるけれど日本製の方が質や使いやすさで勝っているものなど、いろいろありますが、答えの一つが、スリッパです。

室内履きの売場。リボンつき、ヒョウ柄、ストライプなどなど、デザインもいろいろ。

フランスでは、欧米の他国と同様、靴を脱ぐ習慣がないことは、皆さんもよくご存知でしょう。日本のビジネスホテルには、スリッパが当たり前のように置いてありますが、ホテルも、一部の高級ホテル以外、スリッパはおいてありません。

とはいえ、靴を履いたまま1日を過ごす人の方が実は少数派かもしれません。「靴を脱ぐことは、服を脱ぐことと同じ」と主張するフランス人もいた(まだいる?)ようですが、最近では、靴を脱いだほうが家の中を清潔に保てるし、疲れが取れてくつろげるという理由で、靴を脱いで室内履きに履き替える人が多いようです。足音による階下への振動や騒音も、減らすことができます。終日、脱いでいなくても、居間でくつろぐ時や寝室では、履き替えている人もいます。

ですから、必ずしも玄関で靴を脱ぐわけではないので、脱いだ靴は脱いだ場所や寝室に置いておくことになります。翌朝、どこに靴を置いたか分からなくなった、なんてこともあるようですね。

バスローブと一緒に陳列してあった男性向けの室内履き。

室内履きはパントゥーフル(Pantoufles)と呼ばれて、紐やヒールはなく、靴の裏は滑り止め加工がしてあります。靴と同様にサイズがあって、自分にあったサイズを見つけることができます。日本風のスリッパもありますが、大部分はかかとの部分が付いたタイプです。

パントゥーフルをわざわざ買わずに、楽に履けるサンダルやミュール、日本でも人気のあるモロッコやチュニジア製のバブーシュを室内履きにしている人も多いです。軽い上、色もデザインも多彩で、素足に履いても気持ちがいい靴です。

北アフリカのバブーシュは人気の室内履き。

客としてうかがったときは、靴を履いたまま入ります。フランス在住の日本人のお宅は、やはり客人用のスリッパも常備していますが、フランス人は自分たちの室内履きしかありませんから・・・。たいていの家には、玄関ドアの前にマットが敷いてあるので、靴の裏をマットで軽くこすって汚れを落としてから入ります。

靴を脱いで生活する習慣がある私たちにとって、家に来るフランス人にも靴を脱いでほしいもの。なかには他人の家で靴を脱ぐことに抵抗がある方がいたり、「靴下に穴が開いていたかも」と心配し出す人がいて笑ってしまったこともありますが、脱いでしまえば「気持ちがいい」と喜んでくれるので、遠慮せずにお願いすることにしています。「やっぱり日本は清潔な国」と、あらためて感動されることもしばしばです。

2012/04/17

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


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