【オーストリア共和国•ウィーンのマンションライフ】宮廷文化が今でも息づく古都のマンションライフ

シェーンブルン宮殿。世界遺産登録されている代表的宮殿。

ウィーンってどんな街?

まずはオーストリアの首都、ウィーンの特徴や歴史についてご紹介していきましょう。今までにウィーンへ行った事がない人でも、「音楽の都」「お菓子が有名」「ウィーン少年合唱団」とイメージがわくのではないでしょうか?

600年以上も栄えた宮廷「ハプスブルグ家」は、芸術を愛して甘いお菓子を作らせました。代々音楽家が多かったため、レオポルド1世など政治そっちのけで作曲にいそしんだのです。女帝マリア・テレジアの父親も音楽家で、彼らは作曲家に対して援助を惜しみませんでした。そのため次々と有名な作曲家が誕生しました。

ヘルメスヴィラ。エリザベート皇后のために皇帝が作らせた憩いのヴィラの中

また、王宮礼拝堂から生まれた「天使の歌声」で人気があるウィーン少年合唱団も500年以上前に誕生しました。

ウィーン少年合唱団。ミサのあと友だちと撮影に応じる息子(左)と親友

王宮でミサのあとに勢揃いした団員&OBたち

15世紀に神聖ローマ帝国の帝王になったマクシミリアンⅠ世は「戦争は他国にやらせて幸福なオーストリア人は結婚せよ!」をモットーに、国土拡大のため国際結婚をしむけました。結果スペイン、ハンガリーにまで及ぶ大領域を手に入れます。

日が沈む事がない大帝国にのしあがり、オーストリアの郷土料理やスイーツが一級品なのは、様々な国の味がミックスされて独自の味に開発されたためと言われています。

ハイナー。皇室御用達のカフェのケーキとウィンナーコーヒー

画家のクリムト、シーレが活躍していた頃1918年の世界大戦で敗戦国になり共和制に。ハンガリーが独立してハプスブルグが崩壊。2回の世界大戦で敗戦し、1955年から永世中立国となりました。国際連合、国際原子力機関も設置されて重要なポジションにあるんですよ!

マンション、お宅拝見!

では、私のマンションをご紹介していきましょう。仕事柄グランドピアノと共に暮らせる場所を確保するために、重厚な築100年以上の天井の高い所を条件に住まいを探しました。そして、1986年春にオーストリアの田舎から故郷のウィーンへ引っ越して来ました。

天井の高い、古い石の建物。左側の3階が我が家。

バルコニー代わりの出窓もステキ

不動産屋の物件でしたが一目惚れ!リビングからはシェーンブルン宮殿が見えて地下鉄の駅まで徒歩2分。乗り換えなしで中心「オペラ座」まで10分程度で着きます。また、広大なドッグランのある公園(一周しても45分はかかる)がすぐそばに。夢のような環境です。

窓から見える景色。四季折々を通して変化する宮殿が見える

住居は5階建ての3階です。古い建物にはよくあるのですが、バルコニーの代わりに「エルカー」という、ちょっとしたステージがリビングの出窓の所についています。キャンバスを置いて絵を描いたり、カフェのように宮殿を見ながらまったりしたりと、至福の時を過ごす事ができます。

一階下のアリス宅にはバルコニーがありますが、「通りに面してうるさいし活用していないのでエルカーの方がずっといいわね」と言われています。

右に見えるのが「エルカー」

人を招くので大きなソファーはマストアイテム

ダイニングでのパーティ。皆集まって飲んで食べて!

キッチンは私自身の設計で出来た賜物。ほしかったカウンターでは作業も出来る

殆ど私が棚を組み立てた。内装工事は隣人さんが引き受けてくれた

3階から下を見たところ

世紀末にデザインされたステンドグラス

暖炉。これも世紀末(クリムトの頃)のデザインで今も活躍している

天井が3メートル以上あるのでピアノの音はよく鳴り響くし、バロック調の飾りのついた天井を見上げながら演奏するのはバッハ時代にタイムスリップしたようで何とも言いがたいものです。

サロンコンサートをすることも度々

石造りだから防音効果がバッチリ

増え続ける本が悩みの種

週末は子ども達のパーティルームと化す

愛犬がいるので散歩は公園へ行きますが、1階に共同の小さな庭もあり、そこではバラの花を栽培している住人やネコと遊んでいる人もいます。地下室も27平米くらいの大きさの一部屋があてがわれていて、住人は古くなった自転車やら捨てがたい食器類などをしまっています。

ウィーンのマンション事情

私たち夫婦は86年に「永久居住権利※」を買い一応家賃なるものを毎月払っています。権利というのは契約者である私が生きている間、店子をおく事もできるし、自由に改装する権利もあるという事です。当時約300万円を払って権利を得ました。今では毎月3万5千円程度の家賃を払っています。(これも年々値上がりしていますが・・・。)

※今ではこの制度は廃止されています。

もし90平米のこのマンションを新たに賃貸にすると最低13万円はする計算です。だから長生きしないと損しますね。というのも、契約者亡き後相続した子ども達は新規として名義変更を余儀なくされて、一気に多額の家賃が発生してしまうからです。

住んでいる建物自体は大手会社が持ち主です。ところが、借家にもかかわらず内装は個人で自由に出来るのが特徴です。大きすぎる玄関が気になって、アーチ型の壁をレンガで作り玄関を小さくして、ダイニングを作りました。そこは天井をわざと低くして木の板を張り巡らし山小屋風にしました。

広い玄関をアーチ型の壁で仕切ったもの

ダイニングは山小屋風に設計してみた

いかにもオーストリアちっく

管理組合はないですが、何か問題があったら古くから住んでいる住人と相談をして、まとめ役が不動産の方にメール連絡をします。例えば掃除人の仕事が雑で困った事がありましたが、即お向かいのマダムが皆の意見をまとめてしかるべき掃除会社に頼み、管理費の中からコストを考えて選んでくれました。

また、「家財保険」に入るのが常識で、強風で窓ガラスが割れた時や、泥棒にドアを壊された時についた傷を保険会社が修理費を出してくれます。毎月3千円ほどのものですが、大きな出費の時には安心だから誰もが入っています。なんと、飼犬がゲストのサンダルをかじって壊した時も全額保証してくれます。これは住人にとっても強い味方なのです。

他にも低所得者には冬のガス代が安くなるとか、家賃をカバーしてくれる市からの特権などはたくさんあります。社会保障がしっかりしているので、安心して暮らす事が出来るというのがとても素晴らしいシステムだと思います。

【ライター】パッハー眞理
ウィーン生まれ東京育ちのライター。35年いたウィーンから渡印後東京を基点に海外事情を発信中。

2015/09/28

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