高齢者のためにコミュニティでできること Part.6 マンションで高齢者が働く可能性について伺う

前回までの研究室Part.5で提議された「高齢者が、報酬を得て活躍できる仕組みづくりがマンションにあれば、もっといきいきと暮らせるのでは?」という仮説について、コミュニティづくりに取り組んでいるマンションの方々にご意見を伺ってみました。

マンションでの助け合いサービスは、有償がいい?無償がいい?

前回(Part.1〜4)までの結論

1.高齢者が元気に過ごすためには、「高齢者は人材的に資産であり、有償で活躍できる場を設ける」ことが望ましい!

2.マンション内で、有償で助け合う仕組みをどのように作るかがポイント。集住のマンションだからこそ可能性を秘めていると思うので、実現が可能か検証したい!

今回お話を伺ったのは、高齢の居住者の方々のためにコミュニティの場を定期的に提供されている2つのマンション、コープ野村北柏とコープ南砂の方々です。どちらも、居住者の高齢化に伴い、さまざまな取り組みを積極的に行っていらっしゃいます。

マンションから地域へ開かれた場、コープ野村北柏のワンデーカフェ

コープ野村北柏/ワンデーカフェ

2011年の東日本大震災を受けて、近隣の交流を目的にした集いの場。同年7月から敷地内の集会室を利用して、毎月第2・第4木曜日の午前に開催。隣接する2棟のマンション居住者および近隣に済む高齢者は誰でも参加が可能です。ボランティスタッフが運営を行い、お茶・お菓子を提供する他、健康体操や血圧測定、歌などのアクティビティが用意されています。

千葉県柏市にあるコープ野村北柏では、毎週木曜日に集会室で行われているワンデーカフェに近隣の高齢者が集まり、気軽なワンコインの参加費でお茶やお菓子と共にお喋りしたり、アクティビティを楽しんだりする場を提供しています。

隣接する2つのマンションもほぼ同時期の1982年に建設されたもので、コープ野村北柏の居住者と同様に、居住者の高齢化が進んでいます。

集会室でのイベントの開催ですが、近隣のマンションや戸建ての居住者など、地域に開かれた場の提供がなされているのがいいですね。

ワンデーカフェに集う皆さん

マンション内有償助け合いには責任が生じるためNG

今回はここに集まる高齢者やボランティアスタッフの方々に、マンション内で報酬を得て活躍できる仕組みづくりや有償のサービスの必要性について質問してみました。

たとえばアクティブな高齢者世代が、子育て世代のサポートをするなどという仕事をマンション内で考えて見たらどうでしょうかという質問を、ワンデーカフェのボランティアのYさんに投げかけてみました。

「報酬を得て子どもを預かるという仕事などは、責任が重すぎてちょっとNGですね。その対価によってプロフェッショナルな責任も生まれますから。ただ、自分の得意なこと、たとえば書道教室を無料で開催するということならば可能性もあるかもしれません」と、報酬を得ることには賛成できないというご意見でした。

ボランティアスタッフのYさん

買い物送迎サービスならほしいかもしれない

アメリカに住む娘さんとスカイプで会話するほどインターネットを使いこなしていらっしゃる元理事の84歳の男性は、買い物に関する有償サービスならほしいかもしれないとのこと。

「この年になると、たとえ徒歩5分の場所にスーパーがあっても、毎日の買い物が体力的に難しくなってきます。ネットでも買い物はできますが、やはり買う物は自分の目で確かめて買いたいですからね。近隣の若い人が、買い物に行きたいという高齢者を車に乗せてショッピングセンターまで送迎してくれるサービスがあればいいかもしれませんね。マンション毎に回ってくれるとなおいいのではないでしょうか?」

そのアイデアを受けて、ボランティアの女性の一人がこうおっしゃいます。
「そういえば、うちのマンションにリタイアした元タクシー運転手の男性が住んでいらっしゃいますが、そういう人に頼むといいのかもしれませんね。もちろん組織だって行うサービスにするとなると、二種免許が必要だとか保険はどうするのかというルールづくりが必要になってくるでしょうが。」

同じマンションに住んでいてもどんな技能・資格を持った人たちがいるのかまではなかなかわからないものです。また、そのルールづくりということになると、なかなか自分たちでつくろう!というところにまではいかないのかもしれませんね。

管理員のSさんは、居住者みんなが認めるアイデアマン

コープ野村北柏には、居住者のためにさまざまな提案や行動をしてくれる住み込みの管理員 Sさんがいらっしゃいます。Sさんのご意見も伺ってみました。

「居住者の高齢化がもう少し進むと、近隣の大手スーパーに働きかけてネットで注文して配達してもらうネットショッピングのサービスを取り入れることも、視野に入れて考えていくべきかもしれませんね。」

対価を得ることには重い責任が生じていやだというご意見もありました。買い物の送迎サービスなどのように、気軽に利用できるものがほしいというアイデアも、事故への対策、保険や資格といったルールづくりが必要になってくるため、なかなか実現は難しそうです。次の記事では、マンション内で相互助け合いサービスを実施しているマンションの方々にお話を伺ってみました。

次のページ:居場所と出番のあるコミュニティづくりが一番〜コープ南砂

2014/07/29

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