マンションの駐輪場問題、不満の原因と解決ポイントを探る!

住民アンケートから見えてきたマンションの駐輪場問題、解決のポイントを駐輪場の専門会社に伺いました。

マンションの駐輪場って、そんなに使いにくいの!?

マンション・ラボで1月に実施した「マンションの駐輪場問題に関するアンケート」では、半数の方が不満を抱えていることがわかりました。

およそ半数の方が不満を抱えるマンションの駐輪場!その理由に迫る!

その理由の多くは、「スペースが狭くて出し入れしにくい」「二段式のため出し入れしにくい」という、使い勝手の問題でした。また、「重くて上段へ上げられない」などの二段式への不満も目立っていました。ある程度自転車のサイズを考慮して設計しているはずの駐輪場で、不満の声が多いのはなぜでしょうか?
そこで、実際にマンションの駐輪場を手がけている会社にお話を伺うことにしました。

マンションの駐輪場の専門会社へお話を伺いに行きました

今回お話を伺ったのは、マンションや公共スペースの駐輪場9,500件以上を手がけてきた(株)ビシクレットさんです。写真向かって左から、常務取締役 小林直さん、代表取締役 井上喜一朗さん、営業統括部 櫛谷美樹さん。

──まず、マンション・ラボの駐輪場アンケート結果をご覧になっていかがでしょうか?

井上さん「半数の方が不満を抱えているという結果は、駐輪場の専門会社としてはショックですが、マンション住民の現在の声を反映していると思います。

最近の自転車は、大型化した電動自転車、普通の自転車でも大きな荷カゴやチャイルドシートなどのオプションが付くなど、昔よりかなり巨大化しています。また、自転車の重量は通常15〜20キロですが、付属品を加えると35キロほどになるものもあり、女性やお年寄りの力では二段式の上段には上げにくいという事情もあります」

便利になった自転車が、ここ数年で大型化・重量化した結果、従来の駐輪場では収まりきらなくなっているようです。ビシクレットさんが2年ほど前に調査したところ、所有自転車の中で電動自転車の比率は、多いマンションで全体の25%ほど。いまではもっと割合が増えていると予想されます。

井上さん「二段式に入れられない電動自転車などの特殊自転車に関しては、別の平置きスペースに集約するなど、運用面で対応されているマンションが多いようです」

──規定以上の大型自動車が入れられない機械式駐車場での対応と同じですが、駐輪場そのものの間隔や仕様を、最近の自転車の変化に合わせて変えていくことは出来ないのでしょうか?

井上さん「東日本大震災以降、自転車の利便性が見直され利用率も高まっており、通勤・通学に使う方も増えました。しかし残念ながら、自転車の変化のスピードに駐輪場が追いつけていないというのが現状です。マンションの駐輪場は自転車が大型化したからといって、すぐさま取り替える訳にはいきません。また、駐輪場の台数不足も問題化しているため、敷地内の限られたスペースでこれ以上間隔を広くすると収容台数が少なくなってしまいます」

先大型化した自転車を広く使いやすく置きたい、しかし台数は減らしたくないというジレンマを抱え、マンションの駐輪場問題はかなり根が深そうです。

駐輪場の改修問題の進め方

──たとえば、マンションの駐輪場の狭さや使いにくさ、台数不足といった問題が出てきた場合、通常どのようなかたちで議案化され、どのように改修されるのでしょうか?

井上さん「管理組合では駐輪場以外に大規模修繕など、もっと大きな課題があるため、駐輪場の使い勝手といった問題は今すぐ着手しなくてもいいだろうということで先送りされがちですね。大規模修繕の際に、駐輪場問題も併せて解決するマンションも多いです」

実際、マンションで駐輪場に対する不満(台数不足、使いにくいなど)が出てきた場合、現状を把握するために住民アンケートを実施してから業者に相談すると良いようです。

駐輪場改修の進め方

・ 現状把握:駐輪場に関する住民アンケートを実施して、課題を抽出する。
・ 絶対必要台数の確定:アンケート結果や話し合いから、必要台数を確定する。
・ 相談:選定した業者に課題を相談。要望の整理。
・ 調査:業者による現地調査。
・ 予算と仕様の決定:業者からの駐輪場仕様の提案と見積もり。
・ 管理組合で議決〜改修工事の決定
・ 改修工事の実施(マンションの規模によっても工事期間は異なります)

井上さん「だいたいこのような流れですが、すぐ着手されるマンションもある一方で、審議の途中でお蔵入りになることも多いですし、数年後にようやく依頼されるケースもあります。駐輪場問題は、マンションによってさまざまです。どのマンションでも同じ手法でお手軽に改修という訳にはいきません。どちらにせよ、仕様決定や合意形成に時間がかかると考えた方がいいでしょう」

解決に時間がかかる駐輪場問題ですが、使い勝手が悪いために駐輪場以外の場所に自転車が溢れていたりすると、マンションの景観にも悪影響を与え、引いては資産価値にも影響を及ぼします。「駐輪場を見ると、管理組合の管理や住民のモラルがわかる」と言われているように、問題を解決せずに放置したままにしておくと、結局は自分達の不利益につながりかねません。できれば管理組合全体で、問題解決のために議論したいものです。

井上さん「昨年、私達ビシクレットと、他社駐輪場メーカーや団体と一緒に、『マンション駐輪場リニューアル協議会』を立ち上げました。協議会で発行している無料の小冊子で、改修事例や業者選定方法を詳しく解説していますので、こうしたツールを利用して勉強されるといいかもしれません」

マンション駐輪場リニューアル協議会

マンション駐輪場の問題点や業者選定方法などを解説した管理組合向け小冊子「駐輪場リニューアル!ちょっとその前に」
http://www.mansion-bicycle-parking.net

改修事例に見る駐輪場問題解決のポイント

──他にどんな問題解決の手段があるのでしょうか?

小林さん「今までの事例から、自分のマンションの課題に合った改修方法を見つけるのもひとつの方法だと思います」

【東京都の築30年のマンション】住民が高齢化しており、滑り台や砂場のある公園(写真左)を撤去。砂場にアスファルトを敷き詰めて、屋根のある駐輪場を設置(写真右)。

櫛谷さん「公園を撤去して駐輪場を設置するケースもよくあります。マンションでは敷地に限りがありますので、公園、植栽、遊具、エントランスのオブジェなどを撤去して、駐輪場スペースを増築して必要台数分のスペースを確保します」

【東京都内のマンション】敷地内に設置されていた大きな受水槽の交換に伴い(写真左)、受水槽跡を屋根付きの駐輪場に変更(写真右)。

小林さん「このように受水槽を撤去して駐輪場にするという改修方法も、最近多いですね。増圧給水ポンプが設置できるようになったため、敷地内に設置されていた古くて大きな受水槽のスペースを駐輪場に変えることができるようになりました。こちらでは“重い二段式はもう嫌だ”ということで屋根付きの平置きに変更されました」

井上さん「新しいマンションの駐輪場でも、自転車サイズの変化に対応しきれていない場合もありますし、さらに築年数の 古いマンションでは、住民のライフスタイルの変化に伴って、必要とされる駐輪場の仕様も変わってきています。運用方法や、最善のかたちの改修を模索して、 ぜひ後悔しない駐輪場の改修を実施していただきたいものですね」


他にも、台数はそのままで使いやすく間隔を広げた小規模マンションの事例など、確かに改修事例を見ているとマンションの規模や敷地内の構成、状況によって優先課題が異なってくるのがよくわかります。マンション・ラボのアンケートでも、台数不足や間隔の狭さといった不満がトップでしたが、それ以外にも以下のような問題が挙げられていました。

・屋根付きだが、隙間があって、雨風が入り込んで自転車が錆びる
・スライド式だが滑りが悪い
・子ども一人では動かせなくて使い勝手が悪い
・来客用のスペースがないため、エントランスに溢れかえっていることがある
・盗難が多いので、オートロックの駐輪場にできないものか?

やはりマンションによって問題はさまざまです。問題点を洗い出し、最優先課題を絞って話し合いを重ねていくのが重要ですね。

また、マンション駐車場リニューアル協議会が掲げる「愛される駐輪場」の条件は、以下の5つの点だそうです。

・子どもも高齢者も使いやすい。
・いつも自転車が整然と並んでいる。
・美しい。
・明るい。
・メンテナンスが行き届いている。

このように理想的な駐輪場のかたちを模索しつつ、問題を解決していきたいものです。


専門会社にお話を伺って、マンションの駐輪場問題は、住民の合意形成や予算、スペースの関係などが複合的に絡まって一筋縄では解決できない事情が見えてきました。しかし、少しでも住みやすく使いやすくするために、住民みんなで駐輪場問題に取り組んでいければいいですね。

2015/04/13

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