マンションに図書館を作ろう!プロジェクト〜ゆいま〜る多摩平の森の「まちの図書館」の運営に学ぶ〜

マンションに図書館を作ろう!プロジェクトで、グループディスカッションに参加いただいたメンバー有志で、高齢者向け住宅「ゆいま〜る多摩平の森」のライブラリースペースを見学。気になる蔵書や運営について、いろいろと伺ってきました。

マンションにライブラリーを!ディスカッションメンバーの好奇心

マンションに図書館を作ろう!プロジェクトでは、「マンションに図書館をつくりたい!」または「すでにあるライブラリーをさらに活性化したい!」と考えているマンション住民の方々とディスカッションを行いました。

マンションに「本でつながる交流の場=ライブラリー」をつくろう! グループディスカッション編

みなさん、それぞれに、本をきっかけに交流を行いたいという意思のある方々ばかり。その後もFacebookグループ上で情報交換などを行っていたところ、リブライズの河村さんから「ゆいま〜る多摩平の森にある図書コーナーが、いい感じみたいですよ」と教えてもらったのをきっかけに、「有志で見学に行こう!」ということになりました。

ということで、集まった総勢4名の皆さん(左から塚本さん、土志田さん、野村さん、西さん)と一緒に、ゆいま〜る多摩平の森にある「たまむすびテラス」へやってきました!

ゆいま〜る多摩平の森は、中央線「豊田」駅から徒歩で10分ほど。緑に囲まれた「たまむすびテラス」内にあります。

おしゃれな団地型シェアハウス棟や菜園付賃貸住宅棟、シェア菜園がある敷地は、団地ならではのゆったりとした贅沢なレイアウト。そして何より、豊かな緑に囲まれていて落ち着きます。

コミュニティ食堂への長〜い廊下が人と本をつなぐ「まちの図書館」

「ゆいま〜る食堂」の外観。この奥の廊下に「まちの図書館」があります。

ゆいま〜る多摩平の森のハウス長の清水さんに案内されて、コミュニティ食堂「ゆいま〜る食堂」へ。全面ガラス張りで、木のあたたかみあるインテリアは、まるでカフェのよう。

ゆいま〜る多摩平の森の住民の利用だけでなく、一般にも解放されているので、子連れママやシニアなど、ご近所の人達も気軽に昼食や夕食を食べに来ます。黒板のおいしそうなメニューを見て、皆「こんな食堂がうちの近所にもほしい!」とうらやましそう。

ライブラリースペースは、食堂と反対側の玄関をつなぐ細長い廊下の壁面にありました。早速、興味のある本を手に取る皆さん。長い廊下の書架は、立ち読みにもいいですね。左の窓は日除けのためにグリーンカーテンで覆っています。それもまた気持ちいい!

ハウス長の清水敦子さんに、お話を伺いました。

清水さん:「書架の管理は、ゆいま〜る多摩平の森居住者の中から有志の方10名ほどが“図書部会”を結成して管理してくださっています」

居住者による図書部会といっても、あくまでボランティア。みなさんシニアの方々ですので、その日の体調や自分の都合にあわせて動くという、ゆるやかな活動です。

本の貸し出しは、入り口にある貸出票に自分で書いて借りていきます。居住者以外に誰でも借りることができて、貸出期間2週間で一人3冊まで。返却は籠に入れます。“図書部会”の担当者が常駐する必要もなく、ゆるやかなルールが、なんだか使いやすそう。

書架にきれいに並べられているだけで、手にとって読みたくなります。

最上段に並べた文庫本は、後ろに空の牛乳パックを置いて、出し入れしやすい配慮!きめ細かいですね。

著者名順に並べられた文庫、上段の蔵書を手に取りやすく前に並べる工夫、コメント入りポップの展示など、人の手が入った「生きたライブラリー」なのだということが一目でわかります。

清水さん:「すぐ近くに公共図書館もあるんです。でもこの書架スペースは、蔵書も多すぎず、手に取りやすいせいか、食堂へごはんを食べに来たついでに借りて返していく人もいます」

書架スペースが、居住者だけでなく地域に開かれた「まちの図書館」たる所以ですね。

蔵書は、居住者、食堂のお客様、スタッフ、みんなからの寄贈本。

寄贈図書には、裏表紙にシールを貼っておきます。蔵書管理のための登録システムなどはなく、「なくしてしまったら、まあ仕方がなかったということで(笑)」というゆるやかな管理方法。

現在1500冊ほどある蔵書は、ゆいま〜る多摩平の森へ引っ越してきた居住者の方々が、愛着ある蔵書を書架に寄贈したもの。いままでの暮らしから少しコンパクトな暮らしにするために、蔵書を処分する方も多いので、結構な数の蔵書が集まっています。また、食堂のお客様やスタッフが、読み終わった本を寄贈することもあるとか。

清水さん:「皆さん、古本屋へ持ち込むよりも役立ててもらえるなら、こちらに寄贈したいとおっしゃってくださいます」

今年の3月には、フロントスタッフと図書部会の皆さんとで話し合って、図書の整理を実行。他のゆいま〜るの図書コーナーも参考にしながら、見やすく整理して、読まれなさそうな不要本も寄付することにしました。

現在、寄贈に関しては以下のようなルールで運営されています。

・寄贈本は、フロントに持参してもらい、宗教や政治関係の書籍は受け付けないこととする。
・寄贈を受ける際には、「受け取ったあとに処分する場合もある」ことをお伝えして、納得いただいた上で受け取る。
・やむをえず書籍を処分する場合は、児童養護施設を巣立つ子どもたちの自立支援ができる「ブックフォースマイル」に寄付する。

マンションやこうした集住のスペースにライブラリーを設けようとすると、管理や返却などのルールはどうするか?など、まず規則づくりから始めてしまいがちですが、こんな風にシンプルなルールからまず始めてみるのが、誰にも負担にならず、楽しんでできそうですね。

住民の持ち寄り本が意外なつながりを生むことも!

ある近隣の方が寄贈した、唐招提寺の仏像の修理報告書の本(写真左端)。趣味で仏像を彫っている居住者が驚くほど、専門的な良書だったそうです。皆さん、いろいろな専門や趣味をお持ちです。趣味の本をきっかけに、人のつながりもできていくといいですね。

居住者の方が、長年新聞を切り抜いて集めていた、子ども向けクイズ記事の質問&回答コレクション。スタッフがメモ帳に貼り付けました。絵本コーナーに置いて、食事に来たお客様にも楽しんでいただいています。この切り抜きについては、以下のブログにエピソードが記載されています♪

豆知識のおすそ分け/ゆいま〜る多摩平の森ブログ

お子さん連れのママさんも食堂のお客様。小さい子ども用に、絵本がディスプレイされています。これなら子どもも喜びそう!

居住者も、地域の人も、ゆるやかに出入りできる食堂と小さなまちの図書館がある暮らし。団地を再利用したスペースだからできることなのかもしれませんが、マンションにもこんな地域に解放されたスペースがあれば、もっといろいろな可能性が生まれるような気がしました。

「ゆるやかな運営が魅力!」メンバーの感想

参加したメンバーに、ゆいま〜る多摩平の森の図書館について感想を伺いました。

西さん:「敷地内の住民だけでなく、地域全体に開かれたみんなのまちの図書館というのがよかったですね。ゆるやかな見守りにもなりますし。

寄贈本に頼りすぎてしまうと要らない本(誰も読まない本)ばかり集まりすぎてライブラリーの質が悪くなると聞いたことがありますが、仏像の修復本の話を伺うと、寄贈本もいいなあと思いました。本の持ち主のヒストリーが、見えない部分で人をつないでくれている気がしました」

塚本さん:「敷地もライブラリーも、自分たちだけのものにせず近隣の人にも開かれていて、いい開放感がありますね。書架の本の取捨や入替などは図書部会の住民が自治していて、入館はフリーで貸出も自分で貸出簿に書くだけのゆるやかな管理。このおおらかな運営は、ちょっと衝撃的でした。敷地内の安全や書架の整頓などは、建物内にスタッフがいて、見守るようにサポートしているのも、これを実現する上で大きいと思いました」

土志田さん:「スタッフの方が前面に出てこない雰囲気や、ゆるやかな管理スタイルが、勉強になりました。いい空気が流れていますよね。寄贈本は、所有権を放棄してもらうというルールもいいなと思いました。マンションのライブラリーづくりも、まず本を交換するブックチェンジから寄贈本を集めて始めてみればいいのかもしれませんね」

野村さん:「緑豊かなゆったりした敷地にある図書室は、大きな窓から自然の光が入り、とても心地よい空間でした。蔵書も数多く、整然と並べられていて、図書部会さんの日頃の管理が、きちんと行き届いているのを感じました。

食堂の廊下に設置されている本棚は、居住者の方々だけでなく、地域の人たちにも解放されているということ。さまざまな世代の縦の繋がりと地域という横の繋がり、風通しがよくて素敵です。
もし、住人だったら、外のテラスでコーヒー飲んで寛ぎながら、芝生でごろごろ昼寝しながら本を読みたいな、と思いました。見学できてよかったです!」


ゆるやかに地域に開かれた「まちの図書館」は、私たちの心にあった、いままでの固定概念をなくしてくれるものでした。

見学した皆さんの心にも、さらなる本の可能性を感じさせたのではないでしょうか?

2015/10/06

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