[中国・大連のマンションライフ] 新築マンションでは“内装なし”が一般的

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大連ってどんな街?

中国の渤海湾に突きだした遼東半島、その先端にある街が大連です。人口200万人以上を擁する大都市で、1984年に政府から「経済技術開発区」に指定されてからは、数多くの外国企業が進出しています。とくに日本企業の数は多く、日本語を話せる人も増え続けています。最近、中国内の反日感情が悪化していることなどをニュースで聞きますが、大連ではデモはほとんどありません。日本企業に勤めていたり、日本へ留学したり転勤したりする人が多いのがその理由だと思います。歴史的にみても、大連は日本とつながりの深い街なのです。

街なかでは租借地時代のロシアや日本の建物がまだまだ現役。

そもそも、この地域は19世紀末にはロシア帝国の租借地でした。当時はロシア語で“遠い”という意味の「ダーリニー」とよばれていました。その後、日露戦争に勝利した日本がこのロシア名を日本語風に変えたのが「大連」という名前のはじまり。大連は第二次世界大戦後に中国へ返還されましたが、名前は当時のままです。

大連ではサッカーが盛ん。市内最大の公園にはサッカーボールのモニュメントがあり、街のランドマークになっている。

こうした経緯をもつ大連ですから、街には今も当時の建築物が数多く残っています。例えば、街の中心に位置する円心状の「中山広場」は、ロシア帝国によってくつくられたものですし、その周辺にあるバロック様式を模した「旧横浜正金銀行大連支店」などは、ロシアの都市計画を引き継ぎ、日本が建設しました。このように、歴史的な西洋建築が街の景観になっているのは大連の大きな特徴です。この街は中国のなかでも、日本人が暮らしやすい都市のひとつといえるでしょう。

マンション、お宅拝見!

それでは、私のマンションをご紹介しましょう! 入ってすぐダイニングがあり、左がリビングルーム。ベッドルームは2つで、さらにキッチンとバスルームという間取りです。ちなみに、中国のマンションには基本的に湯船がないため、お風呂に入りたい人は自分でバスタブを購入しなければなりません。

マンションは10階建て。築10年以上の物件で、中古で購入したという。

マンションは10階建て。築10年以上の物件で、中古で購入したという。

大連では、リノベーションは自由にできます。よく行われるのは、ベランダを壁で囲って部屋に変えるというもの。中国では窓から物干し竿を突きだして、そこに衣類を引っかけて干す人が多く、ベランダに必要性を感じていません。そこで、スペースがもったいないから、ベランダを部屋にしてしまおうという発想になるわけです。

家に入ってすぐのリビング。この家ではベランダを部屋にせず、洗濯物を干せるようにしているが、黄砂などがひどい日には、ダイニングで乾かすことも多いという。

中国では基本的に土足で家に上がります。私の家では床にフローリングを貼っていて、室内は靴を脱ぐスタイルにしています。でも、訪ねてきた友人たちはお構いなしに土足でリビングまで踏み込むので、なかなか困りものです。

玄関からリビングルーム。部屋のなかでは靴を脱ぐが、玄関や下駄箱がなく不便だという。

部屋の広さは120㎡ほどです。平均はどのくらいかと問われると、なかなか難しいところです。お金がない人は40㎡ほどの広さに10人ほどで暮らしていますし、お金持ちは都心部で300㎡以上の部屋に2~3人で暮らしていますからね。あえていえば、我が家は分譲マンションのなかでは中の上といったところでしょうか。

ベッドルーム兼書斎。中国の人はマンションで暮らす場合、布団ではなくベッドで寝ることが多い。

バスルーム。シャワーが置かれていた場所にバスタブを設置している。

インターネットはADSL回線が主流。サービスは電話会社が提供していて、定額制や従量制といったプランから選択できます。ただし、高級マンションでは住民専用の光ファイバー回線が通っているところもあります。街中ではとくに外資のチェーン店を中心に無線LANが使えるので、ネット環境は良好といえるでしょう。また、大連はメカが好きな人が多く、パソコンやスマートフォンは当たり前のようにひとり1台です。

マンションの住民同士の交流はそれほどありません。それでも、子どもや高齢者同士だと、自然に友だちになることがあるみたいですね。あと、同じペットを飼っていると仲良くなります。ペットはイヌが一番多いですが、インコのような鳥や、金魚を飼っている人もいます。ちょっと変わったところだと、コオロギなどの昆虫をペットにしている家庭も少なからずいます。

共用施設がないマンションも多いですが、私のマンションには駐車スペースとフィットネスルームがあります。駐車場といっても、マンションの敷地内に自分の車をとめるスペースがあるというもの。ですからみんな、好き勝手に車をとめています。管理人はゲート脇の小屋に24時間いて、ガードマンも兼ねています。大連では窃盗が多いですから、私はマンションを選ぶときにセキュリティを重視しました。防犯用として、このマンションには防犯用の電子ロックとカメラがついています。

フィットネスルーム。利用する住民は少ないという。

大連のマンション事情

大連でマンションを買うときに知っておきたいのは、基本的に“内装は自分でやる”ということ。多くの場合、分譲マンションは外装や部屋だけを造った状態で引き渡されます。内装業者はその後、自分で探さなければいけません。ですから、お金に余裕のない人は内装にほとんど手をつけず、コンクリート打ちっ放しの部屋で生活しているようです。

一方、費用は高くなりますが、内装までしっかりやってくれる分譲マンションの販売形態もみられるようになりました。最近は日本の企業もディベロッパーとして大連で分譲マンションの開発をはじめているので、予算や好みに合わせて選択の幅が広まりましたね。

マンションのゲートと管理人室。通勤には車を使っている人が多い。

駐車スペースは居住者全員分の車が駐車できるよう広めに取られている。

たいていのマンションは区分所有で、「オーナー会」という会議を年に数回ほど開催します。代表者は毎年投票で選ばれて、みんなで共用部を管理するための積立金額を決めます。ただし、管理自体は専門の会社に丸投げしているので、住民の意見を集約して伝える場といった方が正確かもしれません。

ゴミの分別は一応決められていますが、きちんと守っている人はほぼ皆無。それどころか、多くの人は自分の家のゴミを共用の廊下に置きっぱなしにします。ただ、管理人が割とこまめに回収しているようで、これには私も驚きました。

ちなみに、大連の人がマンションを選ぶときには“数字”を結構気にします。日本では4や9が「死」「苦」につながるとして忌み嫌われることもありますが、中国語でも4は「死」と同じ発音なので避けられます。また、意外なのがラッキーセブンで知られる7。これは「気」(「怒る」という意味)と同じ発音で、4と同様、住みたがる人がいないんです。

【ライター】石脇幸介
日系企業の大連支店で支店長を経験し、その後大連の専門商社に転職。現地で結婚した。

※掲載情報は原稿作製時のものです。
※ライターの自宅マンションというプライベート空間を撮影する関係上、ライター自身で撮影を行っています。一部、見にくい写真もあるかと存じますが、ご理解・ご了承のほどお願いいたします。

2013/10/04

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