[イタリア・ローマのマンションライフ] 「永遠の都」のマンションはプライバシー意識が光る

ローマってどんな街?

イタリアの首都であるローマは、古代ローマの歴史や文化を受け継ぐ“永遠の都”。街を歩けばその歴史的建造物の多さにきっと驚かれることでしょう。街角を曲がったとたんに何千年も前のローマ時代の遺跡が目の前に現れたり、中世の宮殿が出現したりするんですからね!

ローマ市内には古いアパッルタメント(マンション)が建ち並ぶ。

例えば、バチカン市国にあるカトリック教会の総本山「聖ピエトロ寺院」。世界最大級の教会建築ともいわれ、なかに入ればその厳かな雰囲気に息をのまずにはいられません。ミケランジェロの作品「ピエタ像」も必見ですね。

また、ローマ帝政期に造られた円形闘技場「コロッセオ」も一度は見ておきたいところ。当時は、剣闘士と猛獣の闘いが繰り広げられ、数百人もの剣闘士がこの場所で命を落としたのです。さらにもうひとつの人気観光スポットといえば、バロック時代に造られた人工の噴水「トレビの泉」でしょう。後ろ向きにコインを投げ入れると願いが叶う、という言い伝えは有名ですね。まだまだ挙げればキリがありませんが、とにかく見所が多いので飽きることはない街だと思います。

当時4万5000人を収容したという「コロッセオ」。シートは4階席まであり、座る位置は身分によってわけられていたそう。天井部分は開いているが、皇帝席には日光が当たらず、観客席も20分以上日が当たらないよう設計されていた。(C) Shutterstock

コインを投げる観光客で賑わう「トレビの泉」。投げるコインが1枚なら再びローマに戻れる、2枚なら大切な人と一緒にいられる、3枚なら恋人と別れられるとか。夜のライトアップも綺麗なので必見。

マンション、お宅拝見!

今回紹介するマンション。ティレニア海が見渡せ、家族中が満足しているという。

私の住んでいるマンションは郊外にあります。でも住所はローマです。市内の中心部までクルマで片道1時間ほどかけて通勤しています。ローマ市民が日帰りで訪れる人気の海水浴場が近くにあり、テラスからの眺めはちょっとした自慢ですね。

イタリアの住宅の特徴は、テラスがついてることが多いこと。うちの間取りは、リビング、ダイニングキッチン、ベッドルーム、バスルームと子ども部屋が2つ。イタリア人は間接照明の暗い部屋が好きなのですが、私たちの場合は海辺ということもあり、明るく開放的な感じです。

海が一望できるテラスでは日光浴をしたり、ティータイムを過ごしたりして楽しむ。

インテリアも爽やかなイメージにしたかったので、ブルーとホワイトで統一しています。子どもたちはまだまだ遊び盛りなのですが、子ども部屋を用意し、勉強の道具やおもちゃはそこへ片付けさせ、リビングはつねに片付いているようにしています。つい最近でいうと、エアコンを取り付けたのが我が家のニュースです。

ごちゃごちゃさせずに、シンプルにまとめて統一感を出すインテリアセンスは、さすがイタリア人。

ローマの住宅では、エアコンはあまり見かけません。過ごしやすい気候なので、必須ではないのです。とはいえ、熱帯夜で寝苦しいときもありますから、わが家では思い切って購入しました。ほかに家の特徴といえば、「ポルタブリンダータ」という玄関トビラがあります。これは一種の防犯扉で、イタリアでは広く普及しています。鍵を回すと直径2cmほどの太い鉄の棒が数本ニョキッとでてくるもので、少々重たい頑丈なつくりになっています。

防犯用に数年前に設置したというポルタブリンダータ。イタリアではよく見かけるタイプだ

ちなみに、ローマというと映画でも話題になったように「風呂」のイメージがあるかもしれません。たしかに温泉などもありますが、イタリア人がバスタブに浸かることは稀。うちにもシャワールームしかありません。

そしてもっともイタリアで特徴的なのはトイレ。写真にもあるように便座のとなりに、同じくらいの低さの洗面台のようなものが見えるでしょう。これはいわゆる“ビデ”です。用を足したあと、ここにお湯をためてお尻をなかにつけて洗います。日本からきた観光客などは、この習慣に驚く人がほとんどですね(笑)。

トイレはバスと同じ部屋にあり、「バーニョ」と呼ばれている。イタリアのどんな家庭にも“ビデ”は必ずついているそう。

ローマのマンション事情

ローマ市民のほとんどは、一戸建てではなく「アッパルタメント(マンション)」に住んでいます。また、市内には外人や留学生などが暮らしている割合が結構高いと思います。

ローマの起源ともいえる「チェントロストーリコ(歴史的旧市街地)」の特徴は、築300~400年にもなる古い家が多いこと。市当局は歴史的建造物を保護しているので、新しい建物が増えることはありません。古くても希少価値がありますから価格も上がり、絶好の不動産投資の対象です。それに比例して家賃も高騰していますから、この地区に住もうとすると稼ぎがすべて家賃で消えるなんてこともあります。ですから留学生などは決して1人では住まず、部屋をシェアしていますね。イタリア人なら私のように、ローマ市内よりも近郊のマンションを購入して住むほうが圧倒的に賢い選択ですね。

ローマのインターネット環境はちょっと残念なもの……。街中ではやっとフリーのWi-Fiスポットが登場してきた程度ですし、まだまだ有線のネット接続が主流です。だいたいイタリアの大手通信会社テレコム・イタリアでも、提供しているサービスはADSL(電話線)だけで、多くの人がそれを契約している状況です。別の通信事業社から、光ファイバー回線の格安プランなども出始めましたが、ローマやミラノといった大都市でなければ工事さえできないんです。首都ですらこの調子ですから、イタリア全土のインターネット環境は想像できますよね。

私のマンションの住民同士は、ここに住むようになってはじめて隣人になった人たち。ですからやはり、マナーには気を遣います。

よく問題になるのはペットのことです。イタリアは動物愛護先進国といわれ、イヌを飼っている人も多くいます。私もマルチーズを1匹飼っていますが、音には十分注意して、子イヌの頃から屋内では決して吠えないようにしつけました。友人や知人のなかには、ペットがうるさくて隣人ともめ、警察沙汰になった人もいます。なによりもプライバシーを大切にするイタリア人らしい話です。

愛犬のティノちゃん。もともとおとなしい性格で、ほかのマンション住人のペットとも仲良く遊ぶことができる、おりこうさん。

イヌは1日に最低3回は散歩させないと最高で罰金500ユーロという条例があるんですよ。それもあって、イヌと散歩している人はとても多いのですが、ビニール袋持参の人はみたことがありません。

じつは、イタリア人は糞を片付けないことで有名なんです。自宅の中は綺麗にしているのに、街がイヌの糞で汚れることはまったく気にしない。プライベートとパブリックとはっきり分けているからでしょうね。ですから、街の様子だけをみて“イタリア人は不衛生”とは思わないでください!

イタリア人はそれぞれのプライバシー意識をもって暮らしています。だから、共用スペースの考え方は本当に難しいですね。でも、お互いが暮らしやすくするためにも、マンション内でのマナーは最低限意識しないといけないと私は思っています。

【ライター】アレッサンドロ・トレッリー
ローマ市内のオフィスに通う。妻、娘2人、そして愛犬とのんびり暮らしている。

※掲載情報は原稿作製時のものです。
※ライターの自宅マンションというプライベート空間を撮影する関係上、ライター自身で撮影を行っています。一部、見にくい写真もあるかと存じますが、ご理解・ご了承のほどお願いいたします。

2014/06/24

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